小出恵介が4年ぶりの復帰にかけた思い 「役柄上“汚れ”であろうが気にならない」

小出恵介インタビュー

 主演ドラマ『酒癖50』(ABEMA)で4年ぶりの復帰を果たした小出恵介。2017年6月、飲酒が招いた不祥事により、芸能活動を休止した彼が、このドラマで演じるのは「Hate Alcohol Film(HAF)」に勤める酒野聖。とある企業で酒癖の悪いワースト50人を対象に酒を大嫌いにさせるためのプログラムを実施するという役どころである。本人はオファーされた際、「冗談かと思った」というが、なぜオファーを受けることにしたのか。休業中に考えたことや、得たもの、今後について率直に聞いた。(田幸和歌子)

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――4年ぶりの復帰作に『酒癖50』を選んだのはどういった思いからですか。

小出恵介(以下、小出):復帰後一発目でやらせていただく作品は、いろんな意味でハードルも上がりますが、この作品に自分自身をインスパイアさせるようなかたちで思いきり向き合うことで、何か良い結果が生まれるんじゃないかなと思いました。ここから再び役者としてお芝居をしていくなかで、以前のまま同じようにやっていくという選択肢もあるのかもしれませんが、僕にはそれはまったくなくて。ここからの挑戦の第一歩として、役柄上“汚れ”であろうがなんだろうが、そこはまったく気になりませんでした。

――これまでは優しい役や真面目で誠実な役を演じることが多かったと思います。復帰後一作目の作品に対して描いていたイメージはありましたか。

小出:まず、いままでの自分のイメージを保とうとか、以前のように戻ろうという感情は真っ先にリリースし、全部捨てようと思っていました。そのためには非常に良い機会になる一方で、すごくいろんな反応が出るだろうとも思っていました。ただ、作品に全身で向き合うことが、僕自身の今後に対する意思表示になるだろうな、と。

――復帰が発表されるや、SNSなどでも大変話題になりました。反響はご覧になりましたか。

小出:はい。SNSもチェックしましたし、Yahoo!のコメントとかもほぼ全部見ていますよ。

――いきなり手厳しい意見の多いYahoo!のコメントを? 

小出:優しい言葉よりも、厳しい言葉から入った方が再出発として良いと思ったんです。やっぱりリアルな反応を見てみたいと思いましたから。でも、実際には自分が想像していたよりもあたたかいコメントが多く、意外に逆風ではなかったことには新鮮な思いでした。

――昨年のコロナ禍にドラマ『JIN-仁—』が再放送された際にも、小出さんのお芝居をまた観たいという声も多かったはずです。

小出:そうした声は自分にも届いていました。僕のお芝居を待っていてくださった方がたくさんいたのは、率直に嬉しかったですね。そうした声に触れたことで、またエンターテインメントに戻りたいなぁという思いが具体的に強くなっていったところはあります。

――ドラマ撮影初日はどんな心境でしたか。

小出:ただただ、現場に行くということのすべてが嬉しかったです。いまは朝早く起きることすら嬉しいし、眠いなか朝ご飯を食べるのも、緊張感も、全部嬉しくて、「この場所に帰ってきたんだな」という実感がわきました。現場に行くと、セットや、現場の匂いや光など、全部がシンプルに自分の居場所と思えて、不思議と脱力するような居心地の良さや安らぎがあるんですよ。それでいて、その状況を楽しんだり味わったりしている自分を、どこか客観的に見ているような視点もありました。初日の気持ちや、今目にしているこの光景はずっと忘れちゃいけないと思い、後々まで自分の中に刻み込んでいくつもりで向き合っていました。

――第5話、6話では、いよいよ小出さん演じる酒野自身の物語が描かれます。

小出:やっと自分の人生を語れる場所になってくるので、燃えましたね。(腕を回しながら)「よっしゃ!」みたいな感じでした(笑)。どういうバックグラウンドがある人物なのかを詳しく知って撮影に臨んだわけではなかったので、キャラクターに関してはどういう風にでも作れるなと思い、リアリティより不気味さを際立たせることを意識していました。思いっきり醜くなって調子に乗ってやろうと思っていましたね。中途半端なことをするくらいなら、僕がやる意味がないと思うから。

――ご自身の中にある黒いものを全部引きずり出すようなイメージですか。

小出:そうですね。内容的に自分を重ね合わせて見られるような作品だからこそ、逆にどこか守りに入ることもできると思うんですよ。でも、自分のイメージを守るようなことだけは絶対したくなかった。手応えとしては、もう出し切ったというか、やり散らかした感じがありますね(笑)。

――ゲスト出演の小池徹平さんとは『ごくせん』第2シリーズ以来の共演だったそうですね。再会されて、いかがでしたか。

小出:感慨深かったですね。こうやって再会することも、昔の親友という間柄も、彼との中にある根源的な信頼関係を生かして向き合える気がしました。ドラマでは、限られた日数で関係性を作っていったら終わってしまうことも多いですが、15年ぶりとはいえ最初からお互いに遠慮なくガッチリやり合えたのは、モノ作りにおいてすごく大事なことでした。

――どんなやりとりをしましたか。

小出:彼は結婚して、僕はアメリカに行っていて、お互いに「どうなの?」という話をしつつも、どこか演じるシーンに沿った関係性が常にあるわけですよ。たぶん彼は現場でも役として生きることを重んじている気がします。ただ、15年前はお互いまだ怖いもの知らずで、わけのわからない自信に満ち溢れていたと思うんですね。そういう時期を経て大人になり、自分の中に残っていく要素と、学んできた要素により、新たな魅力を感じましたし、経てきた年月をパフォーマンスの中で明らかに感じました。

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