REJECTはなぜ格闘ゲームシーンに参入するのか YamatoN×こく兄に訊く可能性と課題【前編】
格闘ゲームコミュニティにおける課題
ーー逆にREJECTがこれまで培ってきたものを格闘ゲームコミュニティに共有していく流れもあるかと思います。
YamatoN:僕らとしては、これまで踏み入れたことのない世界に入らせていただくので、まずは現存するコミュニティからの求心力をすごく大事にしたいですし、そこで一丸になれたら、これまでFPSでREJECTを応援してきた人たちも混ぜて、いろんなコミュニティのストリーマーも含めていろんなイベントをやったり、出来上がってくるのかなと思います。だから、まずは僕らとしてはやはり受け入れられることをファーストステップとして、動いていきます。その上で、外から見ていて感じる格闘ゲームのコミュニティに足りないところに関しては、余すことなく積極的に動いて尽力していきたいです。
ーーYamatoNさんから見て、格闘ゲーム界隈にはなにが「足りてない」と思いますか?
YamatoN:まずは初心者への導入ですね。導入というのは、いろんな部分があるんですよ。 動画に関しても、本当の初心者、入門者への導入は、まだおそらく線引きができていないと思っています。たとえば、『VALORANT』でいう「smashlog TV」のようなメディアは、まだ確立できていないのかなと。あとは、初心者が1番最初に困ったときに流入できるようなDiscordの仕組みや、コミュニティの部分が足りていなかったり、例を挙げたらキリがない気もしますけれども、そういったところから、僕たちは埋めていこうと考えています。
こく兄:その通りだと思います。おそらく我々にないものをFPS業界は遥か前から取り入れていて、だから発展途上国と先進国の関係性みたいな感じですよね。先進国が発展途上国に知識を与えて、成長を促していく。そういった形になっていくといいなと考えています。
ーーそういった課題みたいなものは、格ゲー界隈の中で共有はされていたのでしょうか?
こく兄:されていたかもしれないけど、やる人がいなかったんですよ。やるお金も時間もない。個人で動画を撮ったりする動きはありましたが、でもそれは広がらなかったんですよね。コミュニティサーバーも各所にはあるんですけど、やっぱり賑わっている場所は少ないし、初心者向けのコミュニティもあるけど分散していたり、そもそも見つけにくくてアクセスしづらいとか、課題はあるんだと思います。FPS業界は多分そういったノウハウを持っていると思うので、ぜひ注力してもらってやっていきたいです。
ーーそれは格闘ゲームがもともとゲームセンター文化だったことの影響もありますか? リアルのコミュニティが前提で、オンラインから交流が始まるという土壌がそもそもなかった。
こく兄:それはあるかもしれないですね。正直、僕たちにとって格闘ゲームは完全に遊びだったんですよ。オフラインで、仲のいい人たちと遊べればそれでよかった。だからこそ、オンラインの力でその輪を本気で大きくしようと思って活動する人が現れなかったのかもしれないなと。
ーーいまはどうですか。自分たちの“遊び場”を守りたいという気持ちと、もっとコミュニティを広げて持続可能なものにしていきたいという思いがあるかと思いますが。
こく兄:格闘ゲームを広げていかなければいけないと思うプロゲーマーは増えてきましたね。最近は正直、「自分がプロとして通用しなくなるよりも、格ゲーが衰退する方が先かもしれない」という危機意識を持つようになってきているというか。これまでは「自分が勝てればいい」「自分の周りが面白ければいい」だったから、それが変わってきているのはいい兆候だと思います。
後編「REJECTが見据える、格闘ゲームシーンの未来予想図 YamatoN×こく兄に訊く可能性と課題【後編】」に続く
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