「『メガネびいき』は聞き逃してもいい」放送作家・白武ときお×『TBSラジオ』宮嵜守史が語る“新しいエンタメの形”

白武ときお×宮嵜守史が語る“新しいエンタメ”

 いま、エンタメが世の中に溢れすぎている。テレビやラジオはもちろんのこと、YouTubeも成長を続け、Podcastや音声配信アプリも盛り上がりを見せている。コロナ禍をきっかけに、いまではあらゆる公演を自宅で視聴できるようにもなった。では、クリエイターたちはこの群雄割拠の時代と、どのように向き合っているのだろうか?

 プラットフォームを問わず縦横無尽にコンテンツを生み出し続ける、放送作家・白武ときお。彼が同じようにインディペンデントな活動をする人たちと、エンタメ業界における今後の仮説や制作のマイルールなどについて語り合う連載企画「作り方の作り方」がスタート。

 第一回には、先日『ラジオじゃないと届かない』(ポプラ社)を出版したTBSラジオのJUNK統括プロデューサー・宮嵜守史を迎えた。

 白武が放送作家を志したきっかけのひとつでもある「JUNK」の礎を築いた宮嵜は、いまの時代をどう見ているのだろうか。また、これからのエンタメ、音声コンテンツの未来についての考えも聞いた。

宮嵜守史は白武ときおにとっての“ラジオ父ちゃん”

白武ときお(以下、白武):初めてお会いしたのは、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』の特番のときくらいですかね。

宮嵜守史(以下、宮嵜):そうだね。ただ初めて会う前に、越崎(恭平)くんから「いろんなことをやっている若手作家の白武くんと、真空ジェシカのラジオを始めた」と聞いたことで、初めて顔と名前が一致したよ。

白武:そうなんですね。1年半前くらいに音楽のライブをふたりで観に行った帰りに、居酒屋で本(宮嵜さんの著書『ラジオじゃないと届かない』)の話をしましたよね。

白武ときお

 「本を出さないかって話をいただいているんだけど、どうかな」って。僕は純粋に読みたかったので「絶対に出してください。恥ずかしさとか考えず、痛さとか爆発で飛び込みましょう」って言った覚えがあります。

宮嵜:これまでの仕事や自分が担当した番組のことを振り返っても、なんだか自慢話のようになってしまいそうで、躊躇する自分がいたんだよ。だから、背中を押してもらいたい時期だったんだと思う。

白武:無事出版されてよかったです。発売されてすぐ、深夜2時くらいにKindleで買って、朝まで一気に読みましたもん。面白すぎました! 勝手に宮嵜さんのことをわかっているようなつもりになっていましたけど、僕が知っているのは宮嵜さんの4分の1くらいの歴史なんだなと思いました。冒頭のお父さんのお話の時点で、グッと心を掴まれて。

宮嵜:嬉しい。あれが本当にすべてのきっかけだった。父親が亡くなって、自分の役職が変わって、しかもそれがすべて2021年の春に起きた出来事だったから。なんか春ってさ、変わらなきゃいけない強迫観念みたいなものにとらわれるじゃない。だから本を書くきっかけにもなったと思う。

白武:高校生のころ、僕の家は環境が悪くてラジオがなかなか聴けなかったんですけど、Podcastで配信されている『バナナマンのバナナムーンGOLD』と『おぎやはぎのメガネびいき』をスマホで聴き始めたんです。

 だから、僕にとっての“ラジオ父ちゃん”は『バナナムーン』や『メガネびいき』を作った宮嵜さんで、そんな人の歴史を知ることができたから、すごく面白い本だったんですよ。

宮嵜守史

宮嵜:Podcastの登場はね、本当にリスナーを増やしてくれたと思ってる。白武くんのようにラジオネイティブじゃない人たちが、映像がない状態で人のしゃべりを聴くのって、逆に新鮮だったんじゃないかな。

白武:そうですね。パーソナリティがスタッフの人たちも巻き込んで楽しそうにしていて。バナナムーンで、バナナマンのおふたりや作家のオークラさんがふざけ合っている様子とか。こういう楽しい仲間と遊んでるみたいに働く大人になれたらいいなと思ったのが、放送作家を志したきっかけの1つですね。

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