Spotifyでスマホの音源が直接インポート可能に? “CD大国”日本に立ちはだかるAppleの壁

SpotifyでAndroidの音源を直接インポート可能に

 先日Spotifyが、ユーザーがスマホにストックしている音源を、直接アプリ内に取り込めるという新機能を試作・準備しているとのリークがTwitterで出回った。こうした音源をSpotifyは「ローカルファイル(local file)」と呼んでおり、長年ローカルファイルとSpotifyとの相性の悪さに関しては指摘されてきたところだ。

 アプリ内でローカルファイルとストリーミングの音源を一括管理して聴けるというのは、iPhone普及率の高い日本ではこれまでApple Musicの特権であった。Spotify上でローカルファイルを再生するには、デスクトップ版アプリでローカルファイル専用のプレイリストを作成して音源をインポートしてから、スマホのアプリでプレイリストをダウンロードするという、非常にまわりくどい方法しか選択肢がなかったのだ。

 未だCDの普及率が高く、音楽ストリーミングサービスがやっと常識になってきたような日本では、過去に取り込んだ音源をスマホで今も再生しているという人も少なくないだろう。音楽ストリーミングサービスも、ストックは非常に充実しているとはいえど、まだ配信に気が向かないアーティストや楽曲も存在するし、アイドルなどではCD限定の音源も存在する。それが、ファンとアーティストとの絆になっているケースもある。

 例えば、昨年ストリーミングの解禁を行なった嵐。先日はアルバム「This is 嵐」をCD、配信ともにリリースし、嵐のファンでなければ「もう全曲配信されたのかな」と思うだろう。しかし、実はまだ配信されていない、また、今後も配信される可能性が極めて低い楽曲が存在する。「5×10」と「5×20」だ。

 この2曲は、題名の通り、10周年と20周年を記念して制作された楽曲で、作詞にメンバー全員が参加した、「嵐が嵐とファンのことを歌った曲」である。各周年のベストアルバムに収録されており、ベストアルバム自体がストリーミング解禁されていないため、この曲も配信されていない。嵐の全オリジナルアルバムのストリーミング解禁が発表された時期、ネット上では、5×10と5×20が配信されないことに喜ぶファンの書き込みも見られた。

 他にも、「Time」や「Dream"A"live」といったアルバムの初回限定版に収録されているソロ曲などもまだストリーミングの解禁はされていないが、「5×10」や「5×20」に比べると、今後解禁される可能性の高い楽曲たちかもしれない。しかし、これまで必死に嵐を応援してきて、アルバムを買い集めてきたファンにとっては、ストリーミングでこの2曲が配信されないことに嵐のファンに対する愛を感じる、というのも理解できるように思う。

 問題は、そうした楽曲をSpotifyでまとめて管理できなかったところにある。Apple Musicであれば、iPhoneに取り込んだ音源をApple Musicでダウンロードした楽曲と同様に管理、再生することができるため、この点においては有利である。また、この機能はYouTube Music(や、YouTube Musicへの一本化で今年ついに閉鎖されたGoogle Play Music)などにもすでに実装されていたもので、海外メディアからは「YouTube Music vs Spotify」という見方もされている。それが今回のリークによると、アプリ内の設定(ボタンひとつ)だけで直接音源を取り込めるようになるのだという。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる