REJECTはなぜ格闘ゲームシーンに参入するのか YamatoN×こく兄に訊く可能性と課題【前編】

REJECT、なぜ格闘ゲームに参入?

 『VALORANT』や『PUBG MOBILE』などさまざまなタイトルで活躍するeスポーツチーム・REJECTが格闘ゲーム部門を設立。同時に総合プロデューサーとして、格闘ゲームだけでなくゲームシーンを横断的に活動するストリーマー・こく兄の加入を発表した。

 先日行われた『EVO Japan』も大盛況に終わり、6月2日に発売される『ストリートファイター6』(以下『スト6』)に向けて、徐々に盛り上がりを見せる格闘ゲームシーン。FPS業界で大きな存在感を発揮するREJECTはなぜ、格闘ゲームというジャンルに目をつけたのか。同社CEO(Chief Entertainment Officer)を務めるYamatoNと、新たに部門総合プロデューサーに就任したこく兄に話を訊いた。

 前編では、REJECTのチームブランディングにおける格闘ゲームの可能性から、現状のコミュニティの課題について議論を行っている。

YamatoN(左)とこく兄(右)
YamatoN(左)とこく兄(右)

格闘ゲームをREJECTの強みに

ーーまず、REJECTはなぜ格闘ゲームに参入しようと考えたのでしょうか?

YamatoN:正直な話からすると、僕たちのREJECTという組織は、他の国内のプロチームと比べて、目立った力は持っていないと思っています。国内でいうと、現在Crazy RaccoonとZETA DIVISIONの2チームが競合しあっていて、そこにFENNELが台頭してきているという見取り図だと思うのですが、そのなかに僕らが割って入る力を持っていないという現状があります。

 僕が入社してから、REJECTを大きく飛躍させるタイミングがこれまでに2回あったんです。1回目は『VALORANT』のインターナショナルリーグへの参戦のタイミング。そこのスロットは結果的にZETA DIVISIONと、Detonation Focus Meが取得したので、叶わなかったんですけど、2回目のチャンスというのは、おそらく『ストリートファイター6』になるだろうなと考えています。

ーーREJECTの課題を考えた上で、新たな柱を立てることが必要だったと。

YamatoN:「なぜ格闘ゲームなのか」という話なんですけれども、まず格闘ゲームには、タレントが非常に豊富です。僕は最初にそれを感じたのが7年前にこく兄さんと番組で共演したときで、当時僕はFPSの世界しか知らなかったのですが、格闘ゲーム界隈のこく兄さんや、オオヌキさん、KSKさんと接してみて、「なんとこの人たちのタレント力は凄まじいのか」と心底感じました。それから数年経って、FPSは人気に火がついた一方で、格闘ゲームはFPSほど人気は出ていない。格闘ゲームは豊富なタレントも抱えているので、あとはゲームの導入部分の難しさなどの課題がクリアできれば、100%流行るだろうという見立てがあったんです。6月に発売される『ストリートファイター6』は、初心者も入りやすいモダンモードの実装があったりと初心者への導線が張り巡らされていることを加味して、格闘ゲームに参入してREJECTの長所を1つ作ろうと考えました。

 僕たちの現在の目標としては、『Project L』がサービス開始されるまでに、ZETA DIVISIONや、Crazy Raccoonと肩を並べるくらいのチームになることです。 そして『Project L』のタイミングで、よりアクセルを強く踏んで、日本一のチームを目指そうと考えています。

ーーその一環として、今回部門プロデューサーとしてこく兄さんの就任がありました。REJECTはここ1年でYamatoNさんをはじめ、『VALORANT』部門にKeNNyさんが加入するなど、シーンを長く見てきた人材をフロントに置いていますね。

YamatoN
YamatoN

YamatoN:その点は強く意識しています。通常、プロゲーミングチームの部門設立というのはプロ選手やコーチが加入して、大会に出場するといったイメージだと思いますが、僕がREJECTに入ってからの“参入の定義”は「コミュニティに入る」ことです。 それは、競技シーンだけではなく、たとえばストリーマーや大会、イベントといったコミュニティ全てに参入をするという意思表明で、それを達成するために選手だけでなくゲームカルチャーのすべてを知る人を部門に配するのをキーポイントとしています。その視点から格闘ゲームシーンを見渡すと、こく兄さんという人材は1番的確だと考えました。

ーー先ほど、格闘ゲームのタレントの豊富さというお話もありましたが、その中でも特にこく兄さんを強く推した理由などはあるのでしょうか?

YamatoN:タレント性が高く、さまざまな魅力を持つ人が多い業界ですが、こく兄さんは、いまもなお配信者として最前線で活動していて、多くの人からの人気もある、それを合わせ持つ方は、本当にいない人材だと思ってます。かつコミュニケーション能力がすごく高いので、プロデューサーという側面で、選手のリクルーティングも円滑に進めることができますし、そういった意味で最高の人材だと思ってます。

こく兄:ここまで褒められると気持ちいいっすね(笑)。

YamatoN
YamatoN

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