手元でジェットの風が吹く! 火照った体を瞬時に冷却できるドウシシャ『ジェットハンディファン』開発者のトリセツ
近年人気のクーリング・アイテムといえばハンディファンだ。夏の屋外ではファンを手にする人をちらほら見かけるようになって久しい。4月5日、株式会社ドウシシャから発売された『ジェットハンディファン』もこうした製品のひとつであるが、普通のハンディファンとは一味違って、約20倍の回転速度を誇るという。
今回は「ジェットハンディファン」の開発を担当したドウシシャを訪ね、家電開発本部の綱島氏に話を聞いた。気づけば間もなく5月、暦の上では初夏となる。『ジェットハンディファン」で、暑い夏への準備を始めてみては?
ーーまずは『ジェットハンディファン』の特徴を教えて下さい。
綱島:従来のハンディファンの約20倍高速回転するモーターを採用しており、これまでのハンディファンとは一線を画す強い風を届けることができます。風量はジェット・強・中・弱の4段階に調整可能で、ジェットモードでは連続30分の運転が可能です。
ーー先ほど実際に製品を試してみましたが、強風に驚きました。これまでにない製品だと思いますが、開発のきっかけは何だったのでしょうか。
綱島:私は夏ガジェットの担当で、過去にもハンディファンや扇風機、サーキュレーターなどを作っていました。今年はコロナウイルスによる外出自粛も無くなって外出の機会がすごく増えることが予想されます。そんな中で、以前作ったハンディファンを使ってみたら出力の弱さを感じたんです。正直、外の風のほうが強いぞと。この課題をどうやったら解決できるか考えたときに、ブロアーなどで使われる高速回転のモーターを使用すれば強烈な風が出るということがわかり、このモーターを使ってみよう、というところから開発が始まりました。
ーー強い風を出す、というのが目的だったのですね。モーターを変えることのほかに有効なアプローチはありましたか?
綱島:これまでの弊社の知見としては、強い風を出すには”羽根径”を大きくしなければいけない。通常のハンディファンの羽根というのはだいたい直径7〜8cmぐらいですが、これを大きくすれば、当然強い風が出ます。ただ、羽根を大きくしていくと当然ですが"ハンディ"で使うのは難しくなってしまうんです
ーーそこでモーターを変える、という方法に至るわけですね。
綱島:通常のハンディファンに使われるモーターというのはだいたい3000rpmぐらいの回転数なんですが、先ほどお伝えしたブロアー用のモーターというのは最大回転数が約6万rpmと非常に高速で、このモーターを使って試作機を作ったんです。
試作機ができて上司から「これ、すごいぞ!」と渡されて試したら予想を超えていました(笑)。すごくきれいな風が出て、これはぜひ商品化したいぞと。
ーー実際にできた製品を見ると、普通のハンディファンよりもコンパクトです。これはどのように達成されたのでしょうか?
綱島:モーターが高速なので、大きなファンは取り付けられないんです。逆にいうと、このモーターを選択したことでファンの小型化は必須になりました。『ジェットハンディファン』という商品名のとおり、ジェットエンジンのファンの羽根の形状を参考にしています。あれはすごく鋭角な形をしているんですが、直線的な風を遠くまで飛ばせる、強い風が出やすい形なんです。
綱島:モーターがハンディファンには採用したことのないものだったため、これを搭載したうえで安全性を担保するということがとても重要で、慎重に作業した部分です。ジェットモードでは連続で30分運転できるのでバッテリーが切れるまで運転し続けてみたり。あとはもっともファンに負荷のかかるタイミングというのが一番初めのモーターが動き始める瞬間なので、電源を入れて消して……と繰り返し起動する耐久テストも行いました。
また、形も検討を繰り返した部分です。この製品は通常のハンディファンよりもパワフルなため、充電池がふたつ入っており、既存の製品よりも太く・重くなってしまうんです。手に持ちやすいデザインを実現するのに苦労しました。4つほどデザインの候補を出して、親指でスイッチを押しやすい現在の形状を採用しています。
ーーこうして生まれた『ジェットハンディファン』ですが、どんなシーンでの活用を想定されていますか?
綱島:一番はやはり屋外での使用で、運動の直後とかに活用していただければ嬉しいです。あとはフェスとか、ライブの会場なども。また、営業さんが外回りから帰ってきたときに一気に冷やしたり。
ーーお話を伺っていて、背景も含めて非常にユニークなプロダクトだと感じました。ドウシシャさんがものづくりの際に大事にしていることなどはありますか?
綱島:私が所属する第二事業本部のものづくりの基本は「ニッチなものを作ろう」ということで、面白いことや目新しいことを大事にしています。あとは「『ENJOY』の精神で作ろう」というメッセージもありまして……。
本部長いわく、「『ENJOY』は『ええやん・なんでやねん・自分・おもろいやん・やったらええやん』の頭文字である」と(笑)。最終的には消費者の皆様に判断いただくことなので、とりあえず面白そうだと思ったらやってみよう、というスタイルは社内でも強く共有されているんです。
ーー最後にそんな消費者の方々に、メッセージがあればいただけますか。
綱島:これまでにない高回転で強い風の出るハンディファンを作りましたので、ぜひとも体験して「すごいやん・おもろいやん」と思っていただければ、開発者冥利に尽きます! 是非、これからの季節に使っていただければと。よろしくお願いします。
■製品情報
ドウシシャ『ジェットハンディファン』
型番:JFSZ-01B
内蔵充電池:リチウムイオン電池 7.4V 2000mAh(内蔵充電池容量)
充電時間(約):4時間(電池が空状態から充電を開始/室温25℃)
使用時間(約):ジェット:30分、強:1時間、中:2時間、弱:4時間(満充電状態から使用/室温25℃)
使用推奨温度:5℃~35℃
消費電力(約):21W
USBケーブル長さ(約):0.5m
サイズ(約):W4×D8.5×H14.5cm
質量(約):230g(本体のみ)
●参考情報
https://e-doshisha.com/jet_handyfan/
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