歌広場淳のフルコンボでGO!!!
歌広場淳が見た『東京ゲームショウ2025』の熱狂 ストリーマーの台頭でTGSに訪れた“変化”とは

大のゲームフリークとして知られ、ゲーマーからの信頼も厚いゴールデンボンバー・歌広場淳による連載「歌広場淳のフルコンボでGO!!!」。今回は、幕張メッセにて9月25日~28日に開催された国内最大級のゲーム展示会『東京ゲームショウ2025』(以下、TGS)の振り返りをお届けする。
TGSに10年間通い続けた中で味わったビジネスデーの盛況をはじめ、インディーゲームのインパクトやストリーマー人気の裏側など、歌広場淳が“一人のゲームファンから見たTGSの変化”を語ってくれた。(編集部)
ゲームファンとしての「巡礼」 TGSに通い続けて感じたこと
TGSには、僕自身、ここ10年ぐらい毎年通っているんですよ。それこそコロナ禍で規模が縮小していた時期も、行けるときは欠かさず行っていましたから、今年も無事に参加できて本当にうれしく思っています。僕のようなゲーム好きな人間にとって、TGSは「一年に一度のお祭り」ですからね。
今回は4日間の開催のうち、ビジネスデーを含む3日間はプライベートで参加し、最終日にセガさんのステージ(『Virtua Fighter 5 R.E.V.O. World Stage』3on3エキシビションマッチ)に出演させていただきました。
皆さんもご存知だと思いますが、TGSでは関係各社がインフルエンサーの方々を招待しています。今回、Red Bullさんが「Red Bull Creator Club」というブースを展開されていて、そこにインフルエンサーを招待されていました。僕は自主イベントをやる際に「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」でいつもお世話になっているご縁もあって、Red Bullさんからお声がけをいただき、3日間ご招待いただきました。
というわけで、このTGSで感じた熱気や、裏側で起こっていた面白いことなどを、ここから好きに喋らせてもらおうと思います。
マジ前見ないでポストしようとするとぶつかっいゃうわ知らない間にポストするわでそれくらい人が多いですゲームショウ!!! pic.twitter.com/iLn7IUKcrR
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) September 26, 2025
ネットで探す前の原体験——インディーが思い出させてくれたTGSの魅力
これは持論ですが、TGSでは大手企業の注目タイトルが、その年のTGSのカラーを決めるものだと思っていました。けれども、今年は少し様子が違いました。もちろん、大手ブースは規模感がデカくて、ワクワクする楽しい空間であることに変わりありません。ただ僕が思うに、今年のTGSは”すでに発表されている情報をさらに盛り上げる場”として機能している印象がありましたね。
僕が中学生ぐらいの頃なんかは、インターネットやSNSが今ほど普及していなかったので、「TGS=最新情報が得られる場所」でした。でも今は、すでに出ている情報を”膨らませて楽しむ”場所になっている気がします。その点を踏まえ、今年は昨年よりも「大手ブース以外でどこが良かったのか?」という話題が、僕のまわりで飛び交っていました。そこで注目を集めていたのが、例年以上に存在感が増していた「インディーゲーム」関連のブースだったんです。
インディーゲームのブース出展は毎年あったと思いますが、今年は出展されているタイトル数がシンプルに増えていましたね。大手ではないけれど、アイデア1本勝負みたいな、意欲的なゲームが去年の比じゃないくらい多かったです。TGSにおけるインディーゲーム関連のエリアがかなり拡大されていて、「今年はここがアツい」と肌で感じました。海外企業のブース出展もたくさんあったし、万博みたいに国際色豊かになったのもポイントです。
そして先ほどお話しした通り、「直に遊んで情報や期待値を膨らませる」意味で言うと、インディーゲームはかなりマッチしていると思いました。僕も実際に色んなブースへ足を運びましたが、「見たことのないゲーム」で溢れていて、当たり前のことですが、そこにゲームショウっぽさをすごく感じたんです。大きなブースで大作シリーズを見る楽しさもあるけれど、「知らないものを見に行く」「初めてのものを探す」という気持ちが、やっぱりみんなの中にある。それが今の流れと重なって、インディーコーナーがすごく盛り上がったのではないでしょうか。
個人的に気になったインディーゲームは、ドイツのインディーゲーム開発スタジオが手掛けている『PVKK: 惑星防衛砲指揮官』という作品です。固定砲台を操作して敵を倒すゲームなのですが、モニター前に計器類を搭載したデカい筐体が置かれていたんです。そこに人だかりができていて、「これがゲームショウだよな」と心から思いましたね。
It was an honour to bring our immersive controller to @tokyo_game_show 🙏
Thank you to all the aspiring Commanders who stood in the defence of Antos 🫡 pic.twitter.com/raWFPoeJGz
— Planetenverteidigungskanonenkommandant (@PVKKGame) October 8, 2025
当然遊べていないタイトルもまだまだありますが、僕らユーザーとしては、とにかく面白いものや見たことのないゲームを知りたいので、多様な文化背景を持つ新しい作品がたくさん見られるのは本当にワクワクします。「Moscow Game Hub」といった名前も初めて見ましたし、まるで昔のCDショップで「知らない音楽に出会う」ような感覚を味わえました。
今ってCDショップも“欲しいものを買う場所”になっていますよね。ゲームも同じで、店に行っても“目的のタイトルを買う”だけが多いかもしれません。でもTGSは、ふらっと立ち寄って「こんなのあるんだ!」と発見できる場所。つまり、“ネットで探す前の原体験”がそこにある。そういう原点的な楽しみを、インディーゲームが支えているんだなと思いました。
ストリーマーは「お茶の間の顔」的な存在に タレントの居場所はどこにある?
ここまでは、主にインディーゲームのインパクトについて語ってきました。しかしもう一点、TGSの会場に入って真っ先に驚いたことがあります。それは、例年では見られなかった”ビジネスデーの人の多さ”です。
ビジネスデーというのは、本来は関係者限定の非常にクローズドな場です。一般公開日だと並ばなければならない試遊も、比較的空いていてすぐ体験できるのが魅力だと思っていました。
ところが、今年のビジネスデーは「一般公開日と何が違うの?」と感じるほど人が多かった。これは発表された数値にも反映されていて、ビジネスデーが例年よりそれぞれ1万人ずつ増えています。一方でパブリックデーが合計3万人ほど減っていたという話も聞きました。
ビジネスデーが混雑した背景には、やはり「インフルエンサー施策の拡大」があるのだろうと感じました。各企業がインフルエンサーを起用する際に、その関係者やゲストが例年以上に来場していたからではないでしょうか。
近年のTGSでは、ストリーマーさん・インフルエンサーさん・コスプレイヤーさんの起用が増えているのは知っていました。でも同時に、「僕たちのようなミュージシャンやタレント、芸人さんの姿を見かけなくなったな」という部分が気になりまして。今までだったら、僕らゴールデンボンバーも、名前の繋がりで「ボンバーマン」のステージに呼んでもらったり、バンドなので音ゲー関連のステージに呼んでいただくことがありました。ゲーム好きのお笑い芸人さんやタレントさんも、会場で結構見かけたと思います。
ところが、今年はストリーマーさんたちがそのポジションを完全に占めているように感じました。SNSのフォロワー数が数十万〜100万人単位のストリーマーさんもたくさんいますし、企業としては「ゲームの魅力をダイレクトに届けたい層にリーチできる」という方向へ向かうのは自然な流れだと感じます。
でも「じゃあ、なぜここまでそうなったんだろう?」と考えた時、僕はふと、「今の時代のストリーマーって、タモリさんなのでは?」と感じたんです。
タモリさんと言えば、「この時間にテレビをつけたら映っている」という”お茶の間の顔”のような存在でしたよね。その流れがストリーマーさんにも来ていて、「動画サイトを開けばいつも配信している」テレビのような存在として捉えられているのではないでしょうか。そしてイベント等で彼らを起用する側も、「ストリーマーさんをタレントとして本格的に扱いはじめているのでは?」と僕は考えたんです。
実際、TGS期間中に「ZETA DIVISION」さんのブースにお邪魔させていただきましたが、釈迦さん・ファン太さん・k4senさんといった方々が現れるたびに、会場内に黄色い声援が飛び交って、すごい大騒ぎになっていたんです。その光景は、まさに「『笑っていいとも!』でタモリさんが出てきた時」にそっくりだったというか(笑)。みんながその人が出てくるのを待ち構えている、アイコンとしての存在感を感じました。
今日いっぱいポストしてしまっても画像付きだと思うから許して!フォロー外さないで!(外してもいい)
今日会った人たち「写真お願いしても良いですか!?」ってすぐ言うけど悪気はないから許して!フォロー外さないで!(してない人はして)… pic.twitter.com/I63M84MzQc
— 歌広場 淳 (@junjunmjgirly) September 26, 2025
ただ、「この状況はどこかでまた一巡するんじゃないかな」とも見ています。ストリーマーさんは「楽しそうにゲームを遊ぶこと」自体が仕事になっている一方で、タレントさんのように、わかりやすく「ボケる」「盛り上げる」といった別のスキルが求められる瞬間も、イベントによっては必要になります。ストリーマーさんだけで構成されたイベントでも、「MCの方がいて成り立っているな」と感じる場面がありました。
この流れに注目していると、「ここは僕たちタレント側の勝機があるんじゃないか?」と、つい邪な気持ちで見てしまう僕がいるのですが……。この変化をいち早く察知してお仕事に繋げていきたい。そんな気持ちでTGSのステージを見つめておりました(笑)。






















