Appleの影響を受けていた? 『BALMUDA Phone』が描くブランドの未来を考える
スティーブ・ジョブズの死から10年。彼が世に送り出した製品は、多くの人たちに影響を与え、今もなお愛され続けている。なかでも『iPhone』は、私たちの生活を一変させ、新たな体験を生み出した。
そんな中、彼に影響を受け、ついにはスマートフォンを作った人物がいる。家電メーカー「BALMUDA(バルミューダ)」の創業者・寺尾玄氏だ。
先日発売された『BALMUDA Phone(バルミューダ フォン)』は、ライトユーザーからヘビーユーザーまで巻き込み、良くも悪くも大きな話題となった。
今回は、バルミューダを語る上で欠かせないAppleの存在、そして何が失望につながり、賛否両論を巻き起こしたのか。『BALMUDA Phone』が描く未来について、考えていきたいと思う。
スマホ黎明期のリバイバル
『BALMUDA Phone』は、バルミューダの新ブランド"BALMUDA Technologies(バルミューダ テクノロジーズ)"の記念すべき最初の製品だ。
キャッチコピーは、「コンパクト。そしてエレガント」。大型化が進むトレンドに反して、手に収まるサイズ感に仕上げ、バルミューダ製品らしい、上品な質感を追求した意欲作だ。
新たな体験を定義する独自アプリ、機能性と芸術性を両立したデザイン、スマートフォン黎明期を思わせるフォルム……。飽和したスマートフォン市場に、一石を投じる1台といえるだろう。
SIMフリー版の価格は10万4,800円、ソフトバンク版は14万3,280円と、昨今のスマートフォンの中では高額の部類に入る。スペック面では、同じ金額で同等以上のものが買えるため、SNSなどで否定的な声が少なくない。この点は、どこに価値基準を置くかによって、意見が大きく分かれそうだ。
なお、詳しいスペックに関しては、BALMUDA Technologiesの公式サイトを確認してほしい。(参考:https://tech.balmuda.com/jp/phone/spec/)
スティーブ・ジョブズへの憧れ
『BALMUDA Phone』を見て、『iPhone 3G』を思い出した方は多いのではないだろうか。寺尾氏は、本作の製品ページにて、スティーブ・ジョブズへの謝辞を述べている。*1それだけ、大きな影響を受けていることがわかるだろう。
それもそのはず、バルミューダ初の製品として登場した『X-Base』は、PowerBook用の冷却台だった。続いて登場した『Floater』は、クラムシェルモード時のMacBookを立てられる専用スタンドだ。ほかにも『Lift』と呼ばれる、MacBook向けのスタンドも発売している。
また、Mac関連だけではなく、iPhone関連にも力を入れていた。iPhoneをMacのテンキーにするアプリ『NumberKey』や、デスク上にiPhoneを置けるスタンド『SmartBase』(バルミューダが当時展開していた別ブランド「unite」の製品)なども発売している。
バルミューダは創業時からAppleとともに成長を続けてきた、といっても過言ではない。では、その集大成として登場した『BALMUDA Phone』に、寺尾氏が敬愛するApple製品のような驚きはあったのだろうか。