天使と悪魔を操って列車を防衛せよ! 高評価タワーディフェンス型デッキ構築ローグライトの続編『Monster Train 2』レビュー

『Monster Train 2』をプレイした。本作は『Monster Train』『Inkbound』を開発したShiny Shoeの新作ゲームだ。いわゆる『Slay the Spire』に代表されるようなデッキ構築ローグライトであり、前作は圧倒的好評を受けたが、残念ながら日本語化されていなかった。
うれしいことに本作は発売時点から日本語化されており、問題なくプレイできる。前作のプレイフィールを引き継ぎつつも、全体的にブラッシュアップされた体験は、ジャンルファンでも熱中できるほど秀逸な出来に仕上がっていた。

物語は、タイタンという凶悪な存在が天国を掌握したところから始まる。天界を追い出された脱天使たちは、悪魔と一時的に手を組み、共闘することに決めた。彼らは同じ列車に乗り込み、地獄から天国へ、タイタンを打倒する旅に出るのだった。
本作は、デッキから引いた手札の中から、マナ(ゲーム中ではエンバーという)が尽きるまでカードを使用し、迫りくる敵を倒すというオーソドックスなデッキ構築ローグライトだ。

ユニークなのは、3つの部屋に分かれた列車が舞台であり、ターンごとに敵が乗り込んでくる仕掛けになっている点だ。バトルの最初にユニットを配置するフェイズがあり、ほとんどの場合はユニット同士が殴り合うことでゲームが進行していく。
ユニットに直接ダメージを当てたり、バフを入れたりできる「呪文」や「装備品」、部屋全体に効果を与える「ルーム」など、何種類かのカードを駆使し、自軍のユニットが倒されないように管理していく必要がある。
もしも最深部まで敵の侵入を許してしまい、列車の炉魂を破壊されてしまうとゲームオーバーだ。炉にダメージが入るだけでもバトルの報酬が減らされてしまうので、なるべく効率的に敵を排除していきたい。やたらと画面に文字が多いUIだが、重要なのはそれだけだ。

特に大事なのは各部屋の前面にいるユニットである。本作は「勇気」というバフがかなり強く、勇気の分だけ攻撃力が上がり、加えてそのユニットが前面に出ている場合はターン終了時に同数値のアーマーも付与される。なるべく前面のユニットに勇気を集中させつつ、後方のユニットには火力支援させるプランが望ましいだろう。もちろん、バフやデバフはかなりの数が用意されており、デッキごとに最適な戦略は異なるので、勇気だけを意識すればいいわけでもない。
また、ランの最初にもらえるカードが、弱い割に同じものがたくさん入っているので、同ジャンルの他作品同様にデッキ圧縮が肝なのだが、カードの種類が多いため、どのカードを何枚入れて代わりに何を削っていくかを考えるのがなかなか難しい。明らかに強いカードや、いらないカードも中にはあるが、ジャンルファンであっても熟考する羽目になるだろう。

そのほかにも、本作は脱天使と悪魔の共闘というフレーバーだけあって、列車に乗り込む「クラン」をふたつ選ぶことができる。主力一族のチャンピオンはすべてのバトルに必ず乗せることになり、このチャンピオンを主体としたデッキ構築がなかなか面白い。
たとえば、脱天使クランのチャンピオンであるフェルは、火力も体力もおとなしいが、連続攻撃(連撃)ができるユニットだ。加えて、位置を入れ替えると火力が上がったり、自ら位置を変えて強くなったりする能力が多く、このゲームの基礎が頭に入ってくる性能をしている。

他には、火竜族のチャンピオンであるフェニックス卿は、見た目通りの高火力・高耐久のドラゴンだ。自ら敵に火球を吐き、キルを取ることで自分を強化していくシンプルな性能をしているが、ゆえに搦め手が作りづらく、敵の強さがインフレしていくのにどう対応していくかが求められるユニットである。
ちなみに、前作と違って本作はランのあいだにクラン同士の会話劇を読むことができる。ゲームではよく見るコテコテのファンタジックなフレーバーではあるが、いがみ合った者同士が嫌々ながら協力していく流れはやはり面白い。

クラン同士の組み合わせから、敵を迎え撃つのに最適な部屋構成など、考えることが多く、プレイスキルの上達をちゃんと感じられる素晴らしい作品だった。現時点では強力なシナジーが固まっていたり、前作同様UIがゴチャゴチャしていたりするが、その程度のことは大した問題ではないだろう。まだまだデッキ構築ローグライトには可能性が残っていることを感じさせる一本である。
























