3組のライバルユニットが歌い、踊り、切磋琢磨し続ける姿を見せた一夜ーー『ヘブンズコード・ブレイカーズ JUNK GIG』ライブレポート

『ヘブブレ』2月11公演ライブレポート

 男性声優10名によるキャラクター・パフォーマンス・プロジェクト「ヘブンズコード・ブレイカーズ」が、昨年11月に開催した「アニメイトガールズフェスティバル(AGF)2022」から始動。作中の二人組ユニット「UNNAMED BANQUET」のCVを担当する羽多野渉、野島健児がパーソナリティを務め、「超!A&G+」で配信中のバラエティートーク番組『羽多野渉と野島健児のヘブブレ解放区』では、キャストによるオーディオドラマも配信されている。

 オーディオドラマの主題歌と、主人公が所属するユニット「JUDGEMENT」のユニット楽曲を収録した両A面シングル「Break the Chains / Open the New Gate」もリリースしており、2月13日には残る2ユニット「ACE of Swords」と「毀滅羅」の楽曲を収録した「Puzzle / R.O.A.R.」が配信開始。それに先駆け2月11日に東京・下北沢シャングリラにて、「JUDGEMENT」「ACE of Swords」「毀滅羅」の3組が出演するライブイベント『ヘブンズコード・ブレイカーズ JUNK GIG』の第3回目が開催された。本稿では、2月11日に行われた本公演・第2部の模様と演者たちのコメントを掲載する。

JUDGEMENT「Open the New Gate」

 JUDGEMENTが歌う「Open the New Gate」のパフォーマンスで幕を開けた『ヘブンズコード・ブレイカーズ JUNK GIG』。3人の爽快な歌声に続いて、轟音のミクスチャーサウンドが会場に鳴り響くと、ビートに合わせて切れ味鋭いダンスを繰り出したメンバー。それぞれが入れ替わりながらセンターに立ち、熱い声を聴かせ、サビに突入する場面では「行くぞ〜!」と勢いよく鬨の声を上げた。「かかってこい!」と力強く観客に呼びかけると、観客はペンライトを揺らしてそれに応える。1曲目から一体感抜群のパフォーマンスを繰り広げ、ラスサビではジャンプをキメた。

毀滅羅「R.O.A.R.」

 続いてACE of Swords、毀滅羅がそれぞれ新曲をいち早くお披露目。まずは毀滅羅が、「R.O.A.R.」を繰り出す。重低音のベースに続いてアッパーなビートが繰り出されると、メンバー3人が弾けるように躍動した。ファイティングポーズを取り入れたダンスは、ヤンチャな毀滅羅らしさ全開。息つく暇もなく繰り出されるラップに、観客のテンションもヒートアップし、サビではジャンプしながら〈WOW WOW〉とコーラスを重ね、決意表明をするかのように高く拳を掲げた。

ACE of Swords「Puzzle」

 続いてACE of Swordsが「Puzzle」を披露すると、ステージ上の世界観がきらびやかなムードへと一転。白い衣装が真っ暗なステージに映え、思わずマネしたくなるようなキャッチーな手振りを、観客らも一緒に踊って楽しんだ。リズミカルなEDMのサウンドに乗せて、メンバー4人がフォーメーションを巧みに入れ替えながら舞い踊り、その迫力に小さなステージが実に大きく見えた。必死にダンスを繰り広げながら歌い、しかし決して笑顔を絶やさないメンバー。カリスマ的な人気を誇るACE of Swordsというユニットを、ステージで見事に体現して魅せた。

 3組のパフォーマンスによる熱気も冷めやらぬ中、MCをつとめる芸人の青臭いぞ須山が登壇し、それぞれに話を振る。お互い「負けないぞ」という気持ちでパフォーマンスしたという3組。しかし話題がオーディオドラマの話になると、第5話で初登場した毀滅羅が「ようやく仲間入りできた気持ちです」など、率直な気持ちをコメントした。

朗読劇『琳音くんとたい焼き』

 その後は、10人による朗読劇『琳音くんとたい焼き』が披露された。「キャラの素の部分をさらけ出した内容です。ぜひ10人のドラマを楽しんでください」と、ACE of Swordsのメンバー瑞樹レイ(CV:大友雅斗)。劇の内容は、政府側に属するユニットACE of Swordsと、敵対するジャンクJUDGEMENT、毀滅羅が出会う前のお話で、メンバーのためにたい焼きを買いに行った杠葉琳音(CV:澤田遊)が、行く先々で出会う人に翻弄されるという、ちょっとホッコリとしたストーリー。オーディオドラマとはまた違った魅力に溢れ、気づけば観客も物語に食い入るように没頭し、メンバーのために奮闘する琳音に声援を送った。

大友雅斗を前に、並んで手を差し出す9人

 「質問コーナー」では、Twitterで募集した質問にメンバーたちが答えた。「JUDGEMENTのメンバーで入れ替わるなら誰がいい?」という質問には、「それは普通に大雅でしょ!」と答えた辻憲斗(榊将冴 役)。近藤良祐(明日見大晴 役)は、「辻くんになりたい。踊りとか完璧だから」と回答。最後に世良大雅(八朔蛍 役)は、「いつもみんなを元気にしてくれるから」と、近藤を指名。また、「メンバーに告白するなら?」という質問にACE of Swordsの大友雅斗(瑞樹レイ 役)が答え、並んで手を差し出す9人。その中から「将来性を見据えて選びました」と、毀滅羅の山岸興平(薊一稀 役)の手を取ると、客席から女性ファンの歓声が響いた。

ACE of Swords「約束」(カバー)

 後半は、それぞれが思いを込めたカバー曲をパフォーマンス。まずはACE of Swordsが、M!LKの「約束」を披露。〈ハイ!ハイ!〉とかけ声をかけながら、サビでは可愛らしいオリジナルの振り付けで魅せた4人。観客は手拍子やペンライトを振ってステージを楽しみ、最後の4人が小指を重ねる仕草に筆者も思わず胸がキュンとなった。終演後に行ったミニインタビューによると、同曲を提案したのは瑞樹レイを演じる大友雅斗で、振り付けは杠葉琳音を演じる澤田遊によるオリジナルとのこと。リーダーの宮凰鴇を演じるましろりょうは、「実は、歌詞がすごくACE of Swordsっぽくて、一節一節がメンバーそれぞれに当てはまるところがあったので、『よくぞこの曲を提案してくれた!』と思いました。お客さんもうなずきながら観てくれて、心に染みている様子が伝わって、すごくうれしかったです!」と、カバー曲を振り返った。

毀滅羅「今夜はブギー・バック」(カバー)

 続いて毀滅羅は、小沢健二 featuring スチャダラパーによる名曲「今夜はブギー・バック」のカバーをパフォーマンスした。選曲は「3人ともブラックミュージックが好きで、誰からともなく『今夜はブギー・バック』という案が出て、『いいじゃん!』と満場一致で決まった」と話し、3人で、カラオケに行って練習したというエピソードも披露してくれた。「ユニット楽曲で僕はラップをしていないので、『僕もラップができるんだぞ』というところを見せたくて!」と冗談交じりに明かしてくれた。しかし、実際にそのパフォーマンスを目の当たりにすると、そのクオリティの高さに驚かされた。

 JUDGEMENTは1部で、JO1の「飛べるから」をカバーしたと言う。同曲を選曲した理由について八朔蛍を演じる世良大雅は、デビュー直後にコロナという大きな壁に阻まれたにも関わらず、努力を重ねて昨年末の『NHK紅白歌合戦』出場を果たしたJO1と自分たちを重ね、「JUDGEMENTの音楽が制限された世界に抗い、壁を打ち壊していくという部分や、メンバーに助けられながら上を目指して活動しているというところが、JO1さんと重なる部分があった。そうした意思を示す意味でも、今回JO1さんの『飛べるから』を選ばせていただきました」とコメントした。

10人での「Break the Chains」

 本編の最後は、10人でオーディオドラマの主題歌「Break the Chains」をパフォーマンス。本公演は声出しもOKということで、「皆さんの声を聴かせてください!」と呼びかけ、コーラスパートを観客に歌ってもらい、ステージと客席が本当の意味で一つにつながることができたように思えた。またアンコールでは、ACE of Swordsの「Puzzle」を再び披露。他のメンバーもステージに上がり、一緒に歌ったり踊ったりしながら4人のパフォーマンスを盛り上げた。ユニットの垣根を越え、肩を組んだり笑い合ったり、ステージ上には10人の笑顔、そして客席にもまた、観客の笑顔が咲き誇った。

ACE of Swords「Puzzle」(アンコール)

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