Aqua Timezの楽曲が愛され続ける理由とはーー言葉の力を信じ続けた10年の足跡

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 去る8月16日に『sing along SINGLES tour2015~シングル18曲一本勝負プラスα~』と題した10周年記念ライブを武道館で開催したAqua Timez。“10周年”というのは、無名のインディーズ・バンドだった彼らの名を一躍世に知らしめた楽曲「等身大のラブソング」から、ちょうど10年が経とうとしているということだ。10周年の記念日翌日の25日には、ベスト盤“10th Anniversary Best『RED』『BLUE』”を2枚同時リリースする彼らだが、ここでは彼らの10年の足跡を振り返りながら、バンドの魅力について改めて考えてみたい。

 筆者が初めて彼らに取材をしたのは、2006年のメジャー・デビュー盤『七色の落書き』のときだった。そのとき彼らは、どこか居心地が悪そうに思えた。恐らく「等身大のラブソング」の大ヒットによって激変した環境に、少々戸惑っていたのだろう。

 しかし、当時からメンバー全員が、太志の“歌詞”に絶大なる信頼を寄せていたのは、強く印象に残っている。“孤独”や“不安”といった人間の弱い部分に焦点を当てながら、精一杯の勇気を振り絞って聴く者を鼓舞しようとする太志の歌詞。それはやがて、多くの人々の共感を獲得し、彼らを一躍人気バンドのひとつにしてゆくのだが……その一方、彼らはバンドとしての“葛藤”を抱えていたようにも思えた。ミクスチャー系のサウンドを得意としていた彼らにとって、レゲエ調のリズムを持つ「等身大のラブソング」は異色ともいえる楽曲だったのだ。

 しかし、その葛藤を彼らは“ヒット”という形で自ら払拭してゆく。そのなかでも、ひとつ大きな契機となったのは、やはり「虹」という楽曲だったのではないだろうか。ドラムのTASSHIの発案のもと、四つ打ちビートが導入されたこの曲。目の前の景色がグングンと開けてゆくようなそのサウンドは、〈大丈夫だよ〉という太志の力強い肯定のフレーズとあいまって、彼らの楽曲をさらに多くの人々のもとへと届かせることになった。

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