『全裸監督』『酒癖50』“タブー”に切り込む社会的作品が話題に 小出恵介の復帰作は究極の再現ドラマ?

“タブー”に切り込む社会的作品が話題に

 タブーと聞けば知りたくなるのが人間のさがである。シーズン2が配信中の『全裸監督』(Netflix)を挙げるまでもなく、酒や性など地上波で扱いづらいテーマに切り込んだ“攻めた”作品が注目を集めている。7月15日夜10時に放送が開始される『酒癖50』(ABEMA)も、その一つだ。

 失敗と名の付くものは世に多くあるが、酒に関する失敗は身近で目にするものの代表例だ。酔って電車を乗り過ごすところから、酒席で羽目を外して重大な結果を招くことまで、飲酒による失敗談に心当たりのある人も多いだろう。『酒癖50』は酒飲みを恐怖のどん底に突き落とす作品だ。

 ジャンル的にはホラーまたはサスペンスに値するが、いちばん近いのは「再現ドラマ」かもしれない。免許センターで見せられる飲酒運転の怖さを伝える映像教材を想起するような不穏な空気感を漂よわせながら、とびきり強烈な酒が引き起こす大小さまざまなトラブルを余すことなく描いていく。内容はフィクションだが、登場人物は飲酒によって破滅的な結末を迎えることになる。まさにバッドエンド。しかし、観ていて決して気持ちが良いものではないにもかかわらずなぜか画面から目を離すことができないのだ。

 主演を演じるのは俳優の小出恵介。劇中ではHate Alcohol Firm(HAF)に勤める酒野聖として、とある企業で“Hate Alcohol プログラム”を実施する。プログラムを受講するのは、社内選りすぐりの酒癖の悪い社員50人。何を隠そう『酒癖50』のタイトルはこの50人に由来している。酒野のミッションは、彼らが二度と酒を飲まないようにすること。端的に言うと、酒を大嫌いにすることである。

 小出恵介の4年ぶりのドラマ復帰、そして当作品の攻め込んだ設定は、大きな話題となり、さまざまな反応が散見された。しかしこのドラマ、配役には明確な意図があることにも気付いた。第1話で、酒野の「人生で大きな失敗を経験しないでうまく生きてこられた人は幸せなのか」という台詞がある。失敗しない人生などない。失敗することで人間は学び、失敗を繰り返さないようになる。“Hate Alcohol プログラム”は手痛い教訓を通して、酒がもたらす人生の過ちを伝える。それにもっとも適任なのは自ら失敗した経験を持つ人間だ。いわば究極の反面教師が酒野、いや小出なのである。

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