コンビニプリントの市場規模、なぜ飛躍的に向上? UUUM×BITが若年層向けに取り組む“新たなコンテンツのかたち”とは

コンビニプリントの市場規模、なぜ向上?

 YouTubeを舞台に活躍するクリエイターの活動を多面的に支援するUUUMと、ソフトウェアやコンビニプリント事業などを手がけるビジネスインフォメーションテクノロジー(BIT)は、2023年7月に業務提携を行い、eプリントサービスを共同で推進している。

 全国のコンビニに設置されたマルチコピー機を通じて、ファンとクリエイターの新たな接点として機能し、とりわけ決済手段を持たない若年層が手軽にコンテンツを購入できる仕組みを構築したことが、市場規模の飛躍的な拡大に成功しているという。

 両社の取り組みによって生まれた新たな収益モデルやネットプリント市場の将来性を、そぞれの立場からどのように考えているのか。UUUM株式会社でライブエンタテインメントユニット ユニット統括/チーフプロデューサーを務める英山正夫氏と、株式会社ビジネス・インフォメーション・テクノロジーの取締役でありe-出版事業部 事業部長の長谷川大輝氏に話を聞いた。

想像以上だったコンビニプリント市場のポテンシャル

ーー はじめに、両社が業務提携に至った背景をお伺いさせてください。

長谷川大輝(以下、長谷川):最初のきっかけは、弊社代表の山口幸雄が、UUUMの梅景社長とお会いしたことでした。そこから、具体的な話に段々とつながってきて、2023年7月に当社が展開する全国のコンビニのマルチコピー機でコンテンツを出力できる「eプリントサービス」と、販売連携を主軸とした業務提携を結ぶことになりました。

株式会社ビジネス・インフォメーション・テクノロジー取締役e-出版事業部 事業部長 長谷川大輝氏

英山正夫(以下、英山):コンビニプリント市場はハードルが高いと最初は思っていました。「コンビニでブロマイドを購入する」という流れは、いまのように明確なイメージがあったわけではなく、実際に試してみるうちに気づきや発見があったので、正直そこまで深くは想像できていなかったんです。

UUUM株式会社ライブエンタテインメントユニット ユニット統括/チーフプロデューサー 英山正夫氏

ーーコンビニプリント市場における自社の経済圏があるなかで、インフルエンサーの会社と組む利点をどこに見出したのでしょうか?

長谷川:私たちにとってUUUMは非常に大きな存在に映っていました。多数のトップクリエイターが在籍していて、先頭に立って業界を牽引している会社という印象が強かったですね。

 そのため、何かしら取引の機会がないかと模索していたのですが、冒頭でも触れた通り、弊社の代表がご縁あってご紹介いただく機会に恵まれて、今回の取り組みにつながりました。

 実際のところ、当初からUUUMさんとの相性の良さは感じていました。というのも、これまでもエンタメ商品を扱っていなかったわけではなく、声優さんのブロマイド写真を販売したときは、当時の我々の想定を超えるほどの売上が出て、エンタメコンテンツの持つ影響力やポテンシャルの大きさを実感していたんです。

 そんななかで、もっとも手応えを感じたのがUUUMさんとの取り組みでした。売上はもちろんのこと、話題性やお客様の反響を見ても、間違いなく高い親和性があったと確信しています。

ーーeプリントを使うメリットが、この2社の協業でどのように活かされているのでしょうか。

長谷川:今回の取り組みが非常にフィットした大きな理由のひとつに、「若年層との相性の良さ」が挙げられます。コンテンツを購入する際に現金決済が可能なことや、全国どこにでもあるコンビニのマルチコピー機で手に入る手軽さなどが、UUUMさんが抱える若い世代のユーザー層とかなりマッチしたと考えています。

 たとえば、お小遣いをもらったタイミングなどに、最寄りのコンビニで簡単に買えるというユーザー体験は、若い世代にとっても非常に魅力的だと感じていますね。

英山:双方の視点から見て、この取り組みはとても大きな意義があると感じています。当社側から見ると、YouTubeクリエイターをはじめとするインフルエンサー領域において、長年業界に根を張り、多くのIPやパートナー企業と連携してきた実績があります。自社所属のクリエイターはもちろん、他社との業務提携も数多く行ってきたことで、エンタメ業界のIT商材やサービスの販売規模が以前よりも拡大しました。

 その一方で、自社所属のクリエイターに限らず、さまざまな事務所に所属するクリエイターが、マネタイズについていろいろと工夫していきたいという悩みを抱えており、今回の業務提携がその課題に対する具体的な解決策になったと思っています。

 ユニークな取り組みの例として、クリエイターがライブ配信中に撮影した写真を、最速30分ごとに全国のコンビニでプリントできる「ライブプリント」という仕組みは、ほかにはない独自性のあるサービスです。さらにローンチ時期はまだ未定ですが、小規模クリエイターや事務所の方々が利用できるプラットフォームを共同で提供する準備も進めています。

 そのプラットフォームを通じて、フォロワー1万人くらいのクリエイターでも、自由に自分で画像を登録してコンビニで売れるような仕組みを構築していきたいと考えています。

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