『Weekly Virtual News』(2025年9月3日号)
星街すいせいが「世界を変える30歳未満」に抜擢 新たな広がりを見せるバーチャル業界の一週間

星街すいせいが「世界を変える30歳未満」に
ビジネス誌『Forbes Japan』が発表する、「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」。日本における「世界を変える30歳未満」を30人選出するこの企画で、今年はホロライブの星街すいせいが選ばれた。
「世界を変える30歳未満」を30人選出する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」の受賞者が決まった。
→【発表】「世界を変える30歳未満」30人 「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2025」に選ばれたのは?#u30fj https://t.co/8vKzuDxQTi
— Forbes JAPAN (@forbesjapan) August 25, 2025
VTuber/バーチャルシンガーとしては、花譜に続いて2人目。バーチャルな存在のまま、アーティストとして大成してきたその足取りが評価された形だ。最新号の『Forbes Japan』表紙まで飾り(こちらはVTuberとしては初)、その影響か同号は各所で品切れを起こす珍事も起きている。
いずれにせよ、VTuber業界史にまた新たな一歩が刻まれたことはたしかだろう。『Forbes Japan』最新号には彼女のロングインタビューも掲載されており、業界の外へ「バーチャルな存在の歩み」を伝えるよい資料となっているので、気になる方は(販売が再開したら)手にとってみることをオススメしたい。
“外に広がる”という意味では、にじさんじ発ユニット・ROF-MAOのロケ動画も捨てがたい。8月27日と8月28日にROF-MAOの公式YouTubeチャンネルに投稿された動画では、ROF-MAO初の海外ロケに挑戦。その行き先はモンゴルである。
かつて、デビュー時には無人島へメンバーを送り込み、サバイバルする様子をほぼ実写で届けてきたROF-MAOだが、モンゴルロケでもその勢いは健在だ。本物の遊牧民一家のもとで、仕事を手伝いながら交流を深める、体当たりながら力の入ったロケが繰り広げられている。
そして、おそらく出演陣も想定外のバズが引き起こされた。番組中に登場する、妙に地平線と平行な犬。どこかシュールなこの犬は、あるXアカウントが「こんな犬をタイムラインで見かけた」と投稿したのを皮切りに、「モンゴル犬」の通称で広まっていった。
そして、モンゴル犬のイラストが急速に描かれ始め、その名とともにさらに広まる、典型的なミーム化が引き起こされている。その過程で「ROF-MAO」に、ひいては初めてVTuberに触れたという人も現れ、体当たりだが真摯なロケ番組に好印象を持つ感想がチラホラ見られた。
著名なビジネス誌と、予想外に人気が出てしまった犬。経路はどうであれ、外側との間口が広がっていくことはよいことである。
『VRChat』人気ワールド「NAGiSA」の作者が法人を設立
『VRChat』で人気の1対1会話ワールド「NAGiSA」作者であり、2018年生まれの古株VTuberでもあるエンジンかずみは、8月25日に株式会社ナギサコネクトを設立した。「NAGiSA」で培った集客力と運営力を活かし、メタバース空間プロデュースや広告事業を行うとのことだ。
「NAGiSA」の総来場者数は、本記事執筆時点で170万人超。スタンミの配信を起点とする『VRChat』ブームとほぼ同時期に公開され、結果多くの新規層が訪れるワールドとなった。現在もたくさんのユーザーが毎日訪れており、広告メディアとしての価値は高い。ワールドを起点としたビジネス発展の一例として、注目に値する。
一方、3Dモデル販売プラットフォームのデファクトとされる「BOOTH」運営のピクシブは、4,000人を対象とした『VRChat』ユーザーアンケート結果を発表した。プレイ頻度やプレイ歴、そして様々な意識調査が実施されている貴重なデータだ。
【#pixiv_inside】
VRChatユーザー4000人アンケートレポート🎉
新規ユーザーの動向とインサイト公開https://t.co/bN86oVHBee2025年4月に実施したアンケートを基に
ユーザーの傾向や課題を考察📝VRChatのユーザー動向に興味がある方は
ぜひご覧ください✨#BOOTH— ピクシブ株式会社 pixiv Inc. (@pixiv_corp) August 28, 2025
驚くべきことは、プレイ歴1年未満の回答者が半数を占めるアンケートながら、65.5%のユーザーがほぼ毎日ログインしていること。週に複数回ログインまで範囲を広げれば、88.5%になる。2024年スタートの若いユーザーであっても、すでにヘビーユーザーに至っている可能性を示しており、昨年のブームが一過性に終わっていない証拠でもある。
一方で、「始めるまでに感じた障壁」などの回答も興味深い。コミュニケーションやコミュニティ参入への不安、デバイスの価格やPCスペック、「アバター改変」などの独自文化や専門用語のハードル……なにが壁を感じたかどうかは、魅力と並ぶ重要な背景情報だ。
実際、『VRChat』は現時点でも、プレイ開始からステップアップまで様々な知識・技術の習得が必要なタイミングがある。しかし、その多くはプラットフォーム側が提示するものではないため、口伝やメディア発信が頼りである。ユーザー生成コンテンツ文化が強く育まれた土壌ならではの事情を、どう乗り越えていくかは課題だ。






















