にじさんじ・赤羽葉子の「神秘性」はすり減らない

にじさんじ・赤羽葉子の「神秘性」

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加している。

 これまで当連載では元一期生・元二期生の全員について記してきた。もちろんその順番で続けるならば、元ゲーマーズ組の面々について記していきたいと思う。葛葉、叶、笹木咲、椎名唯華の4人は過去に執筆しているので、残るは3人。

 今回は、元ゲーマーズ組のなかでも最初にデビューした赤羽葉子(あかばね・ようこ)について筆を執っていきたい。

 Twitterには2018年5月2日に初ツイートし、初の動画投稿は5月19日の自己紹介動画「【#1】赤羽葉子のお部屋へようこそ!」。

 エメラルドグリーンの瞳、口元から時折覗く八重歯、赤茶色のロングヘアー、左側を赤いシュシュで結んだワンサイドアップの髪型、ピンクのカーディガンに学生服と、名前の通りに「赤」を基調としたビジュアルで当時のファンを沸かせていた。

 初めての生配信は2018年5月25日にYouTubeで行われた。プレイしたゲームは『POSTAL2』。2003年に発売された本作は、奥さんから告げられるおつかいを月曜から金曜までこなしていくという内容で、FPSゲームとしても楽しめるゲームである。

 「妻からのおつかいをこなしている道中で何をしていてもオッケー!」というゲーム内容となっており、通行人をいきなりナイフで刺したり、ショットガンを乱射したりガソリンに火をつけるなどして多数のモブキャラを攻撃することも可能だったり、ゲーム中にいつでも小便ができるなど、その自由度の高さからバカゲーとも評されていたゲームだ。

 ゲームのノリや描かれ方は『Grand Theft Auto』シリーズにも通ずるコメディらしさも十分あるが、さまざまな奇行・蛮行をかなりストレートに表現していることもまた特徴であろう。

 まだVTuber・バーチャルタレントのブームがほんの始まりだったころ、10年近く前に発売されて比較的グラフィックも荒く、知る人ぞ知るようなFPSゲームを彼女はデビュー配信で嬉々として進めていったのだ。

 本動画を見ようとすると「この動画は、一部のユーザーに適さない可能性があります」というおなじみの注意喚起が表示されるわけだが、ほかのにじさんじメンバーのどのデビュー配信でもこのような表示はされていないはずだ。

 あまりにもドギツいゲームチョイス、罪悪感皆無なプレイで多くの血を見ようとする言動、加えて女性のなかでもすこし細めの声質と高いピッチまで一気に声が出るということもあり、見事なまでの「悲鳴」を何度となく配信で聞かせたりと、「予想以上にやべーやつ」と当時から知られるようになった。

 その後に彼女が得意としたゲームといえばサバイバルゲームやホラーゲームといった類。『The Forest』『Don’t Knock Twice』『Man of Medan』『Phasmophobia』と一人・多人数関わらず様々にしていった。

 安定したプレイングをしつつも、急な脅かし・接敵には「きゃああああ!!!!!!」と思いっきり叫んでしまうのは、デビューから現在に至るまで変わることない彼女のトレードマークだ。

 まさにホラー映画のヒロインさながらに、時と場所によってもしかすれば事件性を疑われるかもしれないほどの迫真の悲鳴は、にじさんじ随一のリアクションとしてファンに周知されている。彼女の配信を見るときには、音量に十分注意すべきであろう。

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