2000本以上集めた『燃えろ!!プロ野球』からピクミン4まで MCUによる「2023年に遊んだゲーム」10選
さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年いろいろな意味であらためて注目が集まっているレトロゲーム。そんなレトロゲームについて、音楽業界随一のゲーマー&レトロゲームコレクターとして名高い、KICK THE CAN CREWのMCUがひたすら語り尽くす連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」。
連載第8回で取りあげるテーマは「2023年に遊んだゲームトップ10」。前半の5作品は、近年から今年にかけて発売されたNintendo Switch向けのゲームを中心に、とくに印象的だったタイトルたちの魅力を、レトロゲーム好きならではの視点から紹介する。
さらに後半の5作品では、今年になってあらためてプレイすることで、その魅力を再認識したレトロゲームたちを取り上げているので、ぜひ最後までチェックしてほしい。(編集部)
TGS試遊後に即決予約した『ソニックフロンティア』
僕はレトロゲームコレクターではあるのですが、ゲーム関連のお仕事を多くいただくようになってからは、話題の新作ゲームなども、ある程度は触ってみるようにしています。もちろん、全部は難しいですけど(笑)。
とくに最近は、自宅でも外出先でも手軽に遊べるという理由から、Switch対応のゲームを手に取ることが多いです。ニンテンドーeショップを通して、いろいろなゲームの体験版をダウンロードすることができますし、バーチャルコンソールで昔のゲームもプレイできますから。
そんなわけで、僕が今年よく遊んだゲームを挙げていくと必然的にSwitch版のゲームばかりになってしまうのですが……。なかでも今年いちばん長く遊んだのは、セガの『ソニックフロンティア』(2022年11月8日発売)でしょうか。
もともとセガ好きですし、『ソニック』シリーズも大好きだったので、あの『ソニック』が、この令和の時代に、オープンワールド的な要素を取り入れた3Dアクションゲームとして発売されると聞いて、衝撃を受けましたね。
ティザームービーを見て「何だコレ!? めちゃくちゃおもしろそう!」と思い。その後、2022年の東京ゲームショウで体験版をプレイさせてもらって、その場で予約購入しました。
発売日を心待ちにするなかで、「いざプレイしてみて、自分には合わないと感じたらどうしよう?」と不安な気持ちもあったのですが、杞憂でしたね。自分の想像をはるかに超えるおもしろさで、最初は操作についていくのがやっとでしたけど、「これぞソニックだ!」と思える疾走感&爽快感がありました。
“ふにゃふにゃ感”の中での試行錯誤に燃える
『ソニック』的な疾走感とは真逆ですが、独特の操作感、世界観という意味では、『ヒューマン フォール フラット』(Switch版は2017年12月28日発売)も今年プレイしたなかで印象的でした。
キャラクターの動きが「ふにゃふにゃ」しているから、操作性にクセがありすぎて。自分の思い通りに動けないのが結構ストレスなんですけど、だからこそ、苦労の末にギミックを突破できた瞬間なんかはたまらないんですよね。
ステージギミックや謎解き要素も非常に凝っていて。向こうにあるコンセントにコードを差して、こっちの物体を転がすとエレベーターが降りてきて……なんて、地道にステージを攻略していくのがすごくおもしろい。
しかもオンラインでの協力プレイにも対応しているから、お互いに操作がおぼつかないなかで「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤するのも楽しかったです。きっと、操作感がよかったらこうはいかない。あの“ふにゃふにゃ感”があるからこそ、一種の制約があるからこその楽しさなんですよね。
世代を超えて遊んだ、かけがえのない思い出
『スプラトゥーン3』(2022年9月9日発売)については、今年も引き続きプレイはしていたんですけれど、周囲でいっしょに遊んでいた人たちがうまくなりすぎて、僕だけが置いてけぼりに……。それが嫌になっちゃって、最近はあまり遊んでいないですね。
娘といっしょに遊べる貴重なゲームではあったんですけど、その娘ともかなりのレベル差が開いてしまって、いま対戦したら間違いなくボコボコにされると思います(笑)。
今回、この場で話題に上げるまで「『スプラトゥーン3』って今年発売じゃなかったっけ!?」と勘違いしてしまっていたくらいに、僕の友達とかもいまだにずっと遊び続けていますし、本当に多くの人に愛されている作品なんだなと。
僕としても、娘との楽しい思い出がたくさん詰まっているゲームということで、少々触れさせていただきました。
変わらぬ彼らの儚さと、変わってしまった自分
ここにきて、ようやく今年に発売されたゲームの話題になるのですが……(笑)。『ピクミン4』(2023年7月21日)は、ドハマりしちゃいましたね。ニンテンドー ゲームキューブで発売された初代『ピクミン』のころから、「なんて切ないゲームなんだ」と思って、毎作遊ばせてもらっているんですけれども。
引っこ抜かれて、戦って、食べられて――と、まさにあの有名なCMソング(『愛のうた』/ストロベリー・フラワー)のごとく、儚いピクミンたちの生き様に感情移入しながら、当時はプレイしていましたね。
ただ、いまになってあらためて『ピクミン4』をプレイしてみると、「やっぱり残酷なゲームだよな」とは思いつつも、何の躊躇もなく敵に向かってピクミンを投げつけている自分がいたりして(笑)。
もちろん、それでピクミンを失ってしまったら自分の落ち度だし、それが嫌でがんばるから、ピクミンといっしょに戦っている感覚が味わえるわけで。ストーリー性もしっかりしているし、キャラクターも個性豊かでキャラが立っているし、本当によくできたゲームだなと、あらためて思いました。
レトロゲーム愛が満載の“令和に遊ぶべきカンフーアクション”
前半戦の最後に、Switchでも遊べて、みなさんにぜひともオススメしたいゲームとして『焔龍聖拳シャオメイ』(Switch版は2022年5月19日発売)を挙げておきたいと思います。こちらはレトロゲームイベントの主催運営などでも知られる、株式会社ピクセルから発売されたレトロカンフーアクションゲームです。
今日はこのゲームを紹介するにあたって特装版のパッケージを持参したのですが、中には各種特典に加えて、ちゃんと紙の説明書が同封されているところが、さすがレトロゲーム好きのピクセルさんといったところで。コレクター心理をくすぐられますよね。
ゲーム性としてはシンプルな横スクロールタイプのアクションで、たとえるならば“キャラクターがかわいらしくなった『スパルタンX』”でしょうか(笑)。ピクセル代表の佐々木(英州)さんは、「『スパルタンX』の皮を被った、『魔界列伝』のようなモノ……」ともおっしゃっていたので、そうした作品たちへのリスペクトも込められているのだと思います。
スパルタンXの皮を被った、魔界列伝のようなモノ…#焔龍聖拳シャオメイ https://t.co/CbQWzXJ3B9 pic.twitter.com/2rhz0XyM07
— 佐々木 英州 / Hidekuni Sasaki (@hide_pixel) September 5, 2022
今年いちばん遊んだゲームは『ソニックフロンティア』でしたが、瞬間最大風速ならば『焔龍聖拳シャオメイ』も負けず劣らずで、冗談抜きで1日中やっていた日もありましたね。3周、4周と、周回する手が止まらなくなってしまって。
ステージ終盤の5面、6面くらいまでいくと敵キャラクターたちからの“本気の殺意”を感じるような難易度になったり、それでいてラスボスがめちゃくちゃ弱かったりするのもレトロゲームっぽいというか(笑)。
少々ネタバレになってしまいますが、2周目以降は隠しキャラが解禁されるんです。その隠しキャラがまた、性能にひとクセあっていい味を出していて。サウンド面も、『源平討魔伝』や『バベルの塔』などのコンポーザーとして知られる、元ナムコの中潟憲雄さんが手掛けたFM音源風の楽曲が使われていたりして、もう最高!
古きよきゲームの魅力がこれでもかと詰まった作品なので、ぜひ若い世代のゲーマーにもオススメしたいところなのですが……。“おじさん趣味”の押し付けになってしまうのも嫌なので、「興味があったら、ぜひ遊んでみてほしいな」くらいに留めておこうかと思います(笑)。