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灰野敬二、MONO、THE 5.6.7.8'S……海外で支持されている実力派ミュージシャンたち

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THE 5.6.7.8'S
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 J-Rock/Pop、Visual-kei、Anime……ジャパニーズ・カルチャーのエンターテインメントが世界で注目を浴びる昨今、日本のアーティストの海外公演、iTunes世界何十カ国配信などといった話題もよく耳にする。しかし、中には本当に海外需要に応えているわけではなく、ブームに乗ったプロモーションとして海外公演などが行われる場合もある。そのため、国内と現地での人気に大きな差があるケースも見受けられる。あまり知られていないアーティストが海外で活躍していることよりも、国民的人気アーティストが海外進出することのほうが何かとニュースになりやすいのは仕方のないことだろう。

 一方で、近年はユーザーがネットにおいてリアルな海外の反応を探ることも難しいことではなく、ニュースにあまり取り上げられないような海外で活躍するアーティストたちにも注目が集まってきている。ピッチフォーク・メディアやビルボードでの評価を得ながらもコアな音楽性から、国内においてはほとんど取り上げられることのなかったBorisが良い例であろう。映画『告白』(2010年)での楽曲提供などの話題を境に、その海外における実績と経験に関心が高まってきている。

参考:海外でツアーしたほうが儲かる!? BorisのAtsuoが語る、日本のライブ環境の特殊性

 そんな、普段はあまり取り上げられることのない、海外で活躍・支持されているアーティストたちに目を向けてみたい。

ジャパン・ノイズ=ジャパノイズという世界

 ヒットチャートとは離れたコアな音楽。オルタナティブロックやラウドロック、ノイズミュージックなどの実験音楽要素の強いアーティストは、国内よりも海外での評価のほうが高いことが多い。ニルヴァーナのカート・コバーンが少年ナイフの大ファンであったり、灰野敬二やボアダムスといった多くの海外アーティストから信奉されるアーティストもいる。“ジャパノイズ(Japanoise/Japanoize)”という日本のノイズミュージックを指す、海外で生まれた言葉もあるほどに影響を与えているシーンである。

灰野敬二「不失者」@ St John-at-Hackney

 灰野敬二イズムを受け継ぐ、Bo Ningenはロンドン留学中に結成された日本人4人組である。ロンドンを拠点とし、裸のラリーズを思いおこさせる長い黒髪を怪しく振り乱しながら、日本語でサイケデリックロックを歌う。ザ・クラッシュのベーシスト、ポール・シムノンやフランツ・フェルディナンドからも絶賛されている。日本のギターロックバンドの多くがブリティッシュ・ロックに憧れる中で、本場ロンドンで黒髪日本語ロックを演り、賞賛されている現状は興味深い。

Bo Ningen - Daikaisei (Live at SSV- St. Leonard's Church, Shoreditch)

世界中の人に聴かれているバンド MONO

Mono - "Legend: A Journey Through Iceland"

 「世界で一番有名な日本のバンドは?」という問いは聞くだけ野暮であるが、「世界中の多くの人に聴かれている日本のバンドは?」と尋かれるのであれば、まぎれもなく、MONOだろう。

Mono (Japan) - Holy Ground: NYC Live DVD Trailer

 年間150本以上のライブで世界中を飛び回る、もはや洋楽枠のバンドである。ネット展開や宣伝に頼ることなく、バンドだけで世界を巡り、クチコミのみで拡まっていったバンドだ。インストゥルメンタルのポストロックという言葉の壁のない音楽ではあるが、抒情的な旋律は、爆音・轟音が主流となるこのジャンルの中では異彩を放つ、明らかに日本人特有のメロディーである。どこか懐かしさをも感じるような哀愁感、童謡的とも言える要素からは、長きに渡る世界のクラシック音楽史の中で、邦人作品と呼ばれる現代音楽が確立されたことと同じにおいを感じる。

映画『キル・ビル』が見た日本の姿

 サムライ、ゲイシャ、ヤクザ…、外国人から見た日本像を解りやすくコミカルに描いたクエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』(2003年)がもたらした日本への注目度は大きかった。メインテーマに起用された布袋寅泰が知名度の飛躍とともに2012年にロンドンに移住したことも話題になった。だが、その反響は布袋だけではない。

 挿入歌に使用された梶芽衣子の「修羅の花(“Lady Snowblood”)」「恨み節(”Urami-bushi”)」が海外のプロ・アマ問わずカヴァーされ、歌い継がれている。同作のオマージュ元にもなった映画『修羅雪姫』(1973年)にも注目が集まり、梶芽衣子は「黒髪で凛とした日本人女性」の美の象徴として、今なおその人気はとどまることを知らない。海外から仕事のオファーも数多く来ているとのことだが「日本語でしか自分の歌・演技は表現できない」との理由で全て断っている。そこがまたミステリアスな存在になって人気に繋がっているようだ。

THE 5.6.7.8'S / Once Upon A Time DVD CM

 そして、女性三人組ガレージ・ロック・バンド、The 5.6.7.8′s(ザ・ファイブ・シックス・セブン・エイツ、通称:ゴロッパチ)。元々はイカ天出身バンドで、当初よりから海外を視野に入れた活動を行なっていたが、同映画に出演したことにより国際的な人気を不動のものにした。また、彼女たちはジャック・ホワイトがホワイト・ストライプスでブレイクする前から親交が深く、対バンはもちろん、ジャックが彼女たちの楽曲をカバーするほどの間柄。のちに、ジャック主催レーベルのサードマン・レコードより過去作のリイシューと、7インチシングルをリリース。日本人なら誰でも一度は耳にしたことのある童謡「証城寺の狸囃子」をカバーしているのがいかにも彼女たちとジャックらしい選曲だ。

     
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