きしめん、ふぃぎゅ@メイト……15周年を迎えたニコニコ動画 2006~2007年の人気タグを振り返る

15周年ニコニコ動画の人気タグを振り返る

 2021年12月12日に15周年を迎えた「ニコニコ動画」。このアニバーサリーを祝したサイトが立ち上がり、ニコニコ動画の歴史や記念グッズの情報など、ニコ動好きには堪らない内容だ。

 中でも、「あの頃の人気のタグ」では、その年に流行ったタグを閲覧でき、当時の思い出を振り返ることができる。2006~2007年の人気タグを取り上げながら、当時のニコニコ動画の思い出を語りたい。

ニコニコ動画の歴史は空耳の歴史?

 ニコニコ動画が画期的だったのは、間違いなく“動画内にコメントできる”という点だ。そして、この機能が生み出した最も大きな現象は“空耳”と言っても過言ではない。歌の動画には、丁寧に歌詞をコメントする人もいるなかで、空耳をコメントする人も少なくなかった。実際、2006年のタグには<きしめん>、2007年には<あんこ入り☆パスタライス>が人気タグに入っている。

ニコニコ動画 タグ 2006

 まず<きしめん>とは、『Nursery Rhyme -ナーサリィ☆ライム-』というアダルトゲームのオープニング曲「true my heart」内の歌詞の空耳。サビのラスト「想いは優しいキスで」という歌詞の「キスで」が「きしめん」に聞こえることに由来している。また、「キスで」は伸ばして歌うため、「きしめえええええええええええええん」という「え」を伸ばしたコメントが、勢い良く画面上を埋めつくす様子は痛快だった。

 次に<あんこ入り☆パスタライス>は、2007年10月に放送されたアニメ『バンブーブレード』のエンディング曲「STAR RISE」内の「I'm Calling the STAR RISE」という歌詞の空耳である。「I'm Calling the STAR RISE」は曲の歌い出しに登場する歌詞であり、曲の最初から「あんこ入り☆パスタライス」というコメントが表示される、その不意打ち感が大きなインパクトを与えた。また、「あんこ入り☆パスタライス」の反響はすさまじく、実際にアニメ内でも「あんこ入りコロッケ」なるものも登場する。ネットで起こったムーブメントが作品内でオマージュされたことを受け、ますます人気タグとしての地位が定着した。

 ちなみに同アニメでは、オープニング曲「BAMBOO BEAT」内の「BAMBOO BEATを鳴らして」という歌詞の空耳として、「BAMBOO BEAT 奈良支店」というものもある。空耳は「きしめん」や「あんこ入り☆パスタライス」以外にも非常に多く、空耳を追いながら当時を懐かしむのも楽しそうだ。

人気タグとなった「遊戯王」

 また、2006年は<言葉にできない>というタグが見られるが、ご存知小田和正さんの名曲「言葉にできない」をBGMに面白い画像をスライドショーされる、という仕掛け自体は単純な動画である。とは言え、小田和正さんの歌声と画像の切なさなどが相まって、じわじわくる非常に見ごたえのあるコンテンツだった。

 2007年になると動画が多少凝ったものになり、MAD動画が人気を集める。とりわけアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』には、取り乱した遊戯がインセクター羽峨を魔法カード「バーサーカーソウル」を使って蹂躙するシーン、海馬瀬戸が魔法カード「エネミーコントローラー」を操作するシーンなど、MAD動画に使いやすいネタが多くあったため、<遊戯王>は人気タグとなった。

 また、MAD動画に関連するタグでいうと、<ふぃぎゅ@メイト>や<盗んでいきましたシリーズ>なども人気を博した。MOSAIC.WAVの「ガチャガチャきゅ~っと・ふぃぎゅ@メイト」やIOSYSの東方アレンジ楽曲「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」といった楽曲に、当時流行っていた『みなみけ』『CLANNAD』ひぐらしのなく頃に』といったアニメを組み合わせた動画群についたタグだが、同じBGMを使用しながら素材を自分のセンスで料理しなければいけないため、今思えば「みんなセンスを削り合って動画を作っていたんだな」と感心させられる。

 正直、<レッツゴー!陰陽師><TASさんの休日><おっくせんまん>など、もっと語りたいタグはあった。しかし、全てを取り上げると記事の構成がぐちゃぐちゃになり、とても読めるものではなくなるため、今回はこの辺で終わらせたい。機会があれば2006~2007年の他の人気タグ、2008年以降のタグについても語ってみたい。

■ニコニコ動画15周年記念特設サイト
https://site.nicovideo.jp/15th_anniversary/

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