REJECTが見据える、格闘ゲームシーンの未来予想図 YamatoN×こく兄に訊く可能性と課題【後編】

REJECTなぜ格闘ゲームシーンに?【後編】

 『VALORANT』や『PUBG MOBILE』などさまざまなタイトルで活躍するeスポーツチーム・REJECTが格闘ゲーム部門を設立。同時に総合プロデューサーとして、ストリーマーとして活躍し格闘ゲームだけでなくゲームシーンを横断的に活動するこく兄の加入を発表した。

 先日行われた『EVO Japan』も大盛況に終わり、6月2日に発売される『ストリートファイター6』(以下『スト6』)に向けて、徐々に盛り上がりを見せる格闘ゲームシーン。FPS業界で大きな存在感を発揮するREJECTはなぜ格闘ゲームというジャンルに目をつけたのか。同社CEO(Chief Entertainment Officier)を務めるYamatoNと、新たに部門総合プロデューサーに就任したこく兄に話を訊いた。

 後編では、FPSコミュニティの発展の歴史から『スト6』発売によって起きる競技シーンの未来予想図の分析まで行っている。

YamatoN(左)とこく兄(右)
YamatoN(左)とこく兄(右)

FPSシーン発展の歴史から考える格闘ゲームの可能性

こく兄:そもそも聞きたいんですけど、FPS業界ってなんでそんなに成長したんですか?

YamatoN:最初のタイミングですか。元々無料ゲームが乱立してた時期に総人口はいたんですよ。ただ、たくさんのタイトルがあったので、各所に人が分散していた。そのタイミングで、Blizzardが『OverWatch』というゲームを出したんですけど、当時は、「すごく大きな企業からFPSが出る。じゃあもうみんなそこに集まるしかないじゃん」となって、人が1箇所に集まったんです。その爆発力が大きくて、一気に大会の視聴者も配信の視聴者も増えました。そこがFPSにおける最初の分岐点だと僕は思っていて、そうした人たちがさらに一般的なユーザーに浸透する『PUBG』というタイトルに派生していって、大きなコミュニティへと成長していきました。

こく兄:それをリードしたのがYamatoNさん含めたDeToNator4人衆ですよね。

YamatoN:僕たちのおかげなのかはわからないですけれども(笑)。ストリーマーとプロを明確に切り分けたのは、すごく正解だと思っていて。僕らがプロやっていたときに、プロ選手として大会に出ながら、イベントにも出るという生活をおこなっていたんです。それを体験していて、これは絶対に成り立たないと思ったんです。お金を払って支えてくれるスポンサーさんのために、イベントには絶対出なくちゃいけないけど、大会で勝ち続けないと求心力を得られない。というジレンマに至っていて、ここは絶対に切り分けるべきだという発想で、僕らの活動が終わったと同時に、プロ選手とストリーマーというカテゴリーを分けた仕組みを作ろうとした。そのスタートが僕たちだったということでした。

こく兄:格闘ゲームはプロゲーマーの走りだったからこそ、みんな集まりが悪かったかもしれないですね。正直、賞金額もそんなに大きくなかったですし。その点、6月にリリースされる『ストリートファイター6』は賞金が1億円規模なので、今回はいろいろな人が集まって、FPSの『OverWatch』みたいなことが起こるかもしれないですね。いま、ストリーマーが『ストV』をやってくれる流れができていますから、『スト6』も僕が頑張って働きかけてやってもらえるようにしたいなと。

ーー他ジャンルの人気ストリーマーにも訴えかけられるのは、競技シーンから一歩引いたところでエンターテインメントを追求してきたこく兄さんならではですね。格闘ゲーマーのアイコンと言えるウメハラさんやときどさんにもできないことだと思います。

YamatoN:そうですね。基本的にREJECTでも、DeToNatorでも共通していたのが、オンリーワンの人材は絶対に手に入れるという点。たとえば、『OverWatch』が出るという情報がでたときに、ここに全員が集合する流れが起きるというのは予想できたので、自分の思うオンリーワンの人材に声をかけたんです。それが、結果的に関さんやSPYGEA、XQQだったというところに繋がっているのかな。

こく兄:取締役、私頑張ります(笑)。

YamatoN:あと、こんなにいい人いないですよ。前のイベントのときに思ったことで、機会があったら絶対にご一緒したいと考えていたんです。僕がそれを1番最初に思ったのはSPYGEAだったんですけど、彼もやっぱりすごくいい考えや人格を持っている人間なので、大きなことをやるときは、絶対に彼を呼ぼうと思っていて。最初にそれを考えてから6年越しで、彼をDeToNatorに誘うことができて、こく兄さんも最初に会ってから7年越しにようやくご一緒する機会が巡ってきました。

こく兄:ありがたいですね。こうやって良くしてくれる人たちがいるからここまでやってこれたのかなと。格闘ゲームも、これからいろいろな人が出てくると思いますよ。

こく兄
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