UUUM代表・梅景匡之×取締役・鈴木司と振り返る“激動の2年” TOBによって「自分たちの新たな強みを発見できた」

UUUM代表×取締役と振り返る“激動の2年”

“世の中の流れの変化”と“事業の変化の時差”をゼロにしたい

――クリエイターさんや社員の方、取引先の方とこれまで以上に積極的に交流をすることで新しく気付いたことなどもありましたか?

梅景:クリエイターも社員も、会社が進んでいくところに自分の意思をどう乗せてやっていきたいのかというキャッチボールができるようになって。そういう話が出るようになったので、それはすごく良かった点だと思います。

鈴木:いまの話とは少しずれるかもしれないですが、UUUMはエンタメ系の会社なのですごく世の中の流れの変化をダイレクトに受けるじゃないですか。そうなると、世の中の流れの変化と、会社や事業の変化の時差をなるべくゼロにしたい。でも普通の会社も基本的には少しずれてしまう。UUUMは外から見ると、そのズレを直そうと努力していると思いますし、そういう方向性でいろんな仕組みやオペレーションが回っていると思います。いろんなものの共有の仕方やクリエイターから来たフィードバックの活かし方など、有機的に回るようになっているとは外から見ても思いますし、すごく正しいと思います。それは世の中の変化と僕らの動きの時差をなるべくゼロにできるように頑張っている証拠だし、これからもそこは尖らせていくべきですけど、いまでもすでにすごいなと思いますね。

――世の中の流れという部分で言うと、YouTubeのアドセンス収益減少による影響の大きさはかなりのものだと思いました。同資料ではP2C事業をはじめとした事業の多角化・見直しなどで状況を打開していくとありましたが、そうした背景を含め、2024年以降の長期中期的なスパンとしてやっていこうと思っていることを伺えればと思います。

鈴木:クリエイターの経済活動を軸にやっていく、というのは変わらないと思います。経済活動というのをもう少し分解すると、クリエイターがクリエイションを行う燃料となる部分と、燃料を入れて活動する場所の部分があって。たとえばトラディショナルメディアのテレビの燃料がなにかというと広告じゃないですか。広告を燃料に、その原資をコンテンツに使って、またバズって燃料が増えて、次のコンテンツを作るというのがずっと続いている。でもいまは、燃料となるものが広告だけじゃなくて、たとえばクリエイターのブランドやメンバーシップ、オンラインサロンなど、いろいろな種類が増えてきている。

 場所で言うと、テレビからスマホだったり、スマホのなかでもYouTubeがあったり、他のプラットフォームがあったりという変化がある。燃料の種類と場所の変化を絶対に取りこぼさず、その上で、この10年でUUUMが築いてきたオペレーションを改善しながらクリエイターの経済活動をサポートする。それを長期的にやっていくことが指針かなと思います。

梅景:それで言うと、UUUMも最初の5年は広告アドセンス中心だったのが、3〜4年経っていくと燃料がいくつか出てきたんです。IR上など表に出ているものは数字的にインパクトがあるものが多いかと思いますが、細かく見ていくとクリエイター単位、コミュニケーション単位ではいろんなマネタイズポイントや事業があるんです。トップのクリエイターに限らず、マイクロインフルエンサーと言われるような規模のクリエイターに対しても、新しいマネタイズや価値の提供をすることで収益が出たりする動きは増えているので、その精度を高めていくことや深掘りしていくことがまず重要になってくると思います。

 あともう一つは、この1年は以前に比べてコンテンツ自体のグローバル化のコストも変わってきているので、これまで通り日本に向けたコンテンツだけに絞るというよりは、もう少しグローバルを意識することによって、新しい燃料を獲得できる可能性もあると思っています。そういった変化も今後は起きてくるかなと思いますね。

――最後に、2024年の目標などはありますでしょうか?

梅景:あまり目線を短期に置きたくないと思っていて。もちろん上場企業でもあるのでやるべき数字みたいなものは当たり前のようにあるんですけど、僕らが戦うクリエイターエコノミー市場はすごく伸びしろがあるし、変わっていくものでもあると思うので、目の前のところに集中しすぎて周りが見えなくなるというよりは、いままで僕らが作ってきた市場をさらに広げていくことをやっていきたいと思っています。細かい事業がどうというよりも、いまの市場をもっと大きくするにはどうしたらいいかということを考えながらやっていきたいですね。

――大半の会社はこの業界のなかでどうするかというのを考えると思うんですけど、業界自体をどうしていくかと考えられるのはUUUMさんの強みですよね。

鈴木:最早それしか考えてないんじゃないですかね。

梅景:そうですね。市場が伸びれば僕らももっと上にいけるので、そういう発想でいろんなところを動かせたらなと思っています。

鈴木:あとはUUUMとフリークアウトが組むことによって、海外事業や広告事業に関してもシナジーが生み出されていくと思うので、より大きくなっていけたらと思っています。

梅景:やはり日本を見たときに、少子化の問題などを考えてみても日本という市場は加速度的に小さくなっていくので、このタイミングでグローバルに目を向けたフリークアウトと一緒になったことはすごく大きいと思っています。僕らも彼らの話を聞くことによって考え方や思考の変化を感じますし、今後僕らのやっている事業の発想の仕方や伸ばし方にも影響があると思うので、その期待感はすごくありますね。

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