にじさんじ幼稚園にしぐれういの“古の個人サイト” 虚実入り乱れたバーチャル業界の一週間

虚実入り乱れたバーチャル業界の一週間

今年もエイプリルフールでにぎわったVTuber業界

 4月1日は例によって、VTuber業界はエイプリルフールネタにあふれた。大小様々なネタが午前中に飛び交う、この業界における定例行事のひとつだ。

 さすがに筆者も全てを観測しきれてはいないが、“古の個人サイト”を開いたしぐれうい、“幼稚園を開設”したにじさんじなど、今年もいろんな「ウソ」が現れた。多くは単にウソをつくだけでなく、実際に体験できたり、グッズ購入できたりしたのが直近の傾向だろうか。

free4m - nyankobrq, YACA IN DA HOUSE, をとは & somunia

 この日に現れるスペシャルユニットの楽曲も捨てがたい。個人的には、nyankobrq、YACA IN DA HOUSE、をとは、somuniaの4人による「free4m」が刺さった。「『twinkle night』を思い出す」と書くと、さすがに老いを疑われてしまうだろうか。あれ? アニメ化の話はいつ……?

ルナティックウォーズ / 月ノ美兎【MV】

 単なるジョークにとどまらない流れに沿ってか、開き直って「ウソみたいなホントのコンテンツ」を展開する動きも最近は見かける。月ノ美兎の1stミニアルバム『310PHz』収録曲「ルナティックウォーズ」のMVが4月1日に公開されたが、MVを手掛けたのはAC部。シュールかつ異様なまでの情報量が、月ノ美兎に根ざすカオスに自然とマッチするのだから驚きだ。

 そして、4月1日を過ぎても、ユニークなニュースはやってくる。「QuizKnockの“後輩”」という触れ込みで発表された、VTuberプロジェクト・てらめたる学園の新メンバーのニュースを耳にした人は多いだろう。

 詳細を少し掘り下げると、2023年から運営されている「明日、学校や職場で思わず話したくなる 話題や知識を発信」をテーマに掲げるてらめたる学園の運営企業が、QuizKnockの運営企業と協業し、デビューに至った……というものだ。新メンバー4人は、今後クイズやゲームなどを通したコラボ配信を展開するとのことで、4月16日のデビュー日にはQuizKnockとのコラボも予定している。

 一方で、黎明期より活動してきた銀河アリスが、8月2日をもって「地球侵略活動を完了」——すなわち、活動終了すると発表があった。天然すぎる言動や、卓越したダンスの技量で多くの人を引き付けたVTuberだったが、8月2日のラストライブをもって活動にピリオドを打つ。2018年に活動した最初期のVTuberがまた一人、業界を去ることになる。

名作TRPGがVRChatに登場

 『VRChat』方面では、にわかにTRPGの話題が現れた。ホビージャパンから告知された「プリパラ」シリーズのTRPG『アイドルテーブルトークプリパラ み~んなであそぼう!ダイスキTV♪』の、『VRChat』上での体験会はなかなかに驚かされた。抽選招待制となり、参加可能人数は決して多くないものの、IPモノのTRPGを「VRChat』でプレイする体験は貴重なものになりそうだ。

 また、名作TRPGのひとつ『ダブルクロス』がVR TRPGになった。TRPGやテーブルゲームのVR化に定評のあるバーチャルパーティーによる制作で、シナリオ本編に加えて、専用ワールドにて読み込みできる「TRPGに用いるVR空間データ」、さらにシナリオ中に登場するキーパーソン・都築京香などの3Dモデルが付属するパッケージ商品が発売された。また、同作の名物キャラクター・春日恭二の3Dモデルは、現在無料で配布中だ。

ダブルクロス The 3rd Edition スーパーシナリオサポートVol.05「ミッシングリンク」VR対応版告知

 『VRChat』でプレイするTRPGは、現実でのプレイ以上に没入感が高い。シナリオで描かれる世界が空間として現れ、プレイヤーはアバターを用いて存在レベルでロールプレイ対象になりきれるからだ。この特性ゆえに、現実で遊ぶよりも前向きに楽しめる人は多いだろうし、場所を確保しなくともオンラインでセッションを楽しめる利便性も捨てがたい。人気タイトルの登場により、その魅力に気づく人が増える可能性もあるだろうか。

 余談だが、上記の都築京香や春日恭二の3Dモデルは『VRChat』向けにセットアップされており、純粋に『VRChat』アバターとして利用できる。VRTRPGへの利用はもちろんだが、IPモノアバターとして、それ以外の利用法も模索できそうなのもおもしろいところだ。

スマホのカメラで動く2Dモデルを手軽に作れるアプリ『Avvy』に注目

 4月3日には、これまでありそうでなかった、あるアプリが現れた。スマートフォンのカメラでトラッキングできる2Dモデルを、キャラクタークリエイト感覚で作り、動かすことができる『Avvy』だ。これまで、3Dモデル版は類似コンセプトのアプリがいくつも現れたが、Live2Dのようなモデルを作れて、それを配信ソフトなどと連携して利用できるアプリは、実は珍しい。

 筆者も軽く試してみたが、ほどほど以上に動く自分好みの2Dモデルを、ものの5分程度で作れてしまうことに驚かされた。本腰を入れたアバターにはワンオフものが当然ほしくなるだろうが、おためしの活動期間や、「VTuberのデモンストレーション」といった用途ならば、非常に便利な選択肢だ。

 「YouTube」や「TikTok」といったプラットフォームでの通常利用はもちろん、収益化やグッズ化などの商用利用などにも対応しており、その手軽さは多くの人が飛びつきそうな予感だ。6月には本リリースを予定しているらしく、先行きの楽しみな「バーチャル化の手段」がまたひとつ世に出た格好だ。

バーチャルの世界に広がる“小さなコミュニティ”の魅力 体験してわかった「肩を並べる」心地よさ

本稿では、バーチャルの世界に広がる“小さなコミュニティ”の魅力と、筆者が体験して感じた「肩を並べる」心地よさについて紹介する。

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