tofubeats × HOEDOWN馬場氏 × stu Murasaqi氏 × 松竹 賜氏が語り合う”バーチャルプロダクションの可能性” 「自由」MV撮影の舞台裏に迫る

制作陣が語る、「自由」MV撮影の舞台裏

 「LEDウォール」と呼ばれる巨大なディスプレイを使用することで、リアルタイムにCG合成をおこなうことができる撮影手法「バーチャルプロダクション」。

 3DCGで作成した背景素材や実際のロケーション映像をLEDウォールに投映し、その前にいる被写体と合わせて撮影することで、実際のロケ地に赴いて撮影してきたかのような映像を制作することができる同手法で制作されたのが、tofubeatsの新曲「自由」のMVだ。

 MVには計10ヵ所以上のロケ地が登場するが、実はこれらのシーン、全編を通して松竹傘下のミエクル株式会社が運営する「代官山メタバーススタジオ」で撮影されたものであり、制作スタッフたちも“コンテンツが生まれる過程”自体のアップデートにチャレンジしたという試みだ。

 今回は同MVにも出演したtofubeats氏に加えて、監督を務めたHOEDOWN・馬場 一萌氏、テクニカルディレクターを務めたstu・Murasaqi氏、プロデューサーである松竹・賜 正隆氏にも参加してもらい、制作の裏側や新たな“つくりかた”を確立するうえでの苦労や達成について語り合ってもらった。(編集部)

左から松竹・賜 正隆氏、stu・Murasaqi氏、HOEDOWN・馬場 一萌氏

「制作プロセスもユニークな“一粒で二度美味しい”作品になった」(tofubeats)

tofubeats - 自由

ーー今回、ミュージックビデオの撮影が行われた代官山メタバーススタジオの設立理由や使用用途について教えてください。

賜:松竹では、近年、先端技術を用いた新しいエンターテインメントの開発に取り組んでいます。その一環として、「バーチャルプロダクション」技術の研究開発を推進すべく、代官山メタバーススタジオを2022年に設立しました。これまでに、3DCGの仮想空間を舞台にした配信公演『META歌舞伎』など、新しいコンテンツの企画・制作に取り組んできました。

 単なるスタジオ事業として展開する場所ではなく、よりオープンな場所として、クリエイターのみなさんと一緒に先端技術を活用した“コンテンツを生み出す場所”と位置づけています。

ーー今回はtofubeatsさんのミュージックビデオを制作されましたが、どのようにして企画され、実施に至ったのでしょうか?

賜:スタジオ設立時より、「LEDウォール」を使用した質の高い映像作品を作りたいと考えていました。併せて、まだ業界全体で確立されていない制作ワークフローを構築する目的もありました。

 先端技術を用いたクリエイティブ制作を得意とするstuさんを技術パートナーに迎え、ディスカッションを重ねる中で、MVを制作することとなりました。

 企画にあたり、tofubeatsさんにお声がけしたところ、タイミングよく楽曲リリースの予定があり、さらに出演もご快諾いただき、ご一緒することとなりました。

ーーtofubeatsさんが今回の制作を経て、バーチャルプロダクションでのミュージックビデオ撮影やエシカルな映像制作について感じたことがあれば教えてください。

tofubeats:今回は自分にとって初めて、本格的にバーチャルプロダクションを使用したミュージックビデオに取り組んだ作品になりました。僕自身は撮影の間のわずかな時間しか参加していませんが、制作に携わった方々の努力と準備のおかげで、視覚的な魅力がありつつも、制作プロセスもユニークな“一粒で二度美味しい”作品になったと思います。

ーーバーチャルプロダクションにおけるLEDウォールとカメラワークが連動するという技術をどうしたら面白く、また活かせるかという点を実証実験的に突き詰めていったという話がありましたが、実際に完成したMVを見てどのように感じましたか?

tofubeats:スタジオの空間自体はそんなに広くなかったにも関わらず、完成した映像では広々とした空間で撮影されているような感じがありました。そういったバーチャルプロダクションならではの利点を実際に自分で感じられたのは良かったですね。一方で、車をスタジオに入れることができなかったため、昔ながらの力技とも言える手法も併用しながら、3DCGの面白さも同時に味わうことができたのは非常に興味深かったです。

馬場:カメラの前に物理的なオブジェクトを配置し、CGとリアルのレイヤーを作り出すという試みは、今回のMVでうまく作用したと思います。車の窓ガラスをわざと汚れたままにすることで、CGがより自然に馴染むことがわかったり、細かい検証の賜物といえるカットがいくつもありました。

 

賜:様々なカットにチャレンジするという目的の基、監督と共に時間をかけてショットのアイディアを練ったおかげで、非常に面白い映像になったと思います。ダンボール箱の動きやリアルの美術との調和にもこだわりました。

Murasaqi:グリーンバックでの撮影だった場合、tofubeatsさんの演技に対する指示が非常に難しくなっていたかもしれません。バーチャルプロダクションの撮影では実際にLEDで映像を表示していて用意し、その上で演技するという形式なのでその指示も明確になりますし、演者や監督、CG担当者など、全員が場面をすぐにレビューすることができます。これは本当に素晴らしいことだと思いました。

ーー続いては、松竹さんとstuさんがパートナーシップを組むことになった背景や、くわしい理由についてもお伺いしたいです。

賜:stuさんはテック領域に非常に強く、制作現場のアップデートに積極的に取り組んでいる企業であり、特に「ライターズルーム」といった海外の手法をいち早く取り入れる姿勢に強く共感しました。互いに連携することで、バーチャルプロダクションを含め、先端技術を用いた新しい制作手法の知見の獲得やコンテンツ制作を進めたいと考えました。

 また、今春には、松竹のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)である松竹ベンチャーズ株式会社からstuさんへ出資させていただいており、今後さらに連携を強めていきたいと考えています。

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