the GazettEがバンドの真髄を見せつけた夜ーースタンディングツアー新木場公演をレポート

the GazettEセミファイナル公演レポ

 サウンド、映像、アート&デザイン…… the GazettEに携わるすべてを網羅したプロジェクト『PROJECT:DARK AGE』は2015年夏、<1ST MOV.>アルバム『DOGMA』で幕を開けた。漆黒に包まれた重厚な外観と、硬質で鋭利な音ーー。その荘厳たる世界観は『DOGMATIC-UN-』『DOGMATIC-DUE-』と題されたコンセプチュアルなツアーで進化を遂げていく。そして、初上陸となったアメリカをはじめ、アジア、ヨーロッパと廻った海外ツアーを終えた彼らの次なる<11TH MOV.>は、スタンディング形式のライブハウスツアー。7月からはじまったこの『STANDING LIVE TOUR 16 DOGMATIC -ANOTHER FATE-』は8月2日、新木場STUDIO COASTでセミファイナルを迎えた。演出要素を削ぎ落とし、音に徹したライブはthe GazettEというバンドの真髄を見せつけた夜になった。

 SEの「NIHIL」が鳴り、悲鳴のような大歓声に迎えられてメンバーが登場。優美なチェンバロの音色が響く中、麗(Gt)がゆっくりと低音弦のリフを刻みだした。全身漆黒を纏ったRUKI(Vo)が獣の嘶きのごとく咆哮すると、一気に轟音が襲いかかってくる。「DOGMA」で宴の火蓋は切って落とされた。地を這うようなグラインドとグルーヴが場内をのたうち回り、フロアを揺らす。「RAGE」「DAWN」と、次々稲妻のごとき獰猛なサウンドを轟かせ、観る者を肉薄し、叩きのめしていくよう。序盤からthe GazettEの真骨頂で攻めていく。

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 強靭なリズムを打ち鳴らす戒(Dr)。どっしりと重心を低くしながらボトムを支えるREITA(Ba)。荒々しくもソリッドなサウンドを繰り出す、葵(Gt)。華麗に舞い、ハードに奏でる麗(Gt)。哮り狂うグロウルと妖しくも艶やかな歌声を巧みに使い分けていくRUKI(Vo)。5人が導く黒き豪放の音の洪水に飲み込まれ、フロア一面に激しい大波のようなヘッドバンキングが乱れる。

 デジタルビートとヘヴィサウンドの融合、「DERANGEMENT」「VENOMOUS SPIDER’S WEB」、変則的な楽曲展開の「BIZARRE」へと、間髪入れずにボルテージを上げる。

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 the GazettEはヘヴィロックを基調としながらも、様々な音楽を追い求めてきた。デジロックやEDMといった、最先端の音を積極的に取り入れたサウンドプロダクトも彼らの十八番である。そうした派手な印象を持ち合わせながらも、『DOGMA』では原点回帰とも言える、ダークな世界観とより研ぎ澄ました凶暴性をシンプルなサウンドで表現した。『PROJECT:DARK AGE』から『DOGMA』の世界観を壮大に体現したホールツアーを終えた後、演出要素を排除したライブハウスツアー、というのも興味深いところ。ただ、機材面も環境においても国内ほど融通の利かない海外ツアーは、よりバンドサウンドを強固なものにしており、今回はそれを堪能するにふさわしいライブであることは言うまでもないだろう。

 流麗なメロディと轟音が交錯する「DEUX」、RUKIが座り込みながら、なまめかしい歌声を響かせた「OMINOUS」。一音一音確かめるように打ち込む戒のスネアと天鵞絨のような麗の旋律がミラーボールの下に響いた。

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