『iPhone 16e』はSE(第4世代)を期待していた人にとって“買い”か? 性能を振り返りつつ検討する

Apple『iPhone 16e』は“買い”か?

 Appleのティム・クックCEOがXで「Get ready to meet the newest member of the family. Wednesday, February 19(新しいファミリーの一員に会う準備をしましょう。2月19日、水曜日)」と予告した通り、2月19日(日本時間で20日未明)にAppleから新製品『iPhone 16e』が発表された。

 今回の発表では、「iPhone SE」シリーズの最新機種となる第4世代のモデルが登場すると予想されていたが、フタを開けてみると現行の「iPhone 16」シリーズに新たなモデルとして新機種『iPhone 16e』が加わる格好となった。

新たにファミリーとなった『iPhone 16e』。特に「e」についてコメントはなかったが、16シリーズの“エントリー”モデルとしての立ち位置を表しているのではないかと予想できる

 さて、『iPhone 16e』は『iPhone SE(第4世代)』を期待していた人にとって“買い”の機種となるだろうか。Appleのサイトでも視聴できる発表内容をじっくり見直しながら、『iPhone 16』や『iPhone SE(第3世代)』との違いなども含めて『iPhone 16e』を検討してみよう。

『iPhone 14』ベースのボディに最新の「A18」チップを搭載

 本機のボディは『iPhone 14』をベースとしたアルミニウム製で、6.1インチのSuper Retina XDRディスプレイを搭載した最近のiPhoneで見慣れたデザインを採用している。上部のフロントカメラ部分は「16」ファミリーなのにDynamic Islandではなくノッチだ。

最も手に入れやすいモデルとして「iPhone 16」ファミリーに加わった『iPhone 16e』。ボディは航空宇宙産業レベルの頑丈なアルミニウム製だ

 搭載しているチップに最新のAppleシリコン「A18」を採用したのは、Appleが開発したAI「Apple Intelligence」に対応するため当然の選択といえるだろう。ところでこの「A18」チップ、名前こそ『iPhone 16』と同じだが、GPUのコア数が5から4へと1コア少なくなっている。ベンチマークで測定すれば差は出るだろうが、体感できるほどの違いはあるのだろうか。ただ、SE(第3世代)よりはパワーアップしているのは間違いない。

Appleシリコンの「A18」チップを搭載。Appleは『iPhone SE(第3世代)』より40%、『iPhone 11』より80%高速だとアピールしている

 今回登場した『iPhone 16e』の大きな特徴として、Appleが設計した初のセルラーモデム「C1」チップを搭載している点があげられる。このC1チップは、より高速で安定した5G通信がおこなえるだけでなく電力効率にも優れていて、最大26時間以上のビデオ再生の実現にも貢献しているという。『iPhone 16 Pro Max』の33時間には及ばないものの、『iPhone 16 Plus』の27時間に迫るバッテリー稼働時間だ。さらに『iPhone 16』の22時間より4時間も長い。『iPhone SE(第3世代)』の15時間から比べれば飛躍的な進化と言えるだろう。

モデムチップは従来のクアルコム製から自社開発の「C1」になった。新しい内部設計や、より大きなバッテリーの組み合わせで、最大26時間というバッテリー駆動時間を実現している

ポートやボタン配置はほぼ『iPhone 16』と同じ

 充電ポートはUSB-Cで、『iPhone 16』と同じUSB 2規格。そのため別売りの20Wアダプタ、またはそれ以上のアダプタとUSB Type-C充電ケーブルを組み合わせて使えば30分で最大50%までバッテリーを充電できる高速充電に対応した。

 ワイヤレス充電に関しては『iPhone SE(第3世代)』と同じ最大7.5WのQi対応で、残念なことにMagSafeには対応していないので『iPhone 16』以上のモデルで利用できる最大25WのMagSafeワイヤレス充電には及ばない。快適にワイヤレス充電を利用したいなら、MagSafe非対応の機種用として市販されているマグネットリングを本体に貼り付けるか、マグネット内蔵のケースを利用した方がよいだろう。

搭載しているUSB-CポートはUSB 2なので最大転送速度は『iPhone 16』と同じ約480Mbps/秒で、これはLightningと同じだ

 ボタン類は左側面にボリュームアップ/ダウンとアクションボタン、右側面にサイドボタンと、『iPhone 16』と同じ構成。しかし、カメラコントロールは搭載されていない。同じ「16」ファミリーだというのに、ユーザーインターフェイスに違いが生じてしまうのは気になる点だ。

 ロック解除やApple Payでの支払いの認証、アプリやWEBサイトへのサインインなどはFace IDで行う。Touch IDを目的に『iPhone SE(第3世代)』を使っていた人にとっては残念な知らせとなってしまった。

アクションボタンは搭載しているがカメラコントロールは採用されなかった。なお、SIMはnano-SIMとeSIMをサポートするデュアルSIMで、デュアルeSIMにも対応している

 一見するとシングルカメラに見える『iPhone 16e』だが、1つのカメラに2つの機能を搭載した2-in-1のカメラシステムを採用しており、光学ズームも使える2倍望遠機能を組み込んでいるのが特徴だ。

 ただし『iPhone 16』と違い12MP超広角カメラは搭載されていないので、風景や建物などを撮影する際には画角に注意しよう。『iPhone SE(第3世代)』と比べると4倍となる48MP Fusionカメラを採用したことで、カメラ機能が大きく進化している点は評価できる。

 フロントカメラは12MPのTrueDepthカメラで、16シリーズと同じ性能だ。『iPhone SE(第3世代)』では7MPのFaceTime HDカメラだったので、こちらも大きく進化している。

「iPhone 16」ファミリーと同等の48MPセンサーを搭載したFusionカメラ。シングルカメラながら光学ズームで2倍望遠が使える

そのほかの仕様はおおむね「iPhone 16」ファミリーに準拠

 前面にはセラミックシールドによる丈夫なガラスを採用。IEC規格60529にもとづくIP68等級(最大水深6メートルで最大30分間)の防沫性能、耐水性能、防塵性能などを備えており、このあたりは『iPhone 16』と同等だ。

 衛星経由の緊急SOSや衝突事故検出も『iPhone 16』同様に利用可能で、緊急SOSしか搭載していなかった『iPhone SE(第3世代)』よりも安全のための機能は向上している。

 ボディーカラーはホワイトとブラックの2色のみで、マットな仕上げとなっている。寸法は高さ146.7mm、幅71.5mm、厚さ7.80mmと、ほぼ『iPhone 16』と同じで重量は167gだ。『iPhone SE(第3世代)』と比較すると若干サイズアップ、重量アップしている。

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