ZETA DIVISIONや大丸松坂屋もVTuber事業に参入 文化の広がりと、その最新動向をまとめる

新規参入が続くVTuber市場の最新動向

「ZETA DIVISION」や大丸松坂屋百貨店がVTuber事業に参入

 プロeスポーツチーム「ZETA DIVISION」を運営するGANYMEDEが、VTuberブランド「UltraLMTM(ウルトラリミテム)」を始動した。9月27日からはオーディションも発表され、人員募集がスタート。プロデューサーはZETA DIVISION所属のk4sen(かせん)がつとめる。

 eスポーツ選手およびゲームストリーマーとVTuberとの距離は、年々縮まりつつある。双方のコラボは当たり前のように行われるし、Crazy RaccoonやREJECTといったゲーミングチームにもVTuberが加入するようになった。この流れを踏まえれば、プロeスポーツチームの運営企業がVTuber事業に参入することは、とても順当な展開と言えるだろう。

 その一方で、大手百貨店の大丸松坂屋百貨店も、VTuberプロジェクト「EchoVerse」を始動。最初の所属VTuberである花依よるはのデビュー配信が9月27日に実施された。

【初配信】花依よるはです!歌います!【 #新人VTuber 】

 意外な方角から動き出した新人VTuberについては、筆者が担当したインタビューで人となりを掘り起こしているので、気になる方はこちらもご参照いただければ幸いだ。

眠れない夜に寄り添える“居場所”になるために——「EchoVerse」新人VTuber・花依よるは独占インタビュー

インフルエンサーやメタバースなど、チャレンジングな新規事業を重ねてきた大丸松坂屋百貨店が、2024年から始動したVTuberプロ…

 かつては新設企業の新事業として動き出すことが多かったVTuber事業も、(広報系VTuberを除けば)いまや「すでになにかしている企業」の参入が当たり前になりつつある。経営多角化における選択肢にVTuber事業が入ってきたことは、文化の広がりを示す材料として認識しておくのがよいだろう。

にじさんじの新ユニットは正当派男性アイドル

 にじさんじからは、8月デビューの「今宵、××と夢を見る。」(読み:こよい、すぴねるとゆめをみる/略称:よいゆめ)に続き、新規ユニット「すぷれあ」がデビューした。

【#1 伝説の始まり】みんなに会いたくて、全国回ってきちゃった。#すぷれあ47都道府県縁結び 【にじさんじ / すぷれあ】

 コンセプトは「男子高校生アイドルグループ」。正当派アイドル路線の男性VTuber4名で構成されており、特徴的なのはユニットとしてのデビュー時に、紙芝居と実写ロケを織り交ぜた長尺企画を仕込んでいたこと。にじさんじが積み重ねてきた長年のノウハウによってか、動画クオリティは地上波バラエティ並だ。さながら新人アイドルバラエティといったところか。

 またガールズバンドのよいゆめに続き、ユニット単位の方向性が非常に明確な新人デビューでもある。新人タレントの押し出し方として、ただのユニットとしてデビューさせるよりも効果的な手法だろう。

 一方、にじさんじのタレントユニットのひとつ「七次元生徒会!」は、志摩スペイン村とのコラボを発表した。メンバーの一人・周央サンゴの縁から成立したと思われるコラボだが、ある意味では生徒会メンバーによる修学旅行の雰囲気も感じられる。コラボ先としては適任だろう。なおかつ、複数人のタレントのファンを誘致できるとなると、これまで定期的に行われてきたにじさんじとのコラボがさらに強力になった事例とも言えそうだ。

あおぎり高校が地上波進出 新人デビューのにゃんたじあ!は『VRChat』活用が本格化

 viviONが運営するVTuber事務所「あおぎり高校」は地上波に進出した。バラエティ番組『あおぎり高校のENJOY!エンジョー予備校!』が、10月3日にTOKYO MXで放送がスタートする。

 タイトルから察せられるが、テーマは「炎上対策」。実際に炎上経験のあるメンバーもいるあおぎり高校だけに、妙に説得力のある番組内容である。こうした企画を引き受けられることも、VTuber業界ではある意味で重要なブランディングといえるかもしれない。

【異世界組初コラボ】最強の2人爆誕しました!【#にゃんたじあ!/#新人VTuber】

 サンリオとClaN Entertainment(日本テレビ)のVTuberプロジェクト「にゃんたじあ!」からは、3期生2名がデビューした。今回は「異世界出身」がコンセプトとのことで、タレント名称もこれまでと打って変わってカタカナだ。デビュー者も、プレイ時間1万時間寸前な『League of Legends』プレイヤーのニャマシュヴァ・ルッツ、清廉で料理のショート動画が特徴的なニャマルベール・ペルルと、個性が強い。

【サンリオVfes #vrchat】バーチャルピューロランドを最高に満喫する♥にゃんたじあ!全員集合っ!!【 #若魔麦たると/ #にゃんたじあ!】

 一方、「にゃんたじあ!」の既存メンバーからは『VRChat』に乗り込む動きが見られた。もともとサンリオが『VRChat』のイベント『Sanrio Virtual Festival』を主催していることもあり、事務所として親和性が高いのも大きいが、そういった事情を抜きにして、タレントたちが単にイベントを満喫する姿も見せている。実際、先日まで開催されていた『Sanrio Virtual Festival 2025』の夏公演では、各タレントがイベントやワールドへ遊びに行ったり、コミュニティイベントへ出張していく姿が見られた。

 実際、筆者も『VRChat』で「にゃんたじあ!」所属タレントに数名遭遇しているが、やはりVR越しに“現地”で出会うVTuberは心理的な距離感が縮まりやすいと感じる。所属タレントのうち、若魔麦たるとと若魔雲ふわりは『VRChat』内のグループを作成し、内部活動に注力する構えを見せている。『VRChat』を軸にファン基盤を獲得・強化する、新しい企業VTuberの路線も生まれてきそうだ。

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