連載:エンタメトップランナーの楽屋(第11回)
クロちゃんが大事にしている“島田紳助からの言葉” FIREBUG 佐藤詳悟に語った「芸人としてのスタンス」
お笑い芸人や俳優、モデル、アーティスト、経営者、クリエーターなど「おもしろい人=タレント」の才能を拡張させる“タレントエンパワーメントパートナー“FIREBUGの代表取締役プロデューサーの佐藤詳悟による連載『エンタメトップランナーの楽屋』。
第11回は、お笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんをゲストに迎える。2001年にトリオを結成し、2017年からは『水曜日のダウンタウン』(TBS)のドッキリ企画で人気を集め、現在はアイドルのプロデュースや自身のグッズ展開など幅広い活躍をみせている。FIREBUGでは、チャンネル登録者数12万人を誇るクロちゃんのYouTubeチャンネル「クロちゃんねる」を2018年12月のチャンネル開設時から運営している。(2024年3月18日時点)
テレビバラエティを中心に過酷な企画に立ち向かう姿がコンテンツになり、発言や振る舞いがSNSを中心に批判されることが多いクロちゃんだが、これだけコンプライアンス遵守や価値観のアップデートが叫ばれる時代に、なぜ彼だけがそのような扱いを受けるのか。また、その扱いについてどう考えているのか。
過酷な状況に晒され続けるクロちゃんにその本心を聞きながら、困難に立ち向かうためのメンタルの整え方や、テレビバラエティのいまなどについて、二人に語ってもらった。
過酷な『水ダウ』ドッキリで身についたマインド
佐藤:弊社ではクロちゃんのYouTubeチャンネルの運営をしているわけですけど、開始からもう5年以上になりますね。それ以降は3Dアバターを作ったり、販売してきたりしましたが、今後も一緒に新しいことをどんどんやりたいとは思ってます。
(参考:AVATORS by FIREBUG)
クロちゃん:その、アバターが……NFXですか?
佐藤詳悟(以下、佐藤):NFTですね。
クロちゃん:いや、だから、わかんないんですよ! 全然わかんないから!
佐藤:そのNFTの3Dアバターが2時間くらいで完売したわけだから、すごいことですよ。
クロちゃん:なんか、僕の知らないところで始まることが多いんです。マネージャーは知ってるみたいなんですけど。僕はよくわからない状態で、写真を撮られて、くるっと回ってとか言われて、いつの間にかアバター作られてるみたいな感じだから。
佐藤:髪の毛生やされたり、剣とか盾とか持たされたりして。
クロちゃん:見ましたよ! なにを作られてるかよく知らないから、初めて僕のアバターを見たときは「痛いファンがまた勝手に加工とかしてるのかな」って思いましたもん。でもよく確認したら、しっかりした企業がやってたからびっくりした。本当に、知らないことが多いんですよ。
佐藤:そうやって、クロちゃん自身が知らないうちにいろんなことが起きているわけじゃないですか。それに対しては嬉しい気持ちが強いのか、本来なら嫌だ、やめたいと思っているのかでいえば、どうなんですか?
クロちゃん:いや、なんか……教えといてほしいですよね。知らずに見たときにびっくりしちゃうから。『水曜日のダウンタウン』もそうですけど、視聴者と同じタイミングで知ることばっかりですから。
佐藤:マネージャーさんや会社には話が通っているけど、クロちゃんは聞いてないと。
クロちゃん:そうなんですよ! でも「聞いてない!」って言うと、マネージャーから「言いましたよ」って言われることもあるから……聞いていることもあるのかも。
佐藤:それなら今後はちゃんと聞いたほうがいいですね。仕事選びの軸を聞きたかったんですけど、そうなると仕事を選ぶ場面はないってことですか。
クロちゃん:僕は選んでないです。マネージャーがジャッジしているんだと思います。
佐藤:結果的にいろんな仕事をされているわけですけど、そのなかでもどんな仕事が楽しいですか?
クロちゃん:仕事に関しては、こだわりがないんです。マネージャーにも言われました。「クロちゃんにはこだわりがないから、素直に人の話を聞くよね」って。どんな芸人になりたいとか、自分に向いてるとかも基本的にわかっちゃいないし。
佐藤:最初に目指したアイドルにはなっていないですけど、人気者になりたい気持ちは変わらないですか?
クロちゃん:アイドルになりたいですよ、いまも。みんなに好かれていたい。嫌われたくないです。だから、自分に意見できないような後輩と遊ぶのは好きじゃない。だって意見できなかったら、裏で文句言ってそうじゃないですか。
もちろん僕を悪く言うような人とは一緒にいたくないですけど、迎合するような人が嫌なんです。僕自身も、周りに迎合してまで嫌われないようにすることはしない。あくまで自分には素直に、ありのままで、かつ嫌われないでいたいです。基本的に自分が好きなので。
佐藤:たとえば過酷なロケや、誹謗中傷を受けそうな仕事をどうしてもしなければならないとき、なにか気をつけていることはありますか?
クロちゃん:過酷な仕事だってことを事前に教えてもらえないですからね。土のなかに埋められている状況とかから始まりますから。どうしようもない。無理じゃん、としか思わないですよ。
でも、こうしていろんなことができるようになって思うのは、何事も“習うより慣れろ”だなってことです。「なんなの!」とか言っててもいつまでも終わらないから、早くその状況の答えを自分のなかで出して、動かなきゃいけない。
佐藤:早く帰りたいからですか?
クロちゃん:早く終わりたいというよりは、物語が進まないから。たとえば『水曜日のダウンタウン』で僕の家のなかに隠された100万円を探し出す生放送が始まったときは、とりあえず家に帰って、すぐに状況を把握しなきゃと思いました。嘘でも、間違ってても、とにかく自分のなかで答えを出さないと状況が変わらない。そう考えてます。