Apple「ロスレスオーディオ」、Apple製品には現状非対応ーー次期AirPodsでは対応か
音楽ストリーミングサービス業界に新しいトレンドが生まれる知らせが届いた。この業界では後発組の企業が、新しいサービスを発表したのだ。業界先駆者のあの企業が新トレンドに追随する証拠も発見された。
スタジオ品質をユーザに提供
Appleは17日、音楽ストリーミングサービスApple Musicに空間オーディオを導入すると同時に、提供中の全楽曲をロスレスオーディオで視聴できるようにすることを発表した。
空間オーディオとは、立体的な音響録音方式であるドルビーアトモスが可能とする音響体験を指している。空間オーディオに対応した楽曲を視聴すると、リスナーはまるで周囲から音が降り注ぐかのような体験ができる。空間オーディオ対応楽曲は順次追加され、空間オーディオ楽曲に関するスペシャルプレイリストもキュレーションされる予定だ。
ロスレスオーディオでの楽曲提供とは、Appleが音源ファイル保存時に採用しているコーデック形式であるALAC(Apple Lossless Audio Codec)で視聴できることを意味している。簡単に言えば、スタジオ制作時の音源をそのまま視聴できるのだ。
ロスレスオーディオで視聴するにあたっては、Apple Musicの最新バージョンを使用しているユーザの場合、「設定」>「ミュージック」>「オーディオの質」でオンにする必要がある。音質レベルは複数用意されており、16ビット/44.1kHz、最大24ビット/48kHz、さらに最大24ビット/192kHzが利用できる。
今回の発表のいちばんの驚きは、空間オーディオとロスレスオーディオの視聴を追加料金なしで利用できるところだろう。Apple Musicユーザは、文字通り新次元の視聴体験を無料で得られるのだ。
AirPods Max有線接続でも聴けない?
ロスレスオーディオに関しては、テック系メディア『The Verge』が17日に視聴方法について考察した記事を公開した。同メディアがAppleの広報担当者に問い合わせたところ、AirPodsの全製品はロスレスオーディオに対応していないことがわかった。
AirPodsとAirPods ProはBluetoothワイヤレスイヤホンであるため、ロスレスオーディオによって視聴できる高品質の音声データを処理しきれないと考えられる。こうした事態を解決するには、Appleが新しいワイヤレスコーデック方式を開発するか、Wi-Fi経由で視聴する必要がある。
AirPodsシリーズの最上位モデルであるAirPods Maxは、別売のLightning to 3.5mmジャックを使えば有線接続での視聴が可能となる。しかし、この視聴方法でもロスレスオーディオを充分に堪能できない。というのも、有線接続時にはアナログ音声をデジタル変換した後に、AirPods Max内部で再度アナログ音声として復元する処理を行っているので、ロスレスオーディオ音源をそのまま視聴できるわけではないのだ。
一方で空間オーディオに関しては、AirPodsの全シリーズで視聴できる。Apple製スマートスピーカーのHomePodとHomePod miniも空間オーディオをサポートしているが、ロスレスオーディオはサポートしていない。
現状ではロスレスオーディオをApple製品で視聴するのは難しいのだが、こうした状況は長くは続かないだろう。次期AirPodsモデルではロスレスオーディオを視聴できるように、Appleは対応すると予想される。