『VRChat』運営会社がいよいよ“日本上陸”か 国内VRメーカー・Shiftallは新型VRヘッドセットを発表

『VRChat』運営社がいよいよ“日本上陸”か

Shiftallが新型VRヘッドセットを発表

 先週は国内VRメーカー業界に興味深い動きが見られた。まず、VRヘッドセットや関連機器を手がけるメーカーのShiftallが、新製品『MeganeX 8K MarkⅡ』を発表した。

 価格は税込249,900円。昨年発売された『MeganeX superlight 8K』のバージョンアップモデルで、基本性能はそのまま、細かな構造や内部OSに手が加わっている。本機の発表と合わせて、少し前に告知されていたVRコントローラー『GripVR』の予約もスタートした。

 筆者は製品説明会に参加してきたが、話を聞いたところ、メインターゲットとなるのは外部センサーを設置する、ヘビーなVRユーザーだ。特に『MeganeX superlight 8K』は、発売後特に海外から多く注文され、それをきっかけに海外ユーザーのコミュニティが創出。彼らの中にいるエンジニアリングに長けた面々などのフィードバックを受けて、改良が加えられたのが『MeganeX 8K MarkⅡ』だという。

 現地で軽く実機を体験してみたが、『MeganeX 8K MarkⅡ』自体の使い勝手は先代とさほど変わらない印象を受けた。8Kの高画質と額で支える独特の構造は、特に短時間利用に長けている。

 その上で、今回のMarkⅡでは従来のVRヘッドセットによく見られる構造のストラップも発表され、長時間利用にも適応するように発展している。『GripVR』も使用感はなじみ深く、外部センサー対応コントローラーが絶滅危惧種となっているなか、いい塩梅の新顔としてデビューできそうだ。

 こうした新製品発表からしばらく後、同じく国内VR機器メーカーのDiver-Xが開発を進めていたボディトラッキングデバイス『ContactTrack』について、同社からShiftallが事業買収を行ったことも発表された。

ContactTrack事業の買収について

 競合他社へデバイスの事業売却が行われるケースはそこそこめずらしい。その経緯をめぐっては、これまためずらしい形だが、両社の代表が対談動画をYouTubeで公開している。業界全体を見据えた話もされているユニークな発表動画なので、業界動向が気になる方はチェックしてみるとよいだろう。

『VRChat』が12月に国内初のビジネスカンファレンスを開催

 VRプラットフォーム大手の『VRChat』には、新たに「ショップ」機能が追加された。

The Shop, Spookality... CUTE CAT?! VRChat Patch Notes 2025.3.4

 「ショップ」は5月に実装された「アバターマーケットプレイス」とは異なる有料コンテンツ販売機能で、どこでも取り出せる「アイテム」や、リアクション用の「Emoji」と「ステッカー」、ワールド移動に使える「ポータル」のスキンなどが販売されている。早速、10月31日のハロウィンに合わせて、キュートなクリーチャーのペットアイテムが発売されており、これらと連動するミニコンテンツ「キャンディクエスト」もスタートした。

 長らく内部のコンテンツ売買機能が存在しなかった『VRChat』において、この「ショップ」は「アバターマーケットプレイス」に並ぶ分かりやすいコンテンツ売買機能にして、『VRChat』本体のマネタイズルートでもある。プラットフォーム内経済圏の実装を進める動きは、裏を返すと『VRChat』の運営課題がそこにある……とも推測できるだろう。

 それを裏付けるかのように、『VRChat』運営企業は日本で初めてとなるビジネスカンファレンス『VRChat Japan Business Experience 2025』の開催を発表した。12月17日、ベルサール秋葉原にて開催予定だ。

 数あるメタバースの中でも、『VRChat』は国内の一般層および企業からの関心が高まりつつあり、企業による活用事例も着実に増えている。熱量の高い日本市場に、運営企業も商機を見出しつつあるのかもしれない。いずれにせよ、収益向上に向けた動きが『VRChat』ではしばらく見られることだろう。

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