「創作の原点に戻れる“遊び性”がある」 森山直太朗に聞く、TikTokを重用する理由

森山直太朗がTikTokを始めた理由

 今年3月に5年半ぶりとなるシングルCD『さくら(二0二0合唱)/最悪な春』をリリース。地上波の音楽番組への出演、キャンプフェス「FUJI&SUN‘21」でヘッドライナーをつとめるなど、精力的な活動を続けている森山直太朗。3月15日にTikTok公式アカウントを開設し、「TikTok Spring LIVE」(4月30日)に出演、さらに4月15日にスタートし好評のうちに終了した「#春の歌うま」チャレンジのアンバサダーに就任したことも話題を集めている。

 リアルサウンド テックでは、新たなプラットフォームで表現を行なっている森山へインタビュー。TikTokを使いはじめた経緯やTikTok LIVEの手ごたえ、今後の展望などについて語ってもらった。(森 朋之)

TikTokで森山直太朗の多様性を知ってほしい

ーーまずはコロナ禍におけるSNSでの活動スタンスについて教えてください。

森山直太朗(以下、森山):コロナ禍になる前の昨年1月22日にInstagramを始めたんです。手相占いの島田秀平さんに「今年(2020年)は新しいことを始めたほうがいいですよ」と言われて、一粒万倍日(新しい物事をスタートさせるのに最適な日)にアカウントを開設しました。その後、コロナ禍になって、STAYHOME期間が続いたので、インスタライブだったり、過去の曲をアップしたり、空白を埋めるようなことを続けていたんですが、ちょうど緊急事態宣言が出された頃に、御徒町(御徒町凧)が歌詞を持ってきたんです。それが「最悪な春」だったんですよね。

ーー振り返ると共感せざるを得ないタイトルですね……。

森山:今でこそ「こんなの最悪だよ」と言えるけど、去年の春はそれすら言葉にできないというか、もっと戦々恐々としてたと思うんですよ。まだ何もわからなかったし、ネガティブなことですら発信しづらくて。でも、「最悪な春」の詞が飛び込んできたときに、どこか腑に落ちる感じがあったし、すぐに曲になったんですよ。詞のなかにメロディがあって、それをスケッチするだけというか。30分くらいで出来ちゃったんだけど、過去の経験から言っても、そういうふうに形になった曲には何かしら近いものがあって。そこから自分の体の向きが内から外に向いた感覚があったんです。「最悪な春」は2020年5月の終わりに配信リリースしたんですけど、それも御徒町との会話のなかで「いまリリースしたいね」という話になったからで。1年後に振り返って、「あのときは最悪だったね」ではなくて、まだ何も掴み切れてない状況のなかで聴いてもらうことに意味があるんじゃないかなと。まあ、賭けみたいなものですけどね。「最悪な春」という曲は果たして、心理と真理を捉えているのだろうか?という。まさか1年経っても、そんなに変わらない状況が続いているとは想像していませんでしたが、だからこそこの曲が持つ真意、意義みたいなものが問われてる気もします。

ーーなるほど。直太朗さんはインターネット、SNSを介した発信も積極的に行っています。YouTubeチャンネルや3月中旬にはTikTokの公式アカウントを開設するなど、活動内容を詳しく教えて貰えますか。

森山:YouTubeチャンネル「日本百歌」は、ギター1本持って歌い歩く”という原初的なコンセプトなんですが、コロナの影響も相まって、チームのみんなと話していくなかで考えが深まったし、森山直太朗ならではのコンテンツになっていると思います。

TikTokに関しては、シングル『さくら(二0二0合唱)/最悪な春』を外に向けて発信したいと思ったのが、大きなきっかけになっていて。3月は「さくら(二0二0合唱)」を、4月以降は「最悪な春」を伝えたいという意図があって、いろいろな人たちに知ってもらえたらなと。あとは森山直太朗の色々な側面を伝えたいという気持ちもありました。シアトリカルなライブをやったり、バラエティ番組でちょっとマニアックな話をさせてもらったり、知ってる人は知ってるけど、まだまだ認知されてない部分もたくさんあると思うんですよ。全部を含めて森山直太朗だし、作品性やキャラクター、性癖みたいなところにも(笑)、光を当てたくて。TikTokを通して、それをやれたらいいなと思ってます。

ーーTikTokでは森山直太朗の多様性を伝えたい、と。

森山:そうですね。楽曲のことで言えば、ポップスという枠で作ってはいるんですが、わりと普遍性のあるものが多いと思っていて。それがTikTokというプラットフォームでどれだけ通用するか確かめたいというところもありましたね。曲を通して、気付きだったり、何かに風穴を開けるような役割を担えたらなと。「あそこに行くと、悩んでることがどうでもよくなるよね」と思ってもらえたり(笑)、みなさんの感受性、想像力に寄り添えるコンテンツにしていくことが理想ですね。投稿する動画の内容は、まだまだ暗中模索ではあるんですけど(笑)。

ーー最初の投稿は、「TikTokはじめました」という挨拶からはじまり、「さくら(独唱)」を歌い出したところで映像が切れる、という内容で(笑)。

@naotaro76

#tiktok始めました #森山直太朗 #さくら #歌ってみた #はるうた

♬ Sakura (2020 Gassho) - Sabi Version - Naotaro Moriyama

森山: ラジオコメントのノリでやってたら、歌う時間がなくなった、という(笑)。要は「TikTokの使い方やルールをよき理解しないままやってる、という“体(てい)”でいこう」ということなんですけど、まあ、付け焼刃的なところはありましたね。面白いアイデアはいっぱいあって、それをどう具現化しているか話してるところです。YouTubeではただただ弾き語っているので、それとは違うところを見てもらえたらなと。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる