かじがや卓哉が語る「家電・iPhone芸人」として活躍するまで ターニングポイントは「iPhone 6」の購入?
今や多くの人の手元にいきわたり、その名を知らぬ人はいないであろう、「iPhone」。初めて日本で発売されたのは2008年7月のこと。当時発売されたのは「iPhone 3G」で、取扱いもソフトバンクモバイルのみと、まだまだ手にする人は少なかった。
だが、そんなiPhone黎明期からiPhoneを愛し、時にはiPhone発売日10日前からApple Storeの前に並ぶ人物がなんと、「吉本」にいる。もう一度言おう、「吉本興業」にいる。
今回話を伺ったのは、『アメトーーク』の「iPhone使いこなせてない芸人」「家電芸人」などにも出演し注目を集める「iPhone芸人」かじがや卓哉。iPhoneにまつわる書籍の出版数は、直近で発売した「iPhone芸人かじがや卓哉のスゴいiPhone 13」で6冊目となる、いわばiPhoneの有識者であり、その情報をSNS・YouTubeなどでも発信している。そんなお笑い芸人の枠を超えて活躍するかじがやに、「iPhone芸人」として活躍するまでの道のりや、これからのiPhone、家電についてじっくりと聞いた。(山口 真央)
友だちが欲しい……。そうだ、吉本に入ろう!
――幅広く活躍されているかじがやさんですが、芸人になろうと思ったきっかけを教えてください。
かじがや卓哉(以下、かじがや):簡単に言ってしまうと、「友だちが欲しかったから」ですね。僕は商業高校を卒業したのち、税理士試験の勉強を始めました。僕が税理士試験の勉強をしていたのは18歳頃から25歳頃まで。そのときって、周りの友人は大学生活を謳歌していたり、すでに社会人になっていたりという年齢じゃないですか。勉強ばかりしていたら、次第に周りに友達がいなくなってしまったんです。
税理士試験って、全部で5科目の試験に合格する必要があるんですね。で、4科目合格したのち、あと1科目は比較的余裕をもって合格できる見込みがたったので、「じゃあ友だちづくりをしよう」と、NSC(吉本総合芸能学院)の門をたたきました。
――友だちづくりのためにNSCに……?
かじがや:僕、もともとお笑いを見るのが好きだったんです。いつか僕自身も人を笑わせられるようになりたいなという気持ちは常にもっていて。やるからには笑いの頂点を目指したいじゃないですか。なら吉本だ……と。安直な考えではありますけどね(笑) 。
――そのころからすでにiPhoneや家電への興味はあったのでしょうか?
かじがや:むしろもっと前からです。小学生のころからすでに家電への興味があったんだと思います。僕の実家の近くに大きめの家電量販店がありまして、よくそこに行っては家電を眺めていましたね。特に好きだったのはテレビ。当時はブラウン管でしたが、「こんな新商品が出るんだ」「メーカーによって違うんだな」……なんて。
その後高校生になり、連絡手段としてPHSやガラケーを持つようになりました。もしかしたらこれが「iPhone芸人」としての原点かも。PHSは電話や簡単なメール機能のみでしたが、ガラケーになると「iモード」など、ネットワークにつながるようになりますよね。今までネットはパソコンで使うものという考えが、手元の小さな端末でいつでもどこでも使えるようになりました。それが面白くて。ガラケーは高校生のころから毎年買い替え、着メロを作って遊んだりもしましたよ。
――そしてiPhoneが登場する、というわけですね。
かじがや:ええ、初めて日本で発売された「iPhone 3G」も、発売当日に購入しました。周りに「iPhone」を持っている人はほとんどいなかったので、よく「使い勝手どう?」と聞かれたりもしましたね。当時は、そう遠くない未来にここまでiPhoneないしはスマートフォンが普及するとは思っていなかったですね。
「iPhone芸人」としてのターニングポイントは、「iPhone 6発売の10日待ち」
――「iPhone芸人」としてメディアに出るようになったターニングポイントはありますか?
かじがや:いろいろ思い当たることはありますが、やはり最初は2014年に「iPhone 6」の発売をApple Storeの前で10日間待っていたことでしょうか。 当時はすでにiPhone新作が登場するとなるとApple Storeの前に長蛇の列ができることを、テレビ等で報道していましたよね。だから「最前列にいればたくさんテレビに映るかもしれない!」と思って、10日前からApple Storeに並び始めました。さすがに10日前から並べば最前列だろうと思っていたんですが、実際は6番目で……。そのことを、ナインティナインの岡村(隆史)さんがラジオで「後輩のかじがやってヤツが、いまApple Storeに並んでるんよ」なんて言ってくれたりして。
その1年後くらいでしょうか、『アメトーーク!』の「iPhone使いこなせてない芸人」に呼んでいただいたんです。大先輩の芸人さん方相手に僕がアドバイザー役で出演したわけですが、結構反響が大きくて。いろんな方から「あの回みたよ」「面白かったよ」と声をかけていただけたのはうれしかったですね。
――ではその後、お仕事が次々と入ってくるようになった……と?
かじがや:残念ながら、テレビのお仕事はさほど増えなかったですね。ちらほらと書籍のお仕事をいただけるようになったので、それをこなしつつ、年10本あるかないかのメディアのお仕事を続ける……というのが4年ほど続きました。
メディアのお仕事をコンスタントにいただくようになったきっかけが、『アメトーーク!』の「家電芸人」に出演してからです。いままでは「iPhoneだけ」だった僕のイメージが「家電全般」に切り替わったからでしょうか。この頃からはiPhone以外のお仕事もいただけるようになりました。
――家電芸人に出演したきっかけはありましたか?
かじがや:僕、税理士試験期間を含めて10年ほど家電量販店で販売のお仕事をしていて、家電製品総合アドバイザーの資格も持っていたんです。そのことはあまり大々的に言っているわけではなかったのですが、『アメトーーク!』のスタッフさんから「かじがやくんって家電もいけるんだっけ?」と声をかけてもらい、経緯を話したら出演させていただけることになりました。