レトロでかわいいタワーディフェンスから、子どもの大好きな“アレ”題材のアクションまで 「東京ゲームダンジョン8」会場レポート

「東京ゲームダンジョン8」会場レポート

 2025年5月4日、東京都立産業貿易センター浜松町館にて「東京ゲームダンジョン8」が開催された。

 インディーゲームの展示及び体験会として長く愛されている本イベント。今回も注目しておきたいタイトルが目白押しだった。いくつかピックアップしてご紹介しよう。

ナメクジ×カタツムリのナメツムリな美少女がヌメヌメ動く3Dドットイート『PRJ rain(仮)』

 1980年発売の『パックマン』によって一大ブームとなったジャンル……ドットイート。敵がうろつく迷宮を行き来しながら、敷き詰められている点(ドット)を食べ切ることを目的とするゲームだが、昨今はあまり見かけなくなったジャンルだ。

 今回試遊した『PRJ rain(仮)』は、そんな昔懐かしいドットイートを現代風にアレンジした作品である。

 主人公はナメクジとカタツムリが合体したナメツムリの少女。3Dダンジョン風の空間を走り抜けつつ、辺りを徘徊する青いスライムを制限時間以内にすべて捕まえたらクリアだ。

 当然ながらあたりには敵も徘徊しており、ぶつからないようにしなければならない。また、ナメツムリは画面下部にあるヌメヌメゲージが残っている限りスピードアップができるので、効率的に使っていく必要がある。

 スライムはどの個体も青いヌメヌメを垂れ流しながら動き、主人公がその上を歩けばヌメヌメゲージが回復する。スライムの軌跡を辿ってゲージを回復しつつ、迷宮を行ったり来たりするのが楽しかった。

 レトロな感触を残しつつ、かわいさに振った意欲作だ。開発のクレアクラン曰く、2025年中の発売を目指しているという。

ケツから射出されたアイツを操作するジャンプアクション『ウンコテクニカ』

 小学生に異様な人気が出そうな本作だが、実際にイベントに来た子どもたちをバキュームのように吸い込んでいた。筆者も心だけはいつまでもあのころのままなので、試遊させていただいた。

 『ウンコテクニカ』は、マウスクリックしか使わないシンプルな1画面形式のアクションゲームだ。お尻のアイコンをクリックすると、巻き糞がブリッと射出され、ツルツルと滑っていき、壁に当たると跳ね返る。画面に散らばるUNCOINを集めつつ、なるべく最小のジャンプでゴールを目指そう。

 ジャンプのタイミングはなかなかシビアであり、ギミックもどんどん追加されるので、そう簡単には飽きなさそうだった。最小工数でクリアすると「パーフェクトウンコ!」と凄まじく頭の悪いお褒めの言葉がいただけるので、俄然やる気が出るというものだ。

 手に入れたUNCOINはガチャを回すのに使用できる。ガチャではウンコの肩書き(デカい、くさいなど)と、ジャンプ時のエフェクトが出てくるので、好きなだけカスタマイズすることができる。君だけの最強のウンコを作ってほしい。

 製品版のステージは全部で188個用意するつもりだという。開発者のウンコ(とアクションゲーム)への並々ならぬ情熱を感じる作品だった。

手堅い作りのタワーディフェンス入門作『首無し魔獣と双子姫』

 お次は非常に手堅い作りのタワーディフェンスゲーム『首無し魔獣と双子姫』を紹介しよう。

 ある日突然ゲームの世界に閉じ込められてしまった双子のお姫様。並みいる敵を倒すために、ぬいぐるみ兵を召喚して戦ってもらうというストーリーだ。

 重たい近接攻撃ができる剣士や、手数で攻める騎士、遠距離から矢を放つ弓術士など、さまざまなパターンのぬいぐるみ兵を生み出し、効率よく敵を倒していこう。

 ただ召喚後は眺めているだけではなく、手動で必殺技を放つことが可能だ。特定の必殺技のあとに有効な必殺技や、前の必殺技から5秒以内に必殺技を放つことでコンボになるなど、アクション性があるところも見所である。

 低難易度を選べば敵の攻撃も優しいものになるので、タワーディフェンスが苦手な人でも満足に遊ぶことができるだろう。

妹とともに荒廃した世界を駆け抜けろ『Near The Sun』

 続いては、ポストアポカリプス世界を舞台にした2Dプラットフォーマー作品『Near The Sun』。

 本作はロボットが彷徨う地下世界を舞台に、妹を背負った少年カルーアが冒険をするゲームだ。

 作りはオーソドックスだが、特徴的なのは8方向へのジャンプダッシュアクションである。ダッシュ中は無敵なため、敵の視界や罠を掻い潜るのに使おう。

 ダンジョンの合間では重苦しいトーンの会話劇が展開される。製品版ではマルチエンドを採用するようなので、どんな展開になるのかが楽しみだ。

 ちなみにこれは余談だが、筆者のプレイ中、何とはなしに壁に向かってジャンプダッシュをしたところ、壁の向こうに入り込んでしまうという軽微なバグが見つかり、開発者とひとしきり笑いあった。こういう体験版ならではのバグが見つかるのも展示会の面白いところだろう。

人類を健やかな冷凍睡眠へと誘おう『FREEZIA』

 最後はユニークなフレーバーのパズルをお届けしよう。

 『FREEZIA』は人類の冷凍睡眠を管理するSFパズルゲームだ。主人公はAIとなり、ポッドのなかでスヤスヤと眠る人類のために、温度を一定に保たなければならない。やることはシンプルであり、立ち並ぶポッドをひとつずつ選び、温度を上下するだけだ。タイムリミットまでにすべてのポッドを適切な温度にすることでステージをクリアできる。

 ある程度進むと、外に放置されている人類などのギミックが追加される。彼らは自動的に温度が上がっていき、マックスまで行くと死んでしまうので、適度に他のポッドと入れ替える必要がある。こんな調子でどんどん忙しくなっていくのだろう。

 ありそうでなかったフレーバーで、とても新鮮に遊ぶことができた。簡素でレトロなグラフィックもかわいらしい作品である。

 以上、東京ゲームダンジョン8のレポートをお届けした。年々規模が拡大するインディーイベントであり、業界の熱気を肌で感じることができるので、次回はぜひとも現地に足を運んでみてほしい。

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