世界的サウンドエンジニア4名の手で実現した「最高峰のノイズキャンセリング」 開発陣&アーティストたちが語るソニー新ヘッドホン「WH-1000XM6」のすごさ

ソニー新ヘッドホン イベントレポート

 2025年5月30日、ソニーから新型ワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM6」が発売される。今回は都内ソニー・ミュージックスタジオで開催された開発者トーク&先行体験イベントのレポートをお届けする。

 イベントは、ミキシングルームでの新人シンガーソングライター・Kucciによるライブレコーディング見学からスタート。その後、別室に移動し、開発メンバーによるトークセッションが行われた。

Kucci

 トークは、音質設計を担当した出井氏が、最大のセールスポイントである「サウンドエンジニアとの共創」について解説するところから始まった。本製品の開発には、Sterling Sound、Battery Studios、Coast Masteringという世界的に有名な3つの音楽制作スタジオから、4名のサウンドエンジニアが音質の調整に携わっている。「アーティストの意図する音を再現する」という共通の課題に対して、アーティストともっとも近い位置にいるサウンドエンジニアと、リスナーともっとも近い位置にいるオーディオ機器の開発者がともに取り組むというのは、ソフト/ハードの両面に強みを持つソニーグループならではの取り組みと言えるだろう。

 出井氏からは、最初エンジニアのもとに試作品を持参しても「すごいね、これで十分じゃないか」といった風にしか言われなかったが、コミュニケーションを重ねるうちにさまざまな意見をもらうことができた、という裏話も明かされた。

 世界的サウンドエンジニアの意見を取り入れつつ、どのような設計上の工夫がなされたのか。

 まずは内部機構についてだが、独自開発の穴の開いたボイスコイルボビン構造を採用し、ドライバーユニット内部の空気の流れを最適化している。振動板のドーム部には非常に硬い素材であるカーボンファイバーコンポジットを使用し、高音域の再現性を強化。ひとつ前のモデルである「WH-1000XM5」(以下「M5」)の8個から12個にマイクを増設し、より高い精度でノイズを拾えるようにもなっている。

 機能面では、「世界最高峰のノイズキャンセリング」がまず特筆すべき点だ。「M5」に搭載されていた約7倍の信号処理能力を持つ新型プロセッサー「QN3」により実現されており、開発を担当した伊藤氏によると、研究開発、半導体設計、商品設計の3部門の密な連携による成果とのことだ。周囲の音や気圧の変化をリアルタイムで解析し、最適なノイズキャンセリングを提供する「アダプティブNCオプティマイザー」も注目すべき技術である。

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