タイパ重視のZ世代のポッドキャストとの相性は? 起業家・朝比奈ひかりが考える
ポッドキャストをはじめとした音声コンテンツは、日本だけでなく世界でもその盛り上がりがさらに加熱し、多くのZ世代にも支持されている。そんな結果を裏付けるように、Spotifyが今年も『Culture Next』というZ世代やミレニアル世代の音楽・音声コンテンツに関する消費傾向を調査した報告書を発表した。
このレポートには、音楽・音声に関する様々なトレンドや、そのなかでもZ世代がなにを考えて音楽・音声コンテンツを楽しんでいるのかが記されており、興味深いインサイトを得ることができる。今回はZ世代の動向に詳しい株式会社seamint.の代表取締役・朝比奈ひかり氏にインタビューを行い、Z世代の音楽の楽しみ方や考え方について、レポートと照らし合わせながら語ってもらった。
女子高生カメラマンが学生起業家になった理由とは
ーー朝比奈さんは、学生時代に株式会社ネオレア(現:株式会社seamint.)を立ち上げられました。まずは起業に至るまでの経緯を教えてください。
朝比奈ひかり(以下、朝比奈):そもそも、朝比奈ひかりとして活動を始めたのは高校生のときなんです。当時は、女子高生カメラマンとして、映画の試写会で写真撮影をしたり、女子学生向けのメディアでライターをしていました。インフルエンサーさんの写真を撮影することが多かったのですが、ファンの方から「実際に(インフルエンサーに)会ってみたい」という声が届くようになって。大学1年生のときに、インフルエンサーのファン向けのイベントを企画したんです。
ーーそれが盛況だったと。
朝比奈:はい。定期的にイベントを企画するようになってからは、9ヶ月で2500万円ほどの売り上げが立つようになりました。そうなったときに、法人化した方が社会的信頼を得られると思ったので、大学3年生のときに会社を立ち上げました。
ーースピード感がすごいですよね。
朝比奈:自分でも、運が良かったなと思っています(笑)。あとは、経験値が0ではなかったというのも大きいと思います。高校生のときから、フリュー株式会社の新規事業開発部で業務委託として働かせていただいていて、「独立するんだったら、お仕事お願いするね」と言ってくれた方がいたり、KADOKAWAやユニバーサル ミュージックなど、実績欄の会社がすでに大手ばかりだったのも、信頼を勝ち取るのにつながったんだと思います。
ーー学生起業されてからは、あまり苦労もなく?
朝比奈:社外のことで悩むことは少ないです。ただ、学生起業だと上司がいた経験がないので、そういった部分で壁にぶつかったことは多いですね。部下をどう叱ればいいのか、人を育てるにはどうすればいいのか、など。ロールモデルがいないからこその苦労はありました。
ーー2022年には、株式会社ネオレアから株式会社seamint.に改名されましたよね。屋号を変えようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
朝比奈:ネオレアは、ギリシャ語で“若者”という意味があるんですね。起業した当初は、女子大生マーケティングに重きを置いていたので、それでよかったのですが、年齢を重ねるにつれて、もっと等身大の名前にしたいなと思うようになり。飼っていた猫の名前“mint”と、大好きな海“sea”を組み合わせて、株式会社seamint.になりました。
ーー屋号を変えたことで、なにか変化はありましたか?
朝比奈:女子高生向けのものが減り、グローバルな案件が増えました。会社も5期目となり、実績が増えたというのもあるのでしょうか。最近では、ファッションブランドCOACHのなかのコミュニティである「Coachtopia(=イノベーションに向けて共創する研究所)」からも案件をいただいたりして。昔は東京の女子大生のマーケティングだけだったのが、日本のZ世代、世界のZ世代と幅が広がっている気がします。