『超かぐや姫!』が『VRChat』を“揺らす”――2万人超が見届けた無料3Dライブ

『超かぐや姫!』が『VRChat』を“揺らす”

 2月15日の日曜日、バーチャル業界で記録的な事象が起きた。『VRChat』の最大同時接続ユーザー数の記録が更新されたのである。

 これまでの最高記録は148,886人。本連載でも触れたが、1月1日の年越しタイミングで、多くの人が新年を祝うためにログインしたタイミングだ。これを約8,000人も上回る156,716人という記録が、この日に確認されたのだ。

 その要因は、正午に開催されたアニメ映画『超かぐや姫!』の3Dライブだろう。サンリオ公式テーマパーク「Virtual Sanrio Puroland」に、主人公・かぐやが3Dモデルで降り立ち、劇中歌「私は、わたしの事が好き。」を歌うライブが開催されたのだ。2月14日に初演を開催予定だったものの、トラブルにより中止。急遽2月15日の開催を2回に増やし、めでたく初演を迎えた。

 ライブそのものは3Dモデルのかぐやが歌って踊るシンプルなものだが、3Dモデルのクオリティ、モーション精度とキャラクターとの解釈一致、最小限だが原曲MVのイメージを掴む空間演出と、シンプル・イズ・ベストを突き詰めたような光景が広がった。3分程度だが、満足度は極めて高い。そして、このライブを見るべく大勢の人が押し寄せ、筆者が観測した限りでは27,000人超のユーザーがこの会場ワールドに入場していたようだ。

 この日本側のアクセス集中が、北米側のピークタイム(土曜の19時〜22時ごろ)と衝突。『VRChat』の二大ユーザー地域に人が押し寄せたことが、今回の結果につながったと言えるだろう。そして、単発の『VRChat』イベント開催の同時接続数としても、今回の『超かぐや姫!』3Dライブは国内最多記録に位置するものと思われる。

 そんな『超かぐや姫!』の勢いを止めてなるものかと言わんばかりに、「Virtual Sanrio Puroland」にはさらなる刺客が派遣された。2024年に圧巻のクオリティで『VRChat』ユーザーに衝撃を与えた、アバターバンド・FZMZの1st VRライブ『DEEP:DAWN』だ。

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 昨年は一度だけ再演されたあの演目が、今年もやってきた。ちなみに昨年はこのライブも12,000人超という同時接続数を叩き出しており、今年の記録更新にも期待したい。開催日は2月28日だ。

「突如解散したVTuber事務所と、そこからの独立」のその後

 「会社代表による会社資金を横領」という、稀に見るセンセーショナルな理由で倒産・解散し、様々な意味で話題となったVTuber事務所「Vivid V」。その元所属者である生稚くれあ、庭咲ぴよに、先日インタビューを行った。

突如解散したVTuber事務所からの独立 びびどる・生稚くれあ&庭咲ぴよが明かす、当時の心境と決意

2025年11月5日、VTuber事務所「Vivid V」の運営企業・株式会社LinkUpは倒産手続きと、事務所解散を発表した。…

 この記事の中で、2人が現在所属するバーチャルアイドルユニット・びびどるが、リアルイベント『びびどる Restart Valentine Party』を開催することが触れられていた。ありがたいことに、筆者もびびどる運営から招待を受けたので、現地の様子を視察してきた。

 イベントはシンプルなファンミーティング方式。メンバーによる歌唱ライブが場を盛り上げた。その後は「オリジナルのすごろく」というユニークな企画が登場。リアルイベントで見かけるのは初だったが、グループのわちゃわちゃ感を出す上では最適だなと肌で感じた次第だ。

 後半はメンバーとの1on1。シンプルなイベントではあったが、大きなトラブルもなく、現地にはフラワースタンドが飾られるなど、開催を喜ぶファンの熱量がたしかに感じられた。いろいろあったVTuberが、こうして平穏にリアルイベントを開催できる光景を見ると、やはり快い。そんな感情を、2月15日にひさしぶりに抱いた。

ミリプロが初の全体ライブ バーチャルアイドルフェス「えるすりー」も最新回が到来

 VTuber業界に目を移すと、まずは2023年生まれの新鋭事務所・ミリプロ(Million Production)から、5月9日に初の事務所全体ライブ『Million Story』を開催すると発表があった。

 若年の女性層(とりわけ小学生)に人気を得てきた、イラストレーターでもある甘狼このみらをはじめ、計9名のVTuberが所属している事務所だが、今回はそのうち8名がステージに立つ。残る1名も映像出演を予定しているようだ。

 Zepp Shinjukuを会場として押さえているところからも、事務所としての勢いがうかがえる。一方で、「保護者同伴チケット」も提供されており、そこから客層・ファン層がどのような内訳になっているかも察せられる。従来の事務所とはまた異なる、新たなファンダムを得たVTuber事務所の晴れ舞台が、どうなるか注目したいところだ。

 また、バーチャルアイドルフェス『Life Like a Live!』(えるすりー)から、最新公演『Life Like a Live!11~クロスアドベンチャー~』の開催も発表された。3月20日~22日の3日間で、総勢50名のバーチャルアイドルが出演するオンラインライブだ。

 本イベントは、多種多様な女性VTuberを知る機会として欠かせない存在である。今回の新顔はサンリオとClaNによる「にゃんたじあ!」と、音楽特化の「UniVIRTUAL」あたりだろうか。過去回の常連も多く名を連ねているので、新たな出会いが欲しい人はチケットを手に入れてもよいだろう。

 そんな中、2024年に『VRChat』で開催されたメタバース音楽フェス「META=KNOT 2024 in AKASAKA BLITZ」のXアカウントが、1年ぶりに意味深な投稿を寄せている。これは一体なんだろうか……あのイベントの光景を思い返すと、つい期待したくなるものだ。

『超かぐや姫!』に登場する「未来の技術」と、“フラット”なインターネットの描き方を見て

長編アニメ『超かぐや姫!』は、XRデバイスや巨大メタバース「ツクヨミ」を舞台に、VTuber活動に励む少女たちの友情を描く。本稿…

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