YOASOBI×aiko、川谷絵音×山口一郎など 異色の対談が実現するYouTube×ラジオ番組の可能性

異色の対談が実現するYouTube×ラジオ

 株式会社FIREBUGが企画・運営を行う『MUSIC FUN!』が、J-WAVE(81.3FM)とタッグを組み、クリエイターが”WOW”と思う音楽を語る音楽番組『WOW MUSIC』が、今年4月で開始から2年を迎える。

 同番組は、クリエイターが「マンスリープレゼンター」となってゲストを招き、今注目しているミュージシャンやヒット曲のロジックなどについて深掘りしていくといった内容で、『WOW MUSIC』で放送された内容は、後日『MUSIC FUN !』のYouTubeチャンネルでも配信するなど、2つのメディアの“強み”を活かした画期的な番組作りを行なってきた。

 さらに昨年11月には『J-WAVE SPECIAL MUSIC FUN! AWARD 2021』を開催し、大きな話題を集めたのも記憶に新しい。そこで今回は『MUSIC FUN!』の仕掛け人であるFIREBUGプロデュース部 部長 若林潤と、J-WAVEのプロデューサー田邊直史の対談を敢行。番組立ち上げの経緯や、2つのメディアが連携する意義について語り合ってもらった。

「音楽クリエイター」が「よい音楽」を世の中に届けていく空間づくりから始まった

FIREBUGプロデュース部 部長 若林潤

──まずは株式会社FIREBUGが、YouTubeチャンネル『MUSIC FUN !』を立ち上げた経緯を教えてもらえますか?

若林潤(以下、若林):アーティストだけでなくプロデューサーやコンポーザーなど、いわゆる「音楽クリエイター」が中心となって「よい音楽」を世の中に届けていく、またそれによって音楽クリエイター自体にも注目が集まる、そういうメディアというか「コミュニティ」のようなものって実は今、ありそうでないよね? というのがそもそもの出発点でした。我々FIREBUGは、仕事柄そういう「音楽クリエイター」たちとの交流もあり、常々そうした話をしていたんです。しかも、我々のようにマネジメント事務所でもなければ音楽レーベルでもない、第三者的な立場の者がフラットに始めた方が、偏りなく運営できるのではないか?という声もありました。我々もちょうどデジタル事業を強化していたところだったのもあり、YouTubeというメディアで番組『MUSIC FUN!』を2019年10月にスタートさせたというのがそもそもの経緯です。

番組が始まった当初は、1人のアーティストに対してライターが深掘りしていくインタビューコンテンツでした。それを何度か続けていく中で、インタビューではなく音楽クリエイター同士の「対談」という形の方が、僕らが予想もしなかったような話題へと発展していくのではないか? という話になり、「クリエイター同士の音楽座談会」という現在のフォーマットになった次第です。さらに番組をYouTubeだけでなく、テレビやラジオといった放送局と連携して作っていこうというフェーズに入り、まずはJ-WAVEさんとの連動企画として『WOW MUSIC』という番組が2020年4月にスタートしました。

──なぜ、ほかのメディアと組むことにしたのでしょうか。

若林:『MUSIC FUN!』は動画メディアですので、ラジオという「音声メディア」と連動することによって相互補完性が生じます。伝統的なメディアであるラジオに対し、デジタルメディアであるYouTubeの強みを活かすことも可能でしょう。YouTubeには、番組をアーカイブとしてストックできるという利点がある。瞬発的なリーチはテレビやラジオが獲得し、長期間的なリーチをストックメディアであるYouTubeが補完するというわけですね。それと、『WOW MUSIC』の放送は基本的にローカル放送なので、radikoでもプレミアム会員にならないと全国各地から聴取することはできない。それに対しYouTubeはグローバルに展開できますので、そこでもお互いを補完し合えるわけです。

──なるほど。

若林:サブスクが普及しプレイリストで音楽を聴く人が増えたことによって、数年前にリリースした楽曲が今になって急に聴かれるようになり、ヒットへと繋がるパターンが増えています。番組のアーカイブをYouTubeチャンネルに残しておけば、それと同様のことが起き得る。しかも我々は「映像コンテンツ」としてのクオリティにもこだわっていますから、メディアだけでなくアーティストさんご本人にも「プロフィール素材」として重宝していただけるのではないかと考えております。

──放送局との連動企画は、『WOW MUSIC』以外にもありますか?

若林;現在は2つのコンテンツがあります。一つは、北海道文化放送とBSフジとの連動企画『MUSIC FUN! IVY』。もう一つは、広島テレビとBSフジとの連動企画『OTOGIBANASHI』です。前者はメインのMCに音楽プロデューサーの蔦谷好位置さんを起用し、ネクストブレイク必至の気鋭アーティストをお呼びして深掘りしていく番組。ゲストは我々からもご提案させてもらいつつ、蔦谷さんご本人が会いたいと思った方を実際にお会いして、その場でトークを繰り広げていくというものです。例えばどんぐりずさんと蔦谷さんはほとんど初対面でしたが、そのまま蔦谷さんのご自宅へ遊びに行くくらい番組が盛り上がりました(笑)。

後者の『OTOGIBANASHI』は現在休止中ですが、ここではいわゆる裏方の人たち、音楽プロデューサーやコンポーザーにフォーカスしています。マンスリーゲストとして、これまでKan SanoさんやStarRoさんにご出演いただきました。今ある番組の中でも、最もコアな内容になっていますね。広島のみのローカル放送ですが、「うちでも聴けたらいいのに」という嬉しい言葉に対してYouTubeを通して配信することで、全国のユーザーに届けることができました。

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