東海オンエア、フィッシャーズら参加の“UUUM野球部”が見せた快挙 ファイターズOB選抜との「ドリームマッチ」を振り返る

UUUM野球部×ファイターズOB試合を振り返る

 その後、リアルサウンドテックでは今回の取り組みについて、株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント(以下、FSE) 事業本部 コンシューマー統括部 マーケティング部 部長 田邊朋哉氏とUUUM株式会社 クリエイターマネジメント第6ユニット ユニット統括 野口大貴氏に話を聞いた。

株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント(以下、FSE) 事業本部 コンシューマー統括部 マーケティング部 部長 田邊朋哉氏、UUUM株式会社 クリエイターマネジメント第6ユニット ユニット統括 野口大貴氏

 ファイターズのホーム球場移転は2023年のこと。自社所有のエスコンフィールドHOKKAIDOへと拠点を移したことにより、年間約72試合のホームゲーム開催日以外にエスコンフィールドでのイベント開催が可能となった。そこでFSEは春・夏・秋・冬の四季それぞれに軸となるイベントを開催することにしたという。それが春の『パンのフェス』、夏の『北海道肉祭り』、秋の『クラフトビールフェス』、そして冬の『ES CON FIELD神社』だ。

 実際に筆者も足を運んだことがあるのでわかるが、エスコンフィールドはボールパークとして建築的にも完成度が高く、野球を見る環境として抜群に良いというのはもちろん、食のクオリティも高く、12球団屈指の”グルメスタジアム”になっている点も大きな魅力のひとつ。田邊氏はそんな”食”をテーマに春〜秋の催しを考えたという。

「『パンのフェス』では全国各地の美味しいパン屋さんが30〜40店舗ほどフィールド内に出店し、パン好きの方々から大変ご好評をいただいています。『北海道肉祭り』ではザンギや唐揚げ、親会社の日本ハムによるシャウエッセン、世界各地の美味しい肉を集めたキッチンカーが出店し、ビールと共に夏ならではの食のイベントとして定着を目指していますし、秋の『クラフトビールフェス』は世界各地のクラフトビールを楽しむことができ、いずれのイベントにも多くのお客様にお越しいただいています」(田邊氏)

 また、冬の「ES CON FIELD神社」についても、毎年の恒例行事になりつつあるという。

「冬はイベントが少ない時期ですが、2023年より毎年始めにはエスコンフィールドのマウンドに『ES CON FIELD神社』を設置しており、約5日間で約1万人以上の方が初詣やファイターズの優勝を祈願しに訪れていただけています」

 続けて、田邊氏は印象に残ったイベントについて述べた。

「スポーツコミュニティを軸に様々なイベントを毎年企画しています。昨年はオフシーズンに球場を使ってBリーグの公式戦を開催し、大きな話題となりました。 野球のイベントとしては、昨年夏に日韓OB戦を開催し、約3万人のお客様にご来場いただきました。今年は日韓国交正常化60周年という節目でもあり、韓国側はWBCで活躍した主力選手に参加いただき、11月に再び開催予定です」

 では、今回のUUUMとの取り組みはどのような狙い・反響があったのか。田邊氏は「球団のPR」と「FビレッジのPR」の両側面があると考えた。

「エスコンフィールドは『野球をする場所』という固定観念があるため、今回は特に新規ファンの獲得という側面を強く意識しました。 球団のPRとしては、ファイターズOBの方々がエスコンフィールドのグラウンドで真剣に野球をする姿を見せる機会がなかなかなかったので、ファイターズOBファンの皆様が足を運んでくださり、当時のグッズなどを持って応援する姿が見られました。

 Fビレッジ全体のPRとしては、野球とあまり接点がなかったであろうクリエイターのファンの皆様がエスコンフィールドを訪れ『野球って面白い』『エスコンフィールドって楽しい』と感じてくださったことが大きな成果です。現場でも、初めて野球を観戦するような客層の方が多く、応援の仕方に戸惑う姿も見られ、まさに新しい層へアプローチできたと実感しています。今回の取り組みが、野球を真剣に見るきっかけや、試合のない日にFビレッジ・エスコンフィールドへ遊びに来てもらうきっかけになったと考えています」

 最後に、今回の取り組みを通した定量的・定性的な効果についても教えてもらった。

「定量面では、当日の来場者数が目標の1万人を大幅に上回る約1万5000人以上を記録しました。また、有料チケットも当初1500席を予定していましたが即日完売し、増席を重ねて最終的には約4000席以上を販売できました。これも予想を上回る売れ行きで、両面で非常に良い結果でした。 来場者アンケートでも、8割以上の方が今後の開催も熱望し、満足度は4.2と、通常の公式戦と変わらない非常に高い評価をいただきました」(田邊)

「配信の定量面では、普段野球の配信を全く行っていない東海オンエア・てつやの個人チャンネルでの実施だったため、どれくらいの視聴者が来るか未知数でした。1万同時接続を超えれば成功と考えていましたが、結果として平均で2万同時接続、最大で2万7000人の視聴者を獲得し、その日の日本国内の配信コンテンツではトップ3に入る規模でした。MasuoのTwitchでの配信も5000〜6000人を超え、合計すると3万同時接続以上となり、本当に多くの方に見ていただけたことを喜ばしく思っています。クリエイターにとっても、ファンに自分たちを知ってもらえる良い機会となりました」(野口)

 なお、田邊氏が語ってくれた余談だが、当日は射り口氏による『暴れん坊チキン』のキッチンカーが登場し、100分待ちという脅威の行列を作ったことで『ザンから祭り by 桜姫』の売上に大きく貢献したという。ライト層の新たな新規顧客を獲得し、楽しんでもらいながら野球を広めていこうというFSEの姿勢は、もしかすると現在の好調な順位にもつながっているのかもしれない。そう思わせるほど野球の楽しさが伝わる運営をしているFSEの施策に今後も注目するとともに、今回の大型コラボが1回きりで終わらず、先々も続いていくことを願うばかりだった。

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