ホロライブ・火威青の卒業にアップランドの『VRChat』参入 出会いと別れ、独立と合併が続くバーチャル業界

出会いと別れが相次ぐバーチャル業界

ホロライブ・火威青が卒業 休止から半年

 hololive DEV_IS所属の火威青が、10月3日付けで卒業した。適応障害の診断を受け今年3月から休止状態にあったが、復帰が叶うことなく卒業に至った。卒業に伴う配信も実施されていない。

 女性VTuberが集まるホロライブの中でもめずらしいボーイッシュスタイルで、かつ漫画家の側面も持つ特殊なポジション、かつヘビーな『VRChat』ユーザーとして、「バーチャルマーケット」へ出展するなど多面的な活動を展開していた一人だった。筆者個人としても、『VRChat』とVTuberの両シーンをつなぐキーマンとして注目していただけに、この活動終了はとても寂しく思う。

 とはいえ、適応障害は容易に回復するものではなく、治療に近づくにはストレスの要因となるものから離れるのが最良とされている。本人としても苦渋の選択に違いないが、まずは回復を祈りたい。

VTuber企業のアップランドが『VRChat』アパレルに参入

 電脳少女シロなどを送り出したVTuber企業の老舗・アップランドは、10月3日にメタバースアパレルブランド「wearverse」を始動した。

 VRChat向け衣装販売ECの定番である「BOOTH」に出店し、2着の衣装を発売。やや古めだが人気どころのアバター5体を対象にフィッティング対応を施しており、カルチャー理解は高めの出だしだ。ユーザー向けDiscordサーバーも開設し、対応アバターの募集を行うなど、ユーザー目線の展開を進めている。

 もともと、アップランドでは.LIVE所属の神楽すずや、ぶいぱい所属の鬼頭みさきなどが『VRChat』に関心を示し、今年の頭から継続的に『VRChat』配信を実施してきた。両名とも市販アバターのカスタマイズモデルを利用しており、理解度の高さがうかがえた。その理解度と熱量が、運営企業にも伝播した形だろうか。

 今後、「wearverse」は衣装だけでなく、アバターやワールド制作なども視野に入れているという。アップランドがVTuber事業とVR事業で培った知見が、この領域でどのように活きてくるか、注目したいところだ。

バーチャル・エイベックスがMBOを実施 バーチャルキャストとLOGIC&MAGICは合併へ

 バーチャル業界の企業にはいくつかの変動が見られた。まず、「まりなす」などの運営で知られるバーチャル・エイベックスが、マネジメント・バイアウトの実施を明かした。

 親会社であるエイベックス・クリエイター・エージェンシーが保有するバーチャル・エイベックスの株式が、取締役である原佳祐氏に一部譲渡され、人事異動も合わせて実施される。

 全株式譲渡ではないものの、81%の株式が譲渡された形であり、今後の同社の動向には一定の独立性がもたらされそうだ。エイベックスの連結範囲からも除外される見通しだが、直近はVTuberライブ制作も精力的に取り組んでいるだけに、独立性を確保した動きに期待したい。

 一方、ソーシャルVR「バーチャルキャスト」運営の株式会社バーチャルキャストと、映像制作・ライブ演出を得意とする株式会社LOGIC&MAGICが合併を発表した。バーチャルキャストを存続会社として、10月1日付けで吸収合併が実施された形だ。

 バーチャルキャストはN高グループでVR教育領域を開拓し、リアルタイムARなどにも挑んでおり、LOGIC&MAGICはモーションキャプチャー技術を活用したコンテンツ制作を手がけており、双方ともにシナジーのある技術・資産スタックを有していると思われる。今後より横断的な展開も予感されるバーチャル業界において、得意領域を有する会社が合体していく流れは、自然な展開だろう。

ホロライブの“ひと味違う”新グループ・ReGLOSSの四半期を振り返る(火威青/一条莉々華 編)

2023年9月にはカバー株式会社が新設した、従来の活動や枠組みに囚われない「成長」「挑戦」をテーマにした新グループ・hololi…

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