湊あくあ、鈴谷アキ、成瀬鳴……人気VTuberの卒業が相次ぐ今こそ考えたい、“ピリオドの受け入れ方”

VTuberの“ピリオドの受け入れ方”

変化はシーンだけでなく、ライフステージにも “VTuberのあとの人生”について

 もうひとつ、一歩踏み込んだ話題を持ち出すならば、活動者たちのライフステージが変化したという点も見過ごせない。

 かつての芸能界では「アイドル・俳優らが彼氏・彼女を作るなんてご法度!」といった風潮が当たり前のようにあった。現在ではこういった視点はかなり軟化され、アイドルや俳優が結婚すれば「おめでとう!」というコメントが当たり前のようにあがるようになってもいる。

 ひとつの例えとして結婚というワードを使ったが、それだけでなく家族との関係・自身の蓄え、あるいはキャリア形成といったところまでを踏まえたライフステージの変化もありうる。ホロライブで活動していた友人A(えーちゃん)は、今年3月に家族の事情でいったん配信や番組への出演をストップしていたが、6月にホロライブプロダクションを退職するまでに至っている。彼女の流れをみていれば、人生とはこうも変化するのかと思わずにはいられない。

 VTuber~バーチャルタレントらがこういった側面について直接的に言葉を重ねることは少ない。ファンの心情をおもんぱかって明言を避け「人生の転機として卒業・引退を決めた」と端的に告げる人たちもいるだろう。6~7年という時間の経過は、こういった変化をもたらすには十分すぎる期間でもあるのだ。

 ここで重要なのは、こうした変化を「我々がどのように受容するか」ということである。こうして整理して考えをめぐらせれば、活動継続に際するプレッシャー、ライフステージの変化、そして彼らが口を揃える「今までできなかった新しい挑戦」といった側面など、数々の活動休止の裏側にはさまざまなファクターが絡み合うことに気づく。

 応援・助力・支持・ケア……VTuberでなければ、それらは出来ないのだろうか、いやそんなことはないはず。彼ら/彼女らが“タレント”や“活動者”であることをやめても、その後の人生は続く。それぞれの新たな人生の門出を祝福し、幸せが訪れるよう願うことこそが、最大の見届け方だと筆者は思う。何より、こうした別れのあとの心構えが一つの論や捉え方として取り上げられるようになっていることも、VTuber~バーチャルタレントのシーンが成熟し、よりノンフィクションかつドキュメンタリー化したのだと感じられる。

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