大原櫻子は“10代の声”をどこまで届けられるか? 音楽市場アナリスト・スタッフの分析

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 大原櫻子がいよいよ本格的な歌手活動へと踏み出していく。11月26日にリリースされる本人名義での1stソロシングル『サンキュー。』は、そう予感させる力強い楽曲に仕上がっている。以前もリアルサウンドでは、大原櫻子についての記事(「支持層の大半は女子中高生 大原櫻子はなぜ10代の心をとらえたか」)で彼女の魅力を歌詞の面から分析したが、今回は彼女がボーカリストおよびアーティストとして、これからの音楽シーンでどんな存在となっていくかを探りたい。

 大原櫻子といえば、まずは映画『カノジョは嘘を愛しすぎている』で5000人を超えるオーディションを経てデビューした際の印象が鮮烈だった。同オーディションでは、音楽プロデューサーの亀田誠治が「彼女の声を聞いた瞬間に、ヒロインはこの子しかいないと確信した」と評価した逸話がある。音楽市場アナリストの臼井 孝氏も、彼女の一番の魅力は歌声にあるという。

「歌詞を見なくても胸に響いてくる歌声が、大原櫻子さんの一番の魅力だと思いますね。これまでにリリースした楽曲はすべて亀田誠治さんによる作詞作曲なのですが、それでも大原さん自身のメッセージとしての説得力がある。万人に支持される歌声の魅力や存在感をもったシンガーが久々に出てきたと思いましたね。アイドル時代の岩崎宏美のように若くして上の年代にも好かれる声だと思います」

 一方、大原櫻子を初めて見たときの印象をレーベルスタッフはこのように語る。

「初めて見たのはフジテレビの夏のイベントで、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』劇中バンド、MUSH&Co.のお披露目ライブでした。その時はお披露目ライブと聞いていたので、正直あまり期待してなかったのですが、いきなり歌声にやられましたね。音程がズレることもなかったですし、高音域も素晴らしいのですが、中音域も凄く出るので、歌声の伸びが非常に気持ちよく聴こえるんです。突然のアンコールもアカペラで対応するなど、とても初めて人前で歌う高校生とは思えない度胸にも惹かれました。しかもその姿が“堂々”と言うよりも“キラキラ”した感じだったことが、より魅かれた理由でしたね」

 高い歌唱力だけでなく、そのキャラクターも人気の背景にあると、先述の臼井氏は語る。

「彼女は歌がうまく、アイドル的な要素も持ち合わせているのに嫌味がないというか、妬まれない存在だと思う。『頑張ったっていいんじゃない』というタイトルも親近感を感じさせる彼女のルックスや雰囲気にすごく合っていると思いますね。『カノ嘘』の効果も大きいと思いますけど、それが同世代のファンが多いということにつながっていて、実際に各地のイベントなどでのお客さんの8割が女子中高生とのことです。そこでのひたむきな歌への姿勢がより同世代の共感を得るのだと思います」

 また、歌と演技で同時デビューを果たしたことが、彼女の豊かな表現力を支えているとの見方もある。

「歌と演技を共にやってきたことが、ステージ上の表現力にも大きく活きていると思います。演技を含めて多くの舞台に立ってきた結果でしょう。また彼女自身、聞き手に伝えようという強い気持ちも持っています。その点では、映画がヒットした直後に、全国を1人で回って実際に歌声を聴いてもらう機会を持ったのは大きかったと思います。映画を観て、生で歌声を聴いた10代のリスナーたちに彼女の思いが伝わり、その興奮がSNSを介して拡散していきました」(レーベルスタッフ)

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