世界的サウンドエンジニア4名の手で実現した「最高峰のノイズキャンセリング」 開発陣&アーティストたちが語るソニー新ヘッドホン「WH-1000XM6」のすごさ

ノイズキャンセリングに並ぶもうひとつの目玉機能が「360 Reality Audio Upmix for Cinema」だ。開発担当の山嶋氏が語ったコンセプトは「そこがどこであっても映画館に」というもの。スマホやタブレットから送られるステレオ信号をリアルタイムに解析し、たとえばスクリーンから音が「面」で届く感覚など、劇場特有の立体的な音響を再現する。劇場公開を前提とした作品が本来の音響で楽しめるのはもちろん、もともと劇場公開を想定していないテレビシリーズのアニメやドラマであっても、まるで劇場版のように楽しむことができるという。
さらにスマートフォンアプリ「Sound Connect」との連携でユーザー自身の好みの音を探すことも可能となっている。「M5」の5バンドから10バンドに増えたイコライザーで細かく音質の調整ができるほか、楽曲を聴きながらボタンを選択していくだけで好みの音のバランスを見つけられる機能「ファインド・ユア・イコライザー」も便利だ。なお「360 Reality Audio Upmix for Cinema」も同アプリで「シネマ」モードに切り替えることで有効となる仕様である。
外観のデザインを担当した隅井氏は、ユーザビリティの向上と造形的な美しさの両立を目指したと語った。「M5」ユーザーからのフィードバックを取り入れ、廃止されていた折り畳み機構を復活。ヒンジ(蝶番)についてはあえて継ぎ目を見せ、視覚的なアクセントとしているという。また、アシンメトリーな設計を取り入れることで直感的に左右の区別をわかりやすくしたり、縫い目を後ろ側に寄せることで前方からの見栄えをよくしたりといった工夫についても明かした。
続いて、冒頭でレコーディングの様子を見せてくれたKucciと、サウンドプロデューサーの江口亮が登場。同製品を用いたレコーディングの感想と、作り手の立場からの所感を語った。
Kucciは本製品の体験を通じて、「臨場感」という抽象的な言葉を具体的な感覚として改めて理解できたという。音源からレコーディング時の感覚をありありと思い出させてくれる本製品は、良し悪しの判断に迷ったときに自分を説得してくれる「もうひとりの(自分の)耳」となってくれるのではと述べた。また、ピアスやイヤリングをしていても締め付け感がなく、どんな髪色にも合うカラーバリエーションも魅力だとファッション的な視点での感想も語った。
江口は、通常スタジオのラージスピーカーでしか聴けない音の「せり出し感」をヘッドホンで体験できたことを絶賛。また、イヤーパッドの装着性が驚くほど快適であり、「これを着けたままずっと音楽が作れそう」とも語った。
イベント終了後、実際に同製品を使用してのリスニングを体験できる機会も設けられた。個人的には重厚でリッチな外観に良い意味で反した、まるで着けていることを忘れてしまうような軽さとフィット感に衝撃を受けた。アプリと連動した操作性も直感的で、ノイズキャンセリングの精度も驚くべきものである。
イベント中、開発者のひとりが「長い時間をかけて開発してきた、自分の血が入った機能」と表現していたのが印象に残った。映像や音楽を体験するとき、そこにはコンテンツの作り手だけでなく、それを再生するハードウェアの開発者の思いも籠っている。実機は全国5箇所のソニーストア(銀座、札幌、名古屋、大阪、福岡天神)で展示中とのことなので、お近くの方はぜひ体験してみてはいかがだろうか。
























