連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」第3回:ゲームの裏技(前編)
有名なコナミコマンドや”制作者の愚痴”まで……奥深いレトロゲームにおける“裏技”の世界
さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年色んな意味で改めて注目が集まっているレトロゲーム。そんなレトロゲームについて、音楽業界随一のゲーマー&レトロゲームコレクターとして名高い、KICK THE CAN CREWのMCUがひたすら語り尽くす連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」。
連載第3回・第4回で取りあげるテーマは、「裏技」。いわずと知れたゲームにまつわる本来のゲームテクニックとは、ちょっとかけ離れたところにある裏のテクニック。それはプレイヤーが取得した優れたものもあれば、偶然に誕生したもの、プログラムのバグから生まれたものなど、様々。今回は裏技のみならず、隠れキャラ、隠しコマンド、隠しメッセージも含めて、ゲームを盛り上げてくれた“裏情報”の魅力を紹介する。(編集部)
裏技と言ったらコナミコマンド
連載第3回の今回は、俗にいう裏技、隠れキャラ、隠しコマンド、隠しメッセージ、バグ技もひっくるめて「懐かしの裏技」についてお話ししたいと思います。
「裏技」は、もう出尽くされた感はありますし、今回ご紹介するものも新しく発見されたものではありませんが、僕なりの視点から思い出話としてお話していきます。
裏技、裏コマンドと言えば、僕が最初に頭に浮かぶのはファミコン版『グラディウス』(コナミ)です。
いわゆる「コナミコマンド」というもので、グラディウスから始まり、さまざまなコナミのタイトルに使える有名なコマンド「上上下下左右左右BA」ですね。
念のために説明しますと、ゲーム開始時やポーズをかけたあとに、コナミコマンドを入力すると、自機がスピードアップ1段階、ミサイル、オプション2つ、バリアを装備し、大幅な強化状態になるというものでした。
コナミコマンドは「上上下下左右左右BA」という羅列が格好よくて覚えやすいこともあり、レトロゲーマーの誰もが暗記していたという、本当にわかりやすい裏技でした。
コナミコマンドは『グラディウス』のみならず、コナミのそのほかのゲームにも採用されていました。あのころ、新しいゲームを買うとコナミコマンドを片っ端から試していましたね。
それで調子に乗って『グラディウスIII』で同じコナミコマンドを入れると、自機が爆発しちゃうという(笑)、遊び心溢れる仕掛けが施されており、それも含めてみんながハマっていました。
僕の世代とその前後の世代にとっては、いまでも絶対に忘れないコマンドですね。本当に強烈なコマンドで、何度入れたかわかりません。
そんな裏技の本当の起源に関しては諸説ありますが、世に「裏技」という言葉を定着させたのは、おそらくファミコンで、『グラディウス』や『スーパーマリオブラザーズ』といったタイトルの存在でした。スーパーマリオの「無限増殖」なんて、とてもインパクトがありましたもんね。
『スーパーマリオブラザーズ』は、隠されたワープ面や、隠しキャラクターなど、制作陣の意図している部分も多いゲームでしたから、ひとつ裏技が見つかると、みんながそれを必死に探すという遊びも生まれていましたね。
『スーパーマリオブラザーズ』では、俗にいう8-4の面以降、『テニス』のROMを使ったバグ(誤動作)で、256ワールドとかマイナス1面に行けるみたいなすごい裏技もありました。
これは、ファミコンが故障する可能性があるのでやらないほうがいいと思いますが、8-4をクリアしたら、ファミコンの電源を入れたまま『スーパーマリオブラザーズ』のROMカセットを抜いて、『テニス』のROMを挿してプレイして、また抜いて『スーパーマリオブラザーズ』を入れて遊ぶと、普通では遊べない面になるという裏技がありました。
そうしたすごい裏技もあれば、1-2の地下ステージの天井に乗っかって、手に入れた数を表示しているコインのマークのところに、マリオを同時に重ね、ちょうどマリオの股間にコインが表示されてキラキラしていたのを見て、それを「キンタマリオ」と呼んでいたりもしました。小学生の僕たちはそれだけでもう大爆笑でしたね。
そういうことを自分たちなりに考えて、なんでも「裏技」にしてしまうというか。それをゲーム雑誌に投稿していた人も結構いたんじゃないかなと思います。ファミコンの全盛期はそんな時代でした。