SAがロックシーンにいることの頼もしさーー懐の深さ感じた『LOVE’N'ROLL TOUR』ファイナル

SAがロックシーンにいることの頼もしさ

 定刻を少し過ぎ、お馴染みのSE、トルコ軍楽「ジェッディン・デデン」が高らかに響くと、フロア目一杯のコムレイズが「オイ! オイ! オイ!」と鬨の声を上げ、万全の臨戦態勢でSAの4人を迎え入れる。

 「ハロー! トーキョー!! 東京に帰ってきたぜ! 歌うぞーー!!」TAISEI(Vo.)の野太い雄叫びとともに豪快にかき鳴らされる「CLUNKER A GO-GO」で、2017年SA決起集会の火蓋は切って落とされた。2016年11月よりスタートした『LOVE’N'ROLL TOUR』は1月29日、自身初となる赤坂BLITZでツアーファイナルを迎えた。

 「笑うようになった」彼らはこれまで15年の活動を振り返るとき、よくそう語る。2016年10月にリリースされた最新作『WAO!!!!』は、そんな底抜けに明るくなったバンドの現在が詰まっているし、新たな可能性をも示したアルバムだ。反面で「メジャーに行って変わってしまった」と違和感を覚えた人も少なからずいたのかもしれない。それくらいの意欲作だった。だが、実際は何も変わっちゃいない。そのことをまじまじと見せてくれたライブだった。

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SHOHEI

 『WAO!!!!』から全曲が盛り込まれたセットリスト。音楽性の広がりと、サウンド&アレンジ面でも新たな試みが多く見受けられ、いつにも増してキャッチーな曲も多い。これまでありそうでなかったタイプの楽曲も、実際ライブで聴くと、何十回、何百回と演奏されてきた過去曲と同等のやり慣れた感が漂う貫禄に圧倒された。「音源とライブは別モノ」と、ライブ用にリアレンジされた楽曲は凄まじいほどエネルギッシュな演奏とともに、音源とはまた別次元の完成度で見せつけてきた。

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KEN

 高速で地団駄を踏んでいくように捲し立てる「槍もて弓もて」、キレキレの16ビートで攻める「ケリをつけろ」、とっぽいロックンロールナンバー「WATCH ME」。SHOHEI(Dr.)の堅実でタイトなリズムに、笑顔と躍動感あるフレーズを絡めていくKEN(Ba.)。どっしり構えたリズム隊に図太くも鋭いNAOKI(Gt.)のギターが乗る。猛り狂う音の塊とグルーヴが、人を喰ったように吠えるTAISEIの叫びとともに襲いかかってくる。さまざまなタイプの楽曲を次々畳み掛けていくその様相は、百戦錬磨のライブバンドである真骨頂。キャリア15年の凄みと円熟味を併せ持つ、獰猛で強靭なバンド・SAの恐ろしさにあらためて気づかされた。

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