YOASOBI×aiko、川谷絵音×山口一郎など 異色の対談が実現するYouTube×ラジオ番組の可能性

異色の対談が実現するYouTube×ラジオ

今まで知らなかった音楽に出会うような体験を

──さて、ここからはJ-WAVEのプロデューサー、田邊さんにも加わっていただき『WOW MUSIC』について詳しくお伺いできればと思います。『MUSIC FUN!』から連動企画が持ち込まれたとき、田邊さんはどのように思いましたか?

田邊直史(以下、田邊):「ありそうでなかった番組だな」というのが企画に対する率直な感想でした。マンスリーゲストだった蔦谷好位置さんによるクリエーター目線での話の掘り下げ方、 坂東祐大さんや君島大空さんなどゲストクリエイターと繰り広げる、コアな音楽談義も非常に面白かったですね。いわゆる通常のインタビューでは引き出せないような話がどんどん出てくる印象が、番組スタート当時からありました。

最初のうちこそ手探り状態でしたが、続けていくうちに「クリエイター同士の音楽座談会」というフォーマットがどんどん確立されていって。そこからまた構成を練り直したり、マンスリーゲストの方たちから率直な意見をもらったりしながら、さらにフォーマットをブラッシュアップしていきました。

──マンスリーナビゲーターのセレクトはもちろん、ゲストアーティストのラインナップも意外だったりドンズバだったり、きっとスタッフも出演者も楽しんで作っているのだろうなという空気が番組の隅々から感じられます。

若林:ありがとうございます。最近はアルゴリズムの精度が格段に向上し、音楽にしても映画にしても自分の好みのものばかりススメられるじゃないですか。「自分の趣味趣向とはちょっと違うけど、実際に聴いてみるとすごくいい!」みたいな楽曲の出会いが生まれにくい環境に、これからどんどんなっていくと思うんですよね。

──確かに。「CDショップへ行ってジャケ買いしたけどハズレだった」みたいな経験は、音楽だけでなく映画でもファッションでも、食べ物屋さんでも減りつつありますよね。みんな「失敗」をしなくなったぶん、偶然の出会いも生まれにくい。

若林:おっしゃる通りです。そういう意味ではマンスリーナビゲーターのファンだった人が、今まで知らなかった音楽に出会うような体験を『WOW MUSIC』で味わってもらえたらすごく嬉しいですね。

──これまでの番組で、そういうケースはありましたか?

若林:2020年12月、マンスリーナビゲーターにYOASOBIのAyaseさんがご出演なされて、対談相手にaikoさんをお呼びしたときは、ikuraさんも参加してYOASOBIとaikoさんの対談という形が実現しました。YOASOBIの2人の、aikoさんへのリスペクトが溢れた回で、そこからaikoさんの本音の話も引き出されるなど、2組の関係性が番組の中で徐々に変化していく過程を垣間見られたのは興味深かったですし、実際とても大きな反響がありました。

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田邊:僕もあの時の回はとても印象に残っています。まず、「あのaikoがきた!」という盛り上がりも当然あったのですが、当時ものすごい勢いで注目を集めていたYOASOBIが、その憧れの存在であるaikoさんにインタビューをしているという絵もインパクトがあったし、aikoさんも実はYOASOBIのことが気になっていたみたいで、相思相愛のすごくいい番組になったなと思いました。

あとは、BiSHやPEDROのアユニDさんが担当してくれた月もすごく印象に残っています。彼女が持つ音楽への探究心がとても強くて。OKAMOTO'Sのハマオカモトさんなど多彩なゲストが登場したのですが、なかでもアユニさん本人が熱望していた綾小路翔さんの出演が、YouTubeだけの「スピンオフ配信」という形で実現することができたのも感慨深かったです。

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若林:WANIMAのKENTAさんがマンスリーナビゲーターを務めてくださった月も非常に充実していました。ONE OK ROCKのTakaさんは普段はあまりメディア露出されない方ですが、これはもう「KENTAさんの頼みなら」ということで引き受けてくださったようなものですよね。非常に多忙ななかでも来ていただけたのは、お二人の関係性が全てだと思います。素晴らしい回になりました。

──対談の内容に関しては、番組側である程度構成を練っておくのですか?

田邊:基本となる構成は、まずゲストミュージシャンのルーツについてのお話があり、次に楽曲制作、それからライブパフォーマンスのお話があって、最後はそこに当てはまらない、ナビゲーターが是非とも聞いてみたい話を振ってもらうといった流れが基本フォーマットです。それをベースにしつつ、ナビゲーターと打ち合わせながらその都度調整していく。もちろん、ナビゲーターやゲストミュージシャンによっては構成をガラッと変える場合もあります。誰もが知っているレジェンド級のアーティストがいらした時に、ルーツミュージックについてなど、これまでほかのところで散々語られてきたことを深掘りしてもあまり面白くないですからね。先日出てくださった椎名林檎さんのときは、亀田誠治さんがすでにご存知なことを聞いても、ご本人もテンションが上がらないと思ったので、例えば「初めてカバーした楽曲は?」みたいな、少しヒネリを効かせたテーマでルーツを掘ってもらいました。

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