『ディスクロニア: CA』星街すいせい×郡陽介対談 VRゲームとVTuber、“バーチャルなエンタメ”を繋げる音楽
VRゲームは感情が伝わりやすい? 二人が考える「バーチャルなエンタメ」
――『ディスクロニア: CA』は、VRゲームであることをメインに考えられた作品でもありますが、お2人はバーチャルなエンターテインメントにどんな可能性を感じていますか?
星街:私は初めてVRを経験したとき、「何だこの技術は?!」ってビックリしたんですよ。それまではゴーグルをつけても、基本的に目の前の映像しか見れなかったものが、VRでは横を向いても後ろ向いても景色があって、すごすぎて大感動してしまって。「これからはこういうものが普及していくんだ……!」と未来にワクワクしました。なので、そういう異世界に入れるようなものが普及して、そこにどんどん面白い機能がついて、なおかつゴーグルをつけなくても体験できるような時代が来たら本当に面白いだろうな、と思っています。
――最近はコンタクト型デバイスの研究も進められていますし、もっと手軽に体験できるようになるとエンタメを通してできることもますます広がりそうですよね。
星街:コンタクトで体験できるようになったら本当にすごいですよね。
郡:VRゲームの場合、通常のゲームよりもさらに感情が伝えやすい体験になるのかな、とも感じています。なので、僕もよりそういうものが伝えやすいような、作品で伝えたいことをよりサポートしていけるような音楽をつくっていけたらいいな、と思っています。
星街:ゲームとは違いますけど、MVをVRで表現するようなものも面白そうです。
――星街さんのMVでも「この世界に入ったら面白そう」というものがあるかもしれません。
星街:たとえば、(豪華絢爛なシャンデリアなどを背に歌う『CHUNITHM』収録曲)「自分勝手Dazzling」のMVに入っても面白そう!
郡:ああ、本当ですね。実は僕も、VRの業界に携わろうと思ったときに似たようなことを考えていて、自分が好きなアーティストさんやシンガーさんに楽曲を歌ってもらって、その世界観を360°体験できるような環境をつくってみたいな、という思いで仕事をはじめているんです。なので、そんな世界が来てくれたらいいな、とすごく思います。
――今回の「7days」の楽曲制作は、お2人にとってどんな経験になりましたか?
郡:今回の音楽制作を通して、すいせいさんはいろんな世界観が表現できる方だと改めて思ったので、また機会があればいろんな曲でご一緒できればいいなぁと、レコーディングが終わってから思っていました。また機会があるなら、管を入れつつも今回とはまた違うタイプのものもつくってみたいですし、めちゃくちゃエモいバラードでも面白そうですし、「GHOST」みたいな曲でも面白そうですし――。どんな曲でも歌いこなしていただけそうです(笑)。
星街:改めて、初めてゲームの主題歌を歌わせていただいて本当に嬉しかったです。「7days」は『ディスクロニア: CA』の要素が詰まった楽曲になっていますけど、私が好きなとあるRPGゲームも、同じように主題歌の中に作品のいろんな要素が詰め込まれていて、クリア後に聴くと「そういうことか……!」となるものがあったりして。そこからさらに、楽曲をリピートしまくった経験がありました。今回『ディスクロニア: CA』をプレイしてくれた人たちが、クリアした後に同じような気持ちを体験してくれるような、ゲームを彩れるような曲になっていたらいいな、と思っています。そういう機会をいただけてとても嬉しかったです。
――そのRPGって何の作品だったんでしょう?
星街:『テイルズ オブ ジ アビス』です。主題歌の「カルマ」(BUMP OF CHICKEN)の「ひとつ分の陽だまりに/ふたつはちょっと入れない」というルークとアッシュのことが歌われている歌詞に、クリアした後で「うわぁ……!! なるほどなぁ!」って思ったんです。そういう経験を、今回の曲でも経験してくれる方がいてくれたらとても嬉しいです。
――最後に、せっかくなので何か聞いてみたいこともあれば教えてください。
星街:郡さんは曲をつくるときはどこからつくりますか? 実は最近、私も作曲をはじめてみようと思っているんです。
郡:Twitterで呟かれているのを見て、「もう無敵じゃん……」と思っていました(笑)。
星街:それで最近、『Cubase 12 Pro』を買いました。次のコードを出してくれる機能があって、作曲の初心者にも使いやすいと聞いたので。まだ全然触れてはいないんですけど、いつか自分でも曲がつくれるようになれたらいいな、と思っています。
――時間があるときに曲やメロディを考えたりもしているんですか?
星街:まずは鼻歌からという感じです(笑)。でも、メモするすべを持たないという。
郡:僕もメロディから考えるタイプなんですが、割とモチーフを決めて想像していくことが多いです。昔は自主で作品をつくったりもしていたんですけど、そのときも頭の中で勝手にストーリーをつくって、「こんな少年をテーマにしようかな」「こういう女の子の物語にしようかな」と考えつつ、風呂場で鼻歌を歌いながらつくっていました。
星街:そういえば、私もお風呂で何かを思いつくことが多い気がします。実は、「GHOST」の歌詞を思いついたのもお風呂だったんです。バーチャルなアイドルやアーティストの人たちが、二次元だけれど魂を持った存在だということを無視されがちに感じていたので、そういうことを表現できる「ねぇゴーストみたいだ」という歌詞が浮かんだときに「いいなぁ」と思って。それで「私に歌詞を書かせてください」とお願いしました。
――音楽の話をしていたのに、気づいたらお風呂の話になってしまいました……。
郡:風呂が最強です(笑)。
星街:お風呂最強!! みんなお風呂に入ろう!!(笑)。
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