懐かしくて面白い、ファミコン世代のゲーム音楽における「名曲」と「迷曲」たち

ファミコン音楽の「名曲」と「迷曲」たち

 さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年色んな意味で改めて注目が集まっているレトロゲーム。そんなレトロゲームについて、音楽業界随一のゲーマー&レトロゲームコレクターとして名高い、KICK THE CAN CREWのMCUがひたすら語り尽くす連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」。

 連載第5回・6回で取りあげるテーマは「ゲーム音楽」。第6回では、前回のベスト5から惜しくも漏れた名曲や、意外な使われ方をしている楽曲などについて取り上げていく。(編集部)

思いつくままにいいゲーム音楽を紹介

 順位とは関係ないんですが、東芝EMI(現・ユニバーサル ミュージック)の『ゾイド 中央大陸の戦い』(1987年9月5日発売)の曲も素晴らしいですね。これは久石譲さんの作曲なんです。

 元々いい曲だと思っていたんですが、最近それが久石譲さんだと知って、ジブリ音楽も手掛けていますから、久石さんもゲームの曲を作るんだと驚きました。のちにハドソンのPCエンジン版『天外魔境シリーズ』の曲などをやっていらっしゃいましたけど、ファミコンゲームの曲を作っていたのには驚きました。とにかく壮大な曲です。

 あとBGMではないんですけど、ナムコの『ゼビウス』(1984年11月8日発売)は、また違う意味ですごいですね。『ゼビウス』はゲームスタート時に曲が流れるだけで、その後はシューティングが始まり、トーロイド(敵機)を撃ち倒した音や自機の弾を撃つ音とボム(地上攻撃の爆弾)を撃ち落とす音が、もう1曲の音楽みたいなところがあって、それがすごいです。

 効果音がすごいのとゲームの世界観も相まって、BGMではないのに曲になっちゃっている感じがすごいですね。これは、アーケード版とファミコン版のサウンドが慶野由利子さんで、サウンドが大野木宜幸さんですよね。

 あと少しずれますけど、コナミの『グーニーズ』(1986年2月21日発売)もいいですね。曲はシンディー・ローパーが歌った映画主題歌『グーニーズはグッド・イナフ』を8bitサウンドにしたBGMでした。劇中にはそんなに使われてはいない曲なのに、世界中で大ヒットしましたから、ゲームのBGMとしてもカッコよかったですね。

ゲーム音楽の替え歌

 さっき軽く話した「替え歌」についてですが、僕らの世代ではアイレムの『スペランカー』(1985年12月7日発売)の替え歌が流行りましたね。

 「滑って転んで、スペランカー。穴に落ちて死んじゃぁった。赤い薬は特に取らず、やっていてイライラするソフト。あー、あぁどうして、あー、こんなに死ねるのか♪」というやつ。

 ゲームはご存じの通り、ちょっと高いところから落ちただけで死んじゃいますから、この替え歌をBGMに併せてずっと歌っていました。

 『スペランカー』の音は、音楽的に何か凝っていてすごいというよりは、本当にキャッチーで耳あたりが良くて、ずっと聴いていられる、そんなゲーム音楽でした。

 ちなみにオープニングの曲は、映画『スピーシーズXXXXXX 寄生獣の吐息』等の監督で、ゲームの原作者でもあるティム・マーティンさんのオリジナルらしいです。ゲーム内のBGMはオリジナル版のゲームをファミコン版に移植したアイレムが作ったみたいですね。

 ナムコの『ドルアーガの塔』(1985年8月6日発売)も絶妙なBGMです。これも替え歌を歌っていました。「いくら丼が食べたかったなぁ~♪」なんて。これは、昔ゲーセンでみんなが歌っていた替え歌ですね。地元・巣鴨のキャロット(ナムコのゲームセンター)にノートが置いてあって、お客さん同士で情報交換していたのが懐かしいです。

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