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京都精華大学大学院デザイン研究科 特別講義

でんぱ組.inc夢眠ねむ×もふくちゃんの大学院講義「アイドルのセルフプロデュース論」レポ

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 でんぱ組.incの夢眠ねむとプロデューサーのもふくちゃんこと福嶋麻衣子氏が5月23日、京都精華大学大学院デザイン研究科にて「アイドルのセルフプロデュース論」をテーマにトークを展開、約70人の学生たちが二人の講義に耳を傾けた。美大卒の夢眠ねむと、東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒のもふくちゃんは、アイドルという表現をどのように捉え、プロデュースしてきたのか。夢眠ねむが大学在学中にメディア・アートを学ぶ中で働いたというメイドカフェのエピソードや、デビュー当時行っていた自己プロデュースの方法など、具体的な事例をもとに講義は展開された。

アイドルは“ダイレクトに幸福を与えてくれる作品”

もふく:今日はゲストにでんぱ組.incの夢眠ねむちゃんをお迎えして、「アイドルのセルフプロデュース論」についてお話しようと思います。夢眠ねむちゃんの成り立ちを、“中の人”に聞く――というスタンスでよろしいでしょうか?

夢眠:はい、今日は“夢眠ねむの中の人”としてお話します。まずは私の大学時代の話から。私もみなさんと同じく美大に通いながら秋葉原にある「ディアステージ」で働いていました。飲食もできてアイドルのパフォーマンスも楽しめるというお店で、“終わらない文化祭”“毎晩毎晩お祭り騒ぎ”というようなテーマで、毎日営業をしています。

 私の思いもそれに近いものがあって、卒業制作として提出した「あいどる☆はうす ver.夢眠ねむ」という作品には、「目覚めても目覚めても、毎日がお祭り。」というポエミーな説明がついています。当時は、インディーズのアイドルは「地下アイドル」というように言われていたから、「地下にて、地上を夢見ながら今日も眠る。」と。使用されているミントグリーンの服や布は、実際に使用していたモノです。

もふく:これ、リアルに当時ねむちゃんが住んでた家みたいだよね。

夢眠:そうなんです(笑)。もともと、「もふく邸」という、もふくちゃんを中心としたシェアハウスに住んでいたんですが、住人はそれぞれテーマカラーがあって、こんな感じでしたね。

 卒業制作のタイトルが「ver.夢眠ねむ」になっているのは、いつかいろんな色で作って、でっかいものにしたい、という夢があったから。私は最近、映像の監督もさせていただいているんですが、でんぱ組.incの「ノットボッチ...夏」というPVでその夢が叶いました。

もふく:「ノットボッチ...夏」は、スミスさんという監督とねむちゃんの2人ユニット「スミネム」名義の作品。アイドル自らが自分のPVをプロデュースするのも珍しいことだと思います。

でんぱ組.inc「ノットボッチ...夏」MV Full【ちっとも羨ましくなんてないんだぁ~】

夢眠:寮と卒業制作があり、それを元にしてPVが生まれた、という流れです。そこに至るまでには、紆余曲折もあって……みなさん、大学は楽しいですか? 私は、楽しくなかったんです、とくに最初のころは。大学に入る前は「こんなにがんばって、手から血を流しながら描いている私、かっこいい!」みたいな気持ちだったんだけど、入学してみたらクールな人が多くて。デザイン科だったので、「いつかデザイナーになればいいや」みたいな。自分だけ熱っぽくて、「みんなそんな感じなんだ」って、恥ずかしいし、腹立つし、ヘコむし……という。それで、ひきこもったり、構内の芝生で膝を抱えたり、同級生に見つからないようにこっそりご飯を食べたり、という日々でした。

もふく:そういう状態から、アイドルを作品にするようになったのは、どういうきっかけなんですか?

夢眠:私の専攻は「メディアアート」でした。今の技術からすると「何それ」って感じだけど、当時は「触ると動くよ」みたいなのが流行ってて、手をかざすと動く作品ばっかりだったの(笑)。私はいまいちピンと来ないままだったんだけど、そこの先生はどんな分野であっても“新しいもの”に寛容だったから、「4年になったら、卒制だから何でもできる」と思ってがんばりつつも、「メディアアートが誰を幸せにするのか」「美術って何だ」という悩みにぶち当たっていて。そんなとき、ふと予備校時代にちょろっと遊びにいったメイド喫茶のことを思い出して、学校をサボってひとりで遊びに行ってみたんです。そこで手厚く接客してくれたのが、えいたそ(成瀬瑛美)。気分がどんよりして、先生も信じられない、クラスメイトも嫌で、何もかも投げ出したいような気持ちのときに、あの高い声で「おかえりなさいませ~!」って言われたら、「ただいま!」って気持ちになっちゃって。

もふく:私も、そういう状態のときにえいたそに出会ったら、洗脳されちゃうかも。

夢眠:えいたそは、誰かをよくする力がすごくあるんだよね。

もふく:そうだね。「大丈夫だよ、もふくちゃん! ぜんぜん大丈夫だよ、ときめきだよ、ときめき!」「そ、そうだね、ときめきだね!」みたいな(笑)。

夢眠:(笑)。えいたそに出会ったとき「これは説明書きのいらない作品だ」と痛感したんです。私のやりたいことは何なのかなって考えていたから、「このダイレクトに幸せになるものを美術に取り入れたほうが未来は明るいな」という気がしたの。これを美術にするというのが、私がメディアアートに感じていた「何がおもしろいのかな」という疑問の答えになるな、と。

もふく:「今、美術に足りないものはなんだろう……えいたそだ!」という感じだよね。

夢眠:うん。そこにあるのは、ただただ、愛情だったんです。作品として捉えても、見る人のことを考えても、今いちばんおもしろいのはこれだなと思った。普通にお客さんとして通ってもよかったんだけど、自分が発する側になってみようと、メイドになりました。

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