ギルザレンIII世がみせる「VTuberシーンへの強い愛情」 “配信をしない”活動形態の謎に迫る
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一社であるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドで、アーティストとして日の目を見る者も増加している。
ここ数回では、現在「元二期生」のメンバーにスポットを当てる。宇志海いちご、物述有栖に続いて紹介するのは、ストリーマー/配信者でありながら「配信をしない」バーチャルタレントとして特異なポジションに立ち続けるギルザレンIII世について書いていこうと思う。
薄い青紫色の体色、白い髪を短く揃えた威圧感ある風貌を見ると、低い声でいかにも強面なイメージで話しだしそうに感じられる。
実際の彼はというと、すこし甲高い声色と丁寧な対応、「あれ」「それ」「これ」の指示詞を多く挟むクセ、記憶が怪しげな会話、急に話さなくなったかと思いきやトボけた発言をしたりと、その外見と大きくかけ離れるようなユーモア溢れる人物だ。
2022年4月30日には長年活動を続けている個人VTuberの理原ひなりの配信にゲスト出演し、「最近みんなやっている『Vampire Survivors』、あれエゴサの邪魔になっているんだよ!」と笑わせにくるなど、エッジの効いたトークを終始しつづけていた。
理原とはデビュー直後の2018年5月ごろ、互いの配信をみてコメントしたことをきっかけに知り合い、その後には「目抜き通り」でデュエットするほどの仲になった。この例に顕著なように、ギルザレンIII世は、にじさんじのバーチャルタレントのなかでも指折りの“VTuberファン”として知られている。「なんとなく配信を見ていたら、ギルザレンIII世がコメントしていた」という発見報告は、昔も今も変わらずあるほどだ。
2020年12月31日の年末特番配信ではVTuberにまつわるニュースを取り上げ、にじさんじタレントの3D配信を皮切りに、エルセとさめのぽき主催オンラインライブ「SHINKAI FES」などについて話したりと、VTuberシーンへの強い愛情は配信のなかでも顔を覗かせることも多い。
その愛情を一目で伝えてくれるのが、自身のYouTubeチャンネルで展開している再生リスト「Gilzaren III RECOMMEND MUSIC」だろう。
この再生リストがいつ頃から始まったかは判別が非常に難しいが、「Gilzaren III RECOMMEND MUSIC 01」が2017年に4月12日にキズナアイがアップした「アブラハムの子」からスタートし、「Gilzaren III RECOMMEND MUSIC 21」には2022年4月13日にTAKU INOUEと星街すいせいによるMidnight Grand Orchestraがリリースした「SOS」が入っている。
自身のお気に入りな楽曲をリスト化していると思われるが、500曲ほどのYouTubeリストを21本も制作している点や、再生数が1000にも満たないような歌ってみた動画も収録しているあたり、2018年3月のデビューして以降、いやそれ以前から、彼が有名無名に関わらず多くのVTuberを見て、愛してきたのがよく伝わってくるだろう。
とはいえ「ギルザレンIII世」というと、ここ最近でにじさんじファンになった方と昔からのVTuberファンの方とでは大きくギャップがある存在であろう。
前者からすれば「タレントさんやファンからはイジられてはいるものの、実際どんな方なのかは分からない」、後者からすれば「昔からのイジられ役ではあるが、いま何をしているのか皆目見当がつかない」といったところか。
それでも共通して彼の特徴をあげることはできるはずだ。「ギルザレンIII世は配信をしないヤツ」なのだと。2021年までの彼の動きを詳らかにしてみよう。