新作『♂×♀×ポーカーゲーム/消えちゃうパープルバタフライ』インタビュー
ベッド・インが明かす、キャラクターを演じ切る覚悟「ちゃんと芯があれば、もっと自由でいい」
地下セクシーアイドルユニットのベッド・インが、6月3日に2ndシングル『♂×♀×ポーカーゲーム/消えちゃうパープルバタフライ』をリリースする。益子寺かおり(妖精達)と中尊寺まい(例のK)が“日本に再びバブルを起こす”ために結成した同ユニットは、主にライブハウスを主戦場とし、徐々にその過激なパフォーマンスと独特のコンセプトで人気を拡大している。今回の作品には、制作に日本のトップサウンドクリエーター集団「アゲハスプリングス」が全面監修で参加。バブル時代のヒット曲をイメージした、「踊れる歌謡ロック」を見事に完成させている。今回リアルサウンドでは、メンバー2人にインタビューを行い、結成のいきさつや彼女たちのロック観、キャラクターを演じ切る覚悟について語ってもらった。
「自分たちが面白いと思うものを、面白がってもらえることが一番大事」(中尊寺)
――2人はそれぞれ「例のK」と「妖精達」という2つのバンドのメンバーとして出会ったんですよね。
益子寺かおり(以下:益子寺):私は「妖精達」という、女5人の情念系の歌謡ロックバンドで10年以上ボーカルをやっているのですが、バンドがライブ活動を本格化した2010年頃にライブハウスで対バンするキッカケで、相方のまいと出会ったんです。
中尊寺まい(以下:中尊寺):正確には「例のK」ではなく、その前にジャパニーズ・ハードコアバンドのギターボーカルをやっていて、その時に出会ったんです。ややこしいので「例のK」って言ってますが(笑)。「例のK」では、反逆のハード歌謡みたいなものをやっていたんです。「ブラック・サバス」と演歌を足したような皮肉にキャッチーなロックを。
益子寺:当時のまいは、マイクをストラップにガムテープでくっ付けて、ギターを激しく弾き倒しながら歌うという斬新なスタイルで。彼女のプレイを見て「あのお嬢ちゃん、ただ者じゃないワ…HOTなパッションをビンビン物語に感じるわね…」と(笑)。その後、終演後のバーカウンターで「バブル顔って言われない?」という話で意気投合して……。
中尊寺:そこからはもう一人のバンド仲間を含めて“バブル顔3強”と称して頻繁に飲んでました。それが1~2年続いたころに、知人の誕生日企画に呼ばれて、SHOW-YAさんのコピーバンドをすることになり、今の形態に近いライブをしたんです。そうしたらみんな「うちの誕生日にも!」「うちの企画にも!」ってやまだかつてない程の欲しがる声をいただいて!(笑)。
――たった一度限りの企画ユニットで終わるはずだったベッド・インを、本格的に始動させたきっかけとは。
益子寺:ライブが予想以上に好評だったこともありますし、飲んでいる時にふと「死ぬまでに写真集を作ってみたくない!?」という話題になって。C.C.ガールズさん、ギリギリガールズさんなど、バブル時代に一世を風靡した「セクシーアイドル」のようなイキフンで作りたいねって大盛り上がり。当時の写真集を参考に、自分たちでロケ地や衣装、構成やデザインのイメージを考えて、バンド仲間たちにも協力してもらい“真剣なお遊び”を一つの形にした、というか…。老後、孫に自慢できるような作品を作ろう!と、自腹を切って1年かけて作りました(笑)。
中尊寺:昔から当時の写真集を集めていることもあって紙媒体で背表紙のあるものに憧れがあったんです。で、そんななか、ライブのお誘いも多数いただくようになってきたので、「じゃあ、音源作らなきゃ」と打ち合わせをしました。活動するのに何が足りないかっていうのを、ちょっとずつ、後から足していったという感じですかね。
益子寺:ただ、写真集を最初に作ろうって思ったのも、ある程度お互いの考えが一致したからで。今って清純なロリロリアイドルが蔓延していて、やたら処女性が崇拝される世の中じゃないですか。ロンモチで彼女たちに全く罪はないのですが、流行に便乗する形で、みんなお揃いでロリロリ路線に興味と下半身のベクトルを向けちゃうのは不思議な話よねぇ~と。もともと、こういう便乗型の流行の風潮に対してアンチテーゼを掲げて活動してきた2人だったので「ロリっ娘もEけど、ケバっ娘もモアベターだよ?」って気概でケンカの安売りをおっ始めた感じです。
中尊寺:それと、やっぱり女の子がバンドやっているっていうだけで、嫌な言い方をすると、舐められることが多かったんですよね。私は着ている服装や見た目だけで「スタッフはそこでやって」とか「どこのメンバーの彼女?」というふうに言われたりしましたし、だからこそ前のバンドでは、出来る限り露出をしないようにしていました。女であることに甘えず、逃げないパフォーマンスや技術がないといけないんだと。そういう鬱屈とした感情を持ちながら、一方で「じゃあ、自分の中にある女という性を全面に出したらどうなるんだろう」ということも考えていて、その反動がこういう形になって表れたのかもしれません。
――鬱屈した感情が溜まっていたぶん、その反動がかなり大きかったということですね。
中尊寺:「じゃあ、もうとことんやってやろう」という気持ちになりました。
益子寺:確かに、その“なめ猫精神”は、お互い持ち合わせていたものなのかも。私も「妖精達」は女5人のバンドだから、似た葛藤が過去にあって。「ガールズバンド」というだけで、音楽ではなくルックスのみで判断されるという風潮に遭遇したり。そういったある種の男尊女卑には疑問を感じていたし、だからこそ舐められないように「楽曲、演奏力など音楽に対してはとことん真摯に、パフォーマンスは男勝りに」という所は常に意識してきました。しっかり勝負の土台を作った上で、女の官能的な要素も取り入れるっていう。
中尊寺:そういう気持ちがないと、この歳になるまでに女の子ってバンド辞めちゃうんですよね。学校を卒業して、就職を機に辞めちゃうとか、結婚とか妊娠とかでどんどん辞めていっちゃう。
益子寺:DA~YO~NE~♪ あ、でも男の人はDAISUKI!なんですよ。
中尊寺:そうそう、そこは誤解しないで欲しいんですけど、処女信仰的なものに疑問があるだけですし、やりたいことに関してはナメられたくないというだけなんです。
益子寺:そこは2人とも共通してずっと持ってる部分ですね。周りから「吹っ切れたパフォーマンスをしている」と言って頂けるコトがあるのは、そういう気持ちでずっとやってきたからで、意識してというよりも自然に滲み出ちゃう部分なんだと思います。
――なるほど。2人のこのトリッキーなパフォーマンスも、実はロック精神のある音楽性がしっかり根底にあるから出来ることなのだと感じました。
中尊寺:きゃ~の! そう言っていただけるとマンモスうれPです♪ 要は自分たちが面白いと思っているものを、面白がってもらえることが一番大事マンっていうか。喜んでいただけたら私たちの下半身のポケベルもリンリンに鳴っちゃいますね(はぁと)
益子寺:ホント、ナニからナニまでGスポットを探すみたいにE気持ちになれるコトを追及して、自分たちの意思で好き勝手にヤッちゃってますからね(笑)。そういう姿を見た性徒諸クン(=ファン)から「ベッド・インを見ると何だか元気が出る!」「悩みがどうでもよくなった(笑)」とか「もっと自由に生きていいんだって思った」と言って頂けることもあって。
中尊寺:ちゃんと芯があれば、もっと自由でいいんじゃないかと思いますね。その熱量がバブル時代の面白いところだとも思っているので。
益子寺:それこそ、例えばテレビ番組とかも当時と違って、どんどん規制が掛かる今の世の中…チンカチンカにおカタイよね~。だって真昼間から「スーパーJOCKEY」とか放送してたんですよ!?「もっとみんな、自由にケーハクに生きちゃえばいいのに♪」って思いますネ!女にも性欲あるし。
中尊寺:100%So! かもね! 一人でも二人でも三人でもにこにこにゃんにゃんヤッてみちゃえばいいと思います!!!
――でもそれをシリアスにすると社会活動になるのを、敢えてユーモアでもって提示していると。現場には若いファンの方も多いですよね。影響を受けてバブル風の出で立ちで来る20代女性を何度か見かけました。
中尊寺:「よくわかんないけど、ギラギラしていて面白い」って言われました。あと「ナニ言ってるかわかんないけどウケる」とか(笑)ちょっとゆるキャラ的なところがあるのかも知れないですね…ま、ウチらは締めすぎちゃう締めキャラなんですけど(笑)。それに、「こんなボディラインが出た服とか着たことない~!」って言いながらライブにボディコンを着てきてくれると、一歩踏み込んでくれたと感じて嬉しくなりますね。
――それこそ、まいさんのように、世の中でグッと抑圧されている子たちにとって跳ね返りの場になるのかもしれませんね。
益子寺:そうですね。もっと自分を解放してE気持ちになりまショ?ベッド・インのおギグに、目を閉じておいでよ…♪