『バチェラー・ジャパン』“複数人とのキス問題”をあらためて考える 恋愛番組座談会【2021年版・前編】
ーー12月からはNetflixで約20年に放送されていた『未来日記』が配信されるなど、“リブート”という新しい形式も出てきました。
『未来日記』(Netflix)
これから起こることが書かれている不思議な愛の日記「未来日記」が互いを全く知らない男女へ届けられ、そこには2人が恋に落ちていく未来と最後には“永遠の別れ”が書かれている。2人は日記に書かれている通りに行動し、そのなかで恋や愛は生まれるのか?を検証する。本作は1998年〜2002年まで放送されていた『ウンナンのホントコ!』(TBS)内の企画。未来日記の脚本を内村光良などの番組出演者が手掛けたことでも話題となり社会現象に。今回はNetflixで現代版にアップデートしてリブートしている。
於:20年前『未来日記』が放送されていた当時は『あいのり』(フジテレビ)や『恋するハニカミ!』も人気でしたし、恋愛番組が盛り上がっていた時期ですよね。今は出演者含め作り込んだ作品が多いですが、昔はもう少し身近にいそうな人にフォーカスしたものが多かった気はします。
佳香:たしかにその時はSNSもなかったですし、いまでいう「インフルエンサー」のような、芸能人と一般人の中間くらいの存在がいなかったので、一般の人に振り切っていた感じはしますね。
Numoto:『学校へ行こう!』(TBS)でも2000年あたりに「東京ラブストーリー」という一般人の合コンやデートを観察するような企画をやっていましたよね。
ーー当時はSNSがないのに『学校へ行こう!』は一般の人の発掘がものすごく上手でしたよね。2000年代の恋愛番組や企画の盛り上がりから、2010年代は『テラスハウス』(フジテレビ・Netflix 以下、『テラハ』)がヒット。スマホ・SNSの普及もあり、そこから少しずつインフルエンサーと呼ばれる人たちの出演が増えていきましたよね。
『テラスハウス』(フジテレビ・Netflix)
「台本がない」という台本のもと、一つ屋根の下で複数の男女がシェアハウスする様子を記録したリアリティ番組。出演者に提供されるのは家と自動車だけで、共同生活でのルールはとくに設けられていない。恋愛をすることや、家を出ていく決断も自由。
Numoto:私はTikTokやYouTubeでカップルチャンネルをよく観るんですけど、恋愛番組に出ていた子も出演後に成立カップルでやっていたりするので、やっぱりいまはSNSでの発信力は必要なのかもしれないですね。視聴者として彼氏彼女に甘えているプライベートな仕草などが観られるのは嬉しいですし、それこそ「本当につきあっているのか?」という考察でも盛り上がりますし。
佳香:インフルエンサーだとカップルで推せるのはいいところかもしれないですね。芸能人同士だとスキャンダル絡みでなかなか難しいですし。『恋する♥週末ホームステイ 2020冬 Tokyo』(ABEMA)のゆきりり(原田夕季叶&森脇梨々夏)にはまってたんですけど、インスタライブ観たりして楽しそうだな〜とか、自分の高校時代のことを思い出したりとか。
Numoto:私は『月とオオカミちゃんには騙されない』のそたりこ(曽田陵介&莉子) を応援していて、2人のSNSのやりとりとかすごい観てました!
於:韓国の「オルチャン」という言葉が流行ったときに「オルチャンカップル」をSNSで追いかけてました。韓国では、SNSでカップルが発信するということが日本よりも早い段階で流行していましたね。当時日本ではSNSでカップルが惚気ると「イタい」と言われる風潮がありましたけど、いまはコンテンツになってる。
佳香:昔はカップルについての情報を雑誌の「カップル特集」などでしか知ることができなかった。SNSが出てきたことで、個人でも発信できるようになったし、大衆化したことで受け入れられるようになったのかも。
ーー恋愛番組を観ることができるプラットフォームについてはどうですか?昔はテレビ、いまは動画配信サービスが主流ですよね。
佳香:いま地上波の番組でキュンとできる番組ってほぼ恋愛ドラマだけですよね。そしてテレビを若い子たちが観ないからそうなったのか、恋愛ドラマの内容も演じる俳優も年齢層が上がってしまっているんです。もう『今日好き』や『オオカミ』みたいな10〜20代前半の子たち同士の恋愛は、地上波の恋愛ドラマでは観られないんですよ。
最近だと『着飾る恋には理由があって』(TBS)や『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール』(日本テレビ)などは若手俳優で描かれていましたが、それでも年齢は20代中〜後半。高校生、大学生くらいの男女の恋愛はSNSや動画配信サービスの方が豊富ですし、その流れで若手インフルエンサーを起用する恋愛番組も相性が良かったのかもしれません。
於:高校生の恋愛が描かれるものは映画が多いですよね。最近だと『ハニーレモンソーダ』『思い、思われ、ふり、ふられ』『午前0時、キスしに来てよ』など。地上波のドラマで評価を得ているのは『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ)など、恋と仕事がセットになっているものとなると、テレビを観る年齢層は上がっている感覚はあります。
Numoto:高校生にとってはスマホが身近だから、テレビをじっくり観る習慣はきっとないんでしょうね。ドラマをみるとしても配信サービス経由になってきているんだろうな。
ーーそう考えると無料コンテンツって強いですよね。高校生はクレジットカードを持てないので自発的に観ようとなると、有料コンテンツは観られない。ABEMAの1週間無料やそれこそ手越さんのYouTubeは強いですね。