オーディオ評論家・野村ケンジが推す、ソト遊びにピッタリなプロジェクター&スピーカー5選

野村ケンジが推すプロジェクター&スピーカー

 春が過ぎ初夏を迎えるこの季節は、アウトドアにとってもベストなシーズンの始まり。コロナ禍の影響で出かけるのが難しかった人たちも、今年は山や海への外出を予定している人も多いと思う。そんな“ソト遊び”をさらに充実したものにしてくれるのが、スピーカーやプロジェクターなどのAV機器だ。BGM代わりに音楽を流したり、みんなで映画やスポーツ中継を楽しんだりと、屋外で、そしてみんなで楽しむ音楽&映像の楽しさは格別! そこで、アウトドアにピッタリな製品を厳選して紹介しよう。

 アウトドアで使うスピーカー&プロジェクターの最優先ポイントは、手軽であること。なので、スピーカーはどんな場所にでも自由に置くことができるバッテリー搭載モデルであることを最優先にしたい。当然、BluetoothやWiFiなどのワイヤレス接続であることも必須だ。また、どうしても屋外でアナログレコードを楽しみたい、という人であっても、例えばオーディオテクニカの『サウンドバーガー』などを活用すれば、電源いらず&Bluetooth接続で楽しむこともできる。スピーカーに関しては、ポータブルタイプ、そのなかでも比較的バッテリー持続時間の長い製品をオススメしたい。ちなみに、防水性能に関しても使うシチュエーションによるが、突然の雨に備えて最低限IPX4はあった方がよい。海や砂浜で活用したい人には、IP67やIP68などがオススメだ。

 なお、今回Bluetoothスピーカーはソニーの2製品をメインに紹介しているが、上記の条件にマッチすれば、音の好みで選んでもらってかまわない。いっぽう、プロジェクターについては設置する場所が固定されることもあり、必ずしもポータブルタイプである必要はない。そのあたりは使う場所によってケースバイケースとなるが、最近はポータブル電源も大容量タイプが手頃な値段になってきているので、そういったものを活用するのもひとつの手だろう。プロジェクターに関しては、ポータブルか否かよりも、明るさやAndroid TVの搭載など、屋外での見やすさや使い勝手のよさをメインにチョイスすることをオススメしたい。

SONY『SRS-XG300』「まるでライブビューイングのような迫力サウンド」

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迫力と音のクリアさを巧みに両立する稀有なスピーカー

 比較的小柄なボディに迫力のサウンドがぎゅっと押し込められた一体型ステレオBluetoothスピーカー。約61mm×68mmの矩形ウーファーの「X-Balanced」ユニットと20mm口径のトゥイーターを組み合わせた2Wayシステムをもち、それぞれのユニットを独立したアンプで駆動するバイアンプ構成を採用。さらに、本体左右に抜糸部ラジエーターを配置し、デジタルアンプ「S-Master」や圧縮音源を原音により近い音で再現する「DSEE」、良サウンドを実現する「ClearAudio+」などを搭載することで、迫力と音のクリアさを巧みに両立している。

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クラブやフェス会場にいるような迫力を楽しめる「MEGA BASS」モードなども

 また、独自のアルゴリズムによりボーカルの明瞭度は維持しつつ音場の広がりを高め、ライブ会場にいるような臨場感を実現する「LIVE SOUND」モードや、音の明瞭さを保ったまま重低音を再生し、クラブやフェス会場にいるような迫力を楽しめる「MEGA BASS」モードなども用意されている。

 ソニーのスマートフォン用アプリ「Music Center」に対応しており、イコライザー設定が可能なほか、「LIVE SOUND」「MEGA BASS」モードへも手軽に切り替えることができる。コーデックはLDACに対応、バッテリー持続時間は約25時間で、約10分の充電で約70分再生可能な急速充電にも対応している。そのほか、IP67の防塵防水性能も備えている。

深掘りポイント

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ソニーのスマートフォン用アプリ「Music Center」に対応、イコライザー設定が可能

 約318mm×138mm×136mmというボディサイズは一体型のBluetoothスピーカーとしては小型とはいえないサイズだが、決して大きくもなく、アウトドアへ持ち運ぶ際もそれほど邪魔にならない。特にクルマを使うのであれば全く問題のないサイズ感だろう。

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収納可能な取っ手がついており使い勝手も良い

 さらに収納可能な取っ手がついていたり、ステレオスピーカー構成になっていたり、「LIVE SOUND」「MEGA BASS」モードがあったりと、使い勝手のよさ、サウンド表現のどちらもなかなかに秀でた製品。25時間ほどのバッテリー持続時間を持つため、BGMスピーカーとして丸1日楽しめるし、スクリーンの元に置けばちょっとしたシアタースピーカーとしても活用できる。なかなか汎用性の高い製品なので、アウトドアはもちろん、室内でも重宝する。

 音質に関しては必要充分なレベルを確保している。特に最新Androidスマートフォン(やハイレゾDAP)とはLDACで接続できるので、なかなかに良質なサウンドを楽しむことができるのもいい。とはいえ、いちばんの魅力は迫力のよさ、音の広がり感のスムーズさだろう。屋外でも存分に楽しめる、巧みな造りの製品だ。

SONY『LSPX-S3』「存在自体が楽しい、心地よい響きのサウンド」

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高域は有機ガラス管、中低域は本体中央の46mm口径ウーファーユニット、低域は本体底面のパッシブラジエーターによって増強

 透明な有機ガラス管をスピーカーユニットの一部に活用した、ユニークなデザインのスピーカー。高域は有機ガラス管が、中低域は本体中央の46mm口径ウーファーユニットが担当、さらに低域は本体底面のパッシブラジエーターによって増強されている。

 まるでランタンか何かのようなデザインは、音場の広さにも寄与している。有機ガラス管全面から高域が、本体中央のスリット部分から中域が水平方向に均一に広がる独自の音響構造により、離れた距離にもしっかりと音が伝わるという。これは、特に「LSPX-S3」ならではの有機ガラス管トゥイーターの特徴である様子。一般的なトゥイーターは、スピーカーから離れるほど聞こえにくい特性があるが、『LSPX-S3』は有機ガラス管全体が縦に長い円筒状の振動板であることから、距離による音の減衰が少なく、スピーカーから少々離れだ場所でも音楽を楽しむことができるのだという。さらに、加振器が有機ガラス管(振動板)の端面を叩き振動を有機ガラス管全面に伝えるシステムは、原理的に楽器に近いため、楽器の質感描写にも優れているという。

 このほか、デジタルアンプ「S-Master」や圧縮音源を原音により近い音で再現する「DSEE」なども採用、コーデックはLDACにも対応している。バッテリー持続時間は約8時間となっている。

深掘りポイント

 スピーカー付きのランタン型照明、というのが端的かつ的確に『LSPX-S3』を紹介するベストな表現だろう。しかしながら、単なるスピーカー付オシャレ照明に留まらないのがソニーのソニーたるゆえん。本体の半分以上の長さを占める有機ガラス管の部分にはエレクトレットコンデンサー型と呼ばれる方式が採用され、澄んだ、広がり感のある音を聴かせてくれる。おかげで、随分と心地よいキャラクターのサウンドを楽しむことができる。また、音の広がりもよく、それほど音量を上げなくても広がってくれるため、BGMスピーカーとしても活用できる。

 とはいえ、いちばんの使い方は、夜の寝際に静かな音楽を楽しむこと。LEDランプと相まって、特別な空間を演出してくれる。キャンプの夜には絶対使いたい、とても魅力的な製品だ。

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インテリアとしてもオーディオ機器としても、なかなかの優れモノ

 約8時間というバッテリー持続時間は、イマドキの製品のなかでは長い方では無いかもしれないが、それほど不満には思わないだろう。長時間使い続けたい人には、USB Type-Cでモバイルバッテリーを接続するという手もある。

 ちなみに、室内に置いてもなかなかよい雰囲気を演出してくれるので、普段は寝室に置いても良さそう。インテリアとしてもオーディオ機器としても、なかなかの優れものだ。

 

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